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【音楽×珈琲 鑑賞録】4月22日~ヨハン・シュトラウス1世 『ローレライ=ラインの調べ』
音楽観を鍛える鑑賞録。
4月22日のテーマは、【音楽史】
とりあげる作品は、
ヨハン・シュトラウス1世 /
ローレライ=ラインの調べ
です。
ヨハン・シュトラウス1世
Johann Strauss I.
1804年3月14日 - 1849年9月25日
オーストリア帝国のウィーンを中心に活躍した作曲家、指揮者、ヴァイオリニスト。
3月30日の『ラデツキー行進曲』の記事以来のヨハン・シュトラウスです。
ラデツキー行進曲は死の1年前、1848年に作られた代表曲ですが、このローレライ=ラインの調べ(Loreley-Rhein-Klänge)作品154は、1843年に初演された、それ以前における代表曲です。
この楽曲は「ウィンナ・ワルツ」を発展させた代表的作品で、まさしく自身の後世であるヨハン・シュトラウス2世により19世紀を「ワルツの世紀」と言わしめるまで発展させました。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートで、シュトラウス家の作品を中心とするウィンナ・ワルツが演奏されていることも歴史の厚みを重ねている要因でしょう。
このウィンナ・ワルツは3拍子の2拍目をやや早めに演奏するという特徴があるのを初めて知りました。
一聴しただけで宮廷で優雅に舞う光景を思い浮かべてしまう仕かけは、ここにあるのではないでしょうか。
そして、ローレライ=ラインの調べというタイトルが秀逸です。
「岩山にたたずむ美しい少女が船頭を魅惑し、舟が川の渦の中に飲み込まれてしまう」という「ローレライ伝説」。
ドイツにとって「父なる川」であるライン川、そのローレライという場所は、国民にとって自然崇拝の感情が湧き起こる大切なところでしょう。
このウィンナ・ワルツは、
国の豊かさ、尊厳、誇りを抱かせ、ナショナリズムを喚起させる音楽です。
時間が経てば経つほど人々の想いが重なり、どんどん価値が重層化していく。
音楽は無限に想いを受容できる器という側面として考えても、秀逸なアートです。
そして、ジャンルとして確立することは、多くの人々の思いが込められる装置を産むのと同義であると考えると、このヨハン・シュトラウス家が果たした事業の偉大さが窺い知れます。
音楽はさまざまな解釈が可能ですが、こうした観点からみてみると、国の感情をも受け入れることができる器の大きさに気づかされます。
世界に一体感をもたらすに、この音楽の力が糸口になるような気がしてなりません。