【音楽×珈琲 鑑賞録】12月26日~ミヒャエル・ハイドン おもちゃの交響曲
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【6日】
12月26日のテーマは、【逸話】
とりあげる作品は、
ミヒャエル・ハイドン /
おもちゃの交響曲
です。
ヨハン・ミヒャエル・ハイドン
Johann Michael Haydn
1737年9月14日 - 1806年8月10日
オーストリアの古典派の作曲家
『おもちゃの交響曲』(Toy Symphony)は、作曲者が二転三転したことで有名な作品です。
音の出るおもちゃを楽器として使用する交響曲ですが、1785年頃に神父シュテファン・パルセッリが写譜したものでは、「バイエルン州の著名な保養地ベルヒテスガーデンの玩具店製のおもちゃを使用」と妙なこだわりが生まれてしまうくらい長い年月の間でも演奏されながら、実際の作曲者は誰なのかは誰も知らないという不思議な楽曲です。
当初、交響曲の父として名高いフランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲したとなっていましたが、作風が違いすぎたため、探っていくと5歳年下の弟、ミヒャエル・ハイドンが作曲したのではないかと推測されました。
とはいえ、その確証もなく憶測が憶測を呼びモーツァルトが作ったんじゃないかというところにまで飛び火します。
後年の1951年にバイエルン州立図書館でモーツァルトの父親であるレオポルトが作曲した作品のなかにこの作品が使われていました。
さらに1992年になってチロル地方にあるシュタムス修道院の蔵書に写譜が見つかり「エドムント・アンゲラーが1770年に作曲した」と記載されていたため、このオーストリアの神父が作曲者ではないかと推察されましたが、結局アンゲラーは編曲者で、おそらくミヒャエル・ハイドンが作曲したとするのが筋が通っているのではないかとなったようです。
ここまで来てしまえば誰が作曲者でも構わないとは思いますが、本当のところはどうなのか。歴史を遡りどんなに調べても本当のことはわからないということはよくある話。
ただ、歴史から人々の暮らしや気持ちを推察することは、人類の性質や傾向が窺い知れるところがあります。
そして、あの時の人々はこうだったんじゃないかと思いを馳せ、楽しむことはロマンがあります。
そこに意味があるとか価値があるとかではなく、かつてあった想いから自分自身を内省する材料として取り込み糧にできることはあるはずです。
音楽を楽しみながら、その曲を取り囲む周りの想いも嗜み、豊かな時間を享受したいものですね。