【音楽×珈琲 鑑賞録】11月22日~ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト 『交響曲』第38番「プラハ」
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【40日】
11月22日のテーマは、【作曲・演奏】
とりあげる作品は、
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト /
『交響曲』第38番「プラハ」
です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Wolfgang Amadeus Mozart
1756年1月27日 - 1791年12月5日
オーストリアの音楽家
交響曲第38番 ニ長調 K. 504 は、1787年1月19日にプラハにて初演された、通称「プラハ」という名称がついた作品です。
モーツァルトの交響曲のなかには地名がつけられた作品が4作あります。
そのなかのひとつ「プラハ」は、まさにモーツァルトがプラハで歓迎を受けたために名付けられたようなもので、モーツァルトのプラハ滞在は音楽史にとっても重要な分岐点になっています。
1786年12月、プラハでの歌劇『フィガロの結婚』K. 492の上演が大成功を収めたことにより、モーツァルトはプラハから招待を受け、作曲していたこの作品で自ら指揮を振るい、成功を収めます。
これを受け名作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を上演。
熱狂的なまでの成功を収め、モーツァルトのプラハでの人気を不動なものにしました。
ウィーンが音楽の都であるなか、現チェコ、当時はボヘミア王国の首都としてプラハは戦争後の復興に向かう発展途上でした。
人口も増加し、音楽を楽しむ人々も増えていた時期と合致し、モーツァルトの音楽はウィーンよりもプラハの方が先に受け入れられるようになります。
モーツァルトにとっても幸福な日々を過ごしていましたが、パトロンの少ないプラハでは暮らしていけないということで、結局ウィーンに定住するようになります。
この楽曲ではモーツァルト自身も発展を遂げていくようなバッハ的書法が見られ、のちの「バッハ体験」と呼ばれる創作の萌芽があります。
第1楽章の第1主題は耳馴染みのあるフレーズで、歌劇『フィガロの結婚』の有名なアリア「もう飛ぶまいぞこの蝶々」の旋律が施されています。
さりげなくも確固たる対位法的旋律で、冒頭から聴くものを引き寄せています。
時代と土地と才能の邂逅がこの作品を分岐点にして展開していったかもしれないと思うと、音楽の歴史にとって太く濃いドットのような作品です。
優雅で快活な旋律のなか、遠い歴史に想像を膨らますことも楽しい時間になりますね。