【音楽×珈琲 鑑賞録】5月18日~パウル・ヒンデミット オペラ・交響曲「画家マティス」
音楽観を鍛える鑑賞録。
5月18日のテーマは、【周辺】
とりあげる作品は、
パウル・ヒンデミット /
オペラ・交響曲「画家マティス」
です。
パウル・ヒンデミット
Paul Hindemith
1895年11月16日 - 1963年12月28日
ドイツ・ハーナウ出身の作曲家、指揮者、ヴィオラ奏者
今回とりあげる『画家マティス』(Mathis der Maler)は、1934年から1935年にかけて作曲したオペラ。リブレット(台本)も作曲者自身により手がけられました。交響曲は、このオペラに先行して完成しています。
「画家マティス」とは、マティアス・グリューネヴァルト(Matthias Grünewald)のことで、16世紀に活動したドイツの画家。ドイツ絵画史上最も重要な作品の1つである『イーゼンハイム祭壇画』の作者として有名です。
ヒンデミットという作曲家は、音楽に関することほとんどすべてに秀でていて、オーケストラで扱われるほとんどの楽器にまつわるソナタを書いたそうです。作曲数も600を超えるなど、音楽の才能と胆力を併せ持つ英傑というべき人ですね。
この「画家マティス」。楽曲にまつわる逸話は、
ユダヤ人音楽家と親交があったヒンデミットは、ナチス・ドイツに疎ましく思われていました。
その流れを受けて、この作品が発表されるやナチス・ドイツが内容に難癖をつけ、上演を禁止させたことにより、指揮者のフルトヴェングラーものっかって騒動が起きました。
おかげでヒンデミットは亡命を繰り返す人生を歩むことになってしまいました。
学び得ることはたくさんありますが、
思うのは、「渦中にいる時期の作品として見るのと、人生全体のなかでの作品として見るのとでは、印象がだいぶ違う」ということです。
作品が作者の命を左右しかねない。
という時代において、作品にかける気概はまさに命がけだったことでしょう。
それゆえの緊張感や説得力、崇高性をもって生まれ、演奏されていたのではないでしょうか。
それが時を経て時代も移ろえば、同じ音楽が円熟味を増し、柔らかく心地よいものに変遷していることも想像できます。
つまり、その時々で解釈は変わるのだ、と。
だからこそ、決定されることはなく、人生のなかで浮き沈みしながら、その時々を生きるだけだなぁと思うわけです。
今現在の境遇が幸不幸どちらにしても、いつかは変わるものです。
在るべきは、今自分ができる最大限の行動を努めること。
過去も未来も想像はできますが、行動はその時にしかできません。
改めて、「いまここ」。
在るべき今に務めることが大切ですね。