【音楽×珈琲 鑑賞録】11月15日~カミーユ・サン=サーンス 『交響曲』第3番「オルガン付き」
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【47日】
11月15日のテーマは、【作曲・演奏】
とりあげる作品は、
カミーユ・サン=サーンス /
『交響曲』第3番「オルガン付き」
です。
シャルル・カミーユ・サン=サーンス
Charles Camille Saint-Saëns
1835年10月9日 - 1921年12月16日
フランスの作曲家、ピアニスト、オルガニスト
『交響曲』第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」(Symphonie n° 3 ut mineur op.78, avec orgue)は、1886年に作曲した交響曲です。
サン=サーンスが50歳の時。
「この曲には私が注ぎ込める全てを注ぎ込んだ」と述べ、管弦楽にピアノ2台(4手)にオルガン付きという大規模な交響曲を手がけています。
サン=サーンス自身、ピアノとオルガンの名人だったため、その技術と知識をいかんなく発揮した作品に仕上げ、1887年のパリでの演奏会の成功を経て、サン=サーンスは「フランスのベートーヴェン」と称えられました。
特徴はやはりピアノとオルガンの使用ですが、全編を通した演奏はされず、必要な部分で演奏されるという贅沢な仕様です。
なのでほとんど管弦楽の様相ですが、オルガン伴奏や後半部分でのピアノの音色が効果的に荘厳さを醸していて展開もかっこいい。
まさに交響曲の最高峰というに相応しい音響が聴けます。
グレゴリオ聖歌「ディエス・イレ」の音形を循環主題としていますが、「ディエス・イレ」はサン=サーンス自身「死の舞踏」で引用したこともあり、クラシック音楽ではモーツァルトやベルリオーズなど大家がテーマにしている重要な聖歌です。
元来は「死」を想起させる旋律として、短調の作品。
それをサン=サーンスはこの曲中の第4楽章で長調に展開し、宗教的な「救済」の意味づけも施しています。
その音響の展開が素晴らしく、後半部分へ向かうにつれ、ボルテージが高まっていくのはベートーヴェンを彷彿とさせたりと、約35分の演奏のなかにいくつも感動がある名曲でした。
2歳でピアノを弾き、3歳で作曲したというサン=サーンスが50歳になったとき、生まれ出た作品が人類の音楽史における究極的な音楽だった。
サン=サーンスの生涯は徹頭徹尾輝かしい足跡でありながら、その日々の格闘を思うととてつもなく困難で、やりがいのある道を歩き、その都度極限の楽曲を放っていった、まさに稀代の作曲家だと思い知らされます。
改めてサン=サーンスの偉大さを思い知らされる、超がつく名曲を聴けた貴重な時間でした。