【音楽×珈琲 鑑賞録】11月13日~フリッツ・クライスラー 愛の喜び
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【49日】
11月13日のテーマは、【ジャンル】
とりあげる作品は、
フリッツ・クライスラー /
愛の喜び
です。
フリッツ・クライスラー
Fritz Kreisler
1875年2月2日 - 1962年1月29日
オーストリア出身の世界的ヴァイオリニスト、作曲家
フランスを経てアメリカ国籍となった
「愛の喜び」(Liebesfreud)はピアノとヴァイオリンのための小曲。
「愛の悲しみ」(Liebesleid)の対となる作品で、優雅で快活な旋律が印象的な作品です。
4分の3拍子でハ長調。
2拍目を少し前のめりに弾くため、跳ねた音響をもたせており、まさに踊るようなワルツの名作です。
この作品は発表当時、「ワルツの始祖」ヨーゼフ・ランナーの作品をクライスラーが編曲したとして発表しました。
のちにそれが偽りだとこの曲を筆頭にほとんど自作曲だということを発表し、世間を騒がせます。
なぜ他者の作品と偽っていたのかをクライスラーは、
「自作ばかりじゃ聴衆が飽きるし、また自分の名前が冠せられた作品だと他のヴァイオリニストが演奏しにくいだろう? だから、他人の名前を借りたのさ」
と答えたといいます。
「そんなたいした話じゃない」というようなあっけらかんとした返答だったようですが、以前の記事でジャゾットがアルビノーニのアダージョだと偽っていた例もあるので、クライスラーの場合も内心は不安だったのではないかなと想像してしまいます。
クライスラーの場合も、作品は廃れることなくクラシックになったわけですが、やはりこれは曲が良かったから残っているわけで、他にも名前を偽って世のなかに曲を放ったものの風に散った人はごまんといるでしょう。
ただ、曲が良ければ出どころはどうでもよいというわけではなく、周りのサポートや環境、時代によっても良し悪しは変わります。
それを運と呼ぶかもしれませんが、運を手繰り寄せる気概と行動。目に触れて聴いてもらえるに値する状態を築くこと。
クライスラーの音楽には人の琴線に触れるなにかがあることは確かです。
理論で納得する部分もありますが、そのマジックを探る行動が大切だなと感じ入りました。