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【音楽×珈琲 鑑賞録】11月2日~團 伊玖磨 祝典行進曲

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【60日】
11月2日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
團 伊玖磨 /
祝典行進曲

です。

團 伊玖磨(だん いくま)
1924年4月7日 - 2001年5月17日
日本の作曲家、エッセイスト

「祝典行進曲」は、1959年(昭和34年)、当時皇太子であった明仁親王(現・上皇)及び正田美智子(現・上皇后)の成婚を祝して作曲された作品です。

テレビ放送の際にBGMとして流れるので、てっきり演奏していたのだと思いましたが、1959年当時に結婚の儀で演奏されたわけではないそうです。

のちの1964年の東京オリンピック、1984年のロサンゼルスオリンピックの開会式、1990年の即位の礼、1992年の天皇訪中の際、中国側の歓迎として晩餐会で、2005年の黒田慶樹と紀宮清子内親王との結婚式、2009年12月13日、アマチュア・オーケストラである学習院OB管弦楽団主催の第125代天皇明仁即位20年と天皇・皇后の結婚50年記念演奏会で、皇太子徳仁親王がヴィオラの首席奏者として参加し、天皇、皇后、皇太子妃が客席から鑑賞した。

という皇室や国家の記念式典には演奏される機会もあり、まさに日本国を代表する行進曲。
祝祭感に溢れていて、まさに平和を象徴する音響です。

この作品を受けての團自身の述懐に、「軍隊を連想させる行進曲ではなく、コンサート用の優雅な曲想の行進曲を作曲して、これからの希望あふれる日本を祝福したかった」という言葉が残っています。

第二次世界大戦を経て、約15年。
そして東京オリンピックの5年前。
日本が経済成長をする軌道が見え、3丁目の夕日のような人情に溢れていた時期。
いま現在からしてみれば憧憬を抱いてしまう時代のように思えて、寂しく思えてしまいます。
希望に溢れているこの音楽の祝祭感も、いま聴くとノスタルジーな響きに涙が出そうです。
音階は変わらずとも、時代に応じて心象は変わるのだな、と感慨深いものがありました。

誰も等しく年齢は重なりながら、誰もが違う人生を歩んでいます。
ただ、なぜか国民性という共感を覚えるものが、過去のトピックスを共有し、同じような感慨を覚えることがあるなかで、音楽は最たるものです。
生まれた時期は違っても、出自が違っても、なぜか同感を覚える音楽がある。
魔法のようなチカラが音楽にはあって、そこに惹かれてしまうからこそ、いつか自分も気持ちの共有ができる魔法のような音楽を生み出してみたいと思ってしまう。

この作品を聴いていると、そんな音楽の魔力を感じてしまいます。
きっと、こうした作品を浴びすぎたせいで、いつまで経っても希望を見出してしまうのでしょうね。

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