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【音楽×珈琲 鑑賞録】5月14日~エンゲルベルト・フンパーディンク オペラ『ヘンゼルとグレーテル』

音楽観を鍛える鑑賞録。
5月14日のテーマは、【主題】

とりあげる作品は、
エンゲルベルト・フンパーディンク /
オペラ『ヘンゼルとグレーテル』

です。

エンゲルベルト・フンパーディンク
Engelbert Humperdinck
1854年9月1日 - 1921年9月27日
ドイツの作曲家。

同じ誕生日!
・・・はどうでもよいとして、
フンパーディンクってクラシック作曲家だっけ?
と思ったら、イギリスのオールディーズ歌手の方は本家を芸名にしていたんですね。
微妙に紆余曲折してしまいました。

今回とりあげる、『ヘンゼルとグレーテル』(Hänsel und Gretel )は、ドイツの作曲家エンゲルベルト・フンパーディンクが作曲した全3幕のオペラです。
もともとはもちろん、あのグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」をもとにしています。
その台本を作曲者の妹であるアーデルハイト・ヴェッテが手がけ、兄のエンゲルベルト・フンパーディンクが曲をあてました。
はからずも題材と同じ兄妹コンビというのも数奇なお話です。

原作のグリム童話はご存知の通り、なかなかパンチの効いた設定となっていますが、1893年のオペラ版初演時にはすでに児童向けに改編されていたようです。
全編を通して、おおむねハッピーな仕立てになっているため、現在でも上演される機会のあるオペラだそうです。

「メルヘン・オペラ」の代表作として、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」は人気がありますが、そのほかの作品はあまりとりあげられません。
フンパーディンク自身の経歴をみると、
ワーグナーから師事を受けたこと。
バルセロナのリセウ高等音楽院で教鞭を執ったこと。
フランクフルト・ホーホ音楽院の教授に就任したこと。
シュトックハウゼン声楽塾の和声法の教師を務めたこと。
ベルリンでマイスターシューレの作曲教授に任命されたこと。
など、経歴は輝かしいのですが、日本語検索では人となりを窺えるストーリーまでは出てきませんでした。
むしろ、歌手の方が出てきてややこしい。
ただ、少ないながらも載っていた情報から思い馳せたことを記しておきます。

おそらくフンパーディンクは、あまり功名心というものを表に出さず、自らの与えられた使命を感じ入りながら、音楽を通した「仕事」をしていたのだと思います。
ワーグナーという圧倒的鬼才をサポートし、学びを受けて、音楽へのアティチュードを継ぐ橋渡し役を引き受けたのではないでしょうか。
こうした優れた才能のある人がフォロワーになり、インスパイアされたものを残すことで、権威が増強され、永続性をもたらす。
キリストにとっての使徒、ソクラテスにとってのプラトンなど、
思想を伝播した存在は枚挙にいとまがなく、そういったフォロワーがいたからこそ、価値が生まれたといっても過言ではありません。

フンパーディンクの人となりや手がけた音楽はわずかしか窺い知れませんでしたが、この人の仕事がワーグナーを高次のレベルに昇華し、クラシック音楽の価値を増大したのだと思います。
こうしたフォロワー的存在の大切さはあらゆる偉大なアーティストともひけをとらない偉大な価値があるんだなと思い知ることができました。

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