【音楽×珈琲 鑑賞録】9月12日~ベンジャミン・ブリテン シンプル・シンフォニー
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【111日】
9月12日のテーマは、【逸話】
とりあげる作品は、
ベンジャミン・ブリテン /
シンプル・シンフォニー
です。
ブリテン男爵エドワード・ベンジャミン・ブリテン
Edward Benjamin Britten, Baron Britten
1913年11月22日 - 1976年12月4日
イギリスの作曲家・指揮者・ピアニスト
今回とりあげるベンジャミン・ブリテンのシンプル・シンフォニー(Simple Symphony) 作品4は、1933年から1934年にかけて作曲。弦楽オーケストラ(弦楽四重奏)で4楽章構成、約18分の演奏時間の作品です。
この作品は、ウィットに富んだタイトルと、その名に沿った雰囲気を醸しているのが特徴です。
第1楽章 Boisterous Bourrée(騒々しいブーレ)
第2楽章 Playful Pizzicato(遊び好きのピチカート)
第3楽章 Sentimental Saraband(感傷的なサラバンド)
第4楽章 Frolicsome Finale(浮かれ気分の終曲)
標題のSimple Symphony も同様、タイトルの頭文字で韻を踏んでいます。
全員がピチカートで演奏して目を引く2楽章だったり、センチメンタルど真ん中な切ない旋律を聴かせる3楽章など、それぞれが特徴を踏襲していて、さまざまなプレイスタイルを聴かせられる作品ということで現在もよく演奏される作品のようです。
驚くのは、この作品を若干20歳そこそこで手がけたところです。
ロンドンの王立音楽大学で学び、『シンフォニエッタ』(作品1、1932年)、『幻想四重奏曲』(作品2、1932年)など気合いの入った音楽を手がけていますが、この作品では幼少期に手がけた作品を改変して昇華しています。
楽章ごとに分割しているため全体としての統一感はなく、もう少し一貫性めいた視聴後感の厚みがほしいと思うところはありましたが、それでも聴かせどころの多い作品であるだけに、さすがイギリスを代表する音楽家だなと思わされました。
ベンジャミン・ブリテンはこの後もこつこつと作曲を続け、作品番号がふってあるものだけでも95あります。
それだけでなく、多岐にわたるジャンルに果敢に挑戦していて、音楽家としての生涯をまっとうした人でした。
生き様で一貫性を指し示し、音楽家で「ロード(Lord)」(バロン)の称号を得るまで上りつめる。その気概の強さは想像だにできませんが、
「自身は何者なのか」という問いに真摯に向き合い、ひたむきに歩み続けていたその姿勢には学ぶべきエッセンスを窺い知り、自身に顧みたいところです。