【音楽×珈琲 鑑賞録】5月23日~ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(アントン・ディアベリ) 『ピアノ変奏曲』ディアベリ
音楽観を鍛える鑑賞録。
5月23日のテーマは、【逸話】
とりあげる作品は、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(アントン・ディアベリ) /
『ピアノ変奏曲』ディアベリ
です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
Ludwig van Beethoven
1770年12月16日頃 - 1827年3月26日
ドイツの作曲家、ピアニスト。
アントン・ディアベリ
Anton Diabelli
1781年9月6日 - 1858年4月7日
ザルツブルク生まれ、ウィーンで没した古典派の作曲家、出版業者
今回とりあげる『ディアベリ変奏曲』(33 Veränderungen über einen Walzer von Diabelli - ディアベリのワルツによる33の変奏曲)は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲し、1823年に完成したピアノ独奏曲です。
この楽曲の経緯は、アントン・ディアベリが1819年に、自らの主題によって当時名前の売れていた作曲家50人に1人1曲ずつ変奏を書いてもらい、長大な作品に仕上げようという企画モノから端を発しています。
参加した音楽家のなかには、ツェルニーやシューベルト、リストなど錚々たるメンツがいましたが、なかでも当時からして最高の音楽家だったベートーヴェンにも話が舞い込んだわけで、ベートーヴェンはこのワルツ主題を「靴屋の継ぎ皮」(cobbler's patch)と馬鹿にし、作曲は見送っていたとされています。
「靴屋の継ぎ皮」って、どういうディスり?
と思ったのですが、いわく、「靴屋の皮の切れ端」という意味らしく、たしかに数小節のパッセージを提示して、あとは作曲家に丸投げというやり口になじる作家が現れてもおかしくはないでしょう。
それはさておき、
この『ディアベリ変奏曲』はベートーヴェンの晩年の傑作と言われており、
"the greatest set of variations ever written"
「これまでに作曲された変奏曲のなかで最高のもの」
だの、
"the greatest of all piano works"
「すべてのピアノ作品のなかで最高のもの」
という評価があります。
そこまで評される理由を探るべく、
日本のWikipediaで特色を調べ、ある程度把握できたと思ったら、
英語版のWikipediaをみて、詳細な解説と文量に悶えました。
論文1本読むようなしんどさがあるなかで、
改めてベートーヴェンの筆舌しがたい凄さを叩き込まれるとともに、
一ヶ国語だけの探索で知れることの少なさや、ミスリードが起こるやもしれないことも学び深いところでした。
作品の奥行きを深掘りするためだけではなく、感受性の違いを知るためにも、
海外から得られる知見も疎かにせず、学び深めていこうと思った機会になりました。