【音楽×珈琲 鑑賞録】11月8日~エリック・サティ 3つのジムノペディ
音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【54日】
11月8日のテーマは、【作曲・演奏】
とりあげる作品は、
エリック・サティ /
3つのジムノペディ
です。
エリック・アルフレッド・レスリ・サティ
Érik Alfred Leslie Satie
1866年5月17日 - 1925年7月1日
フランスの作曲家
「ジムノペディ」(Gymnopédies) は、1888年、パリ・モンマルトルの酒場でピアノ伴奏を仕事にしていた22歳頃に作曲したピアノ独奏曲です。
ジムノペディという名称は、古代ギリシアのアポロンやバッカスなどの神々をたたえる祭典「ギュムノパイディア」(Gymnopaedia)に由来していて、この祭りの様子を描いた古代の壺を見て曲想をえたそうです。
「3つの」という言葉が表す通り、第1番から第3番までの3曲で構成され、それぞれに指示があり、
第1番「ゆっくりと苦しみをもって」 (Lent et douloureux)
第2番「ゆっくりと悲しさをこめて」 (Lent et triste)
第3番「ゆっくりと厳粛に」 (Lent et grave)
通底して、起伏がなく物憂げで暗い音響が続きます。
第1番冒頭のメロディがもっとも聴き馴染みのある作品ですが、一気にアンニュイな気持ちに落としこんでくる音楽に作曲家の力量が窺えます。
1897年に、クロード・ドビュッシーが管弦楽曲に編曲したものも人気です。
ドビュッシー版の管弦楽編成では、第1番と第3番のみで、第3番が先で第1番が後に演奏されます。
なぜ第2番を編曲しなかったのかと問われたドビュッシーは「第2番まで編曲して聞かせるには少し退屈だから」と語ったそう。
実にフランス人のアイロニーが効いたユーモアセンスを思わせるエピソードです。
このサティの作風はミニマル・ミュージックにも影響を与え、「現代音楽のルーツ」といわれるほど音楽性に独特の個性があり、えも言われぬ魅力があります。
いま、朝の曇りがちな天候のもと、コーヒーを愉しみながら聴いていると、感覚が一気に物憂げなものになり、世界観にどっぷりと浸ってしまいました。
サティの音楽は、ただそこにある音楽、「音楽は自然に存在するべきだ」という言葉の意味を実感してしまいます。
違う角度から音楽のチカラを教えてくれるサティの音楽、体験を通した学びの多い時間でした。