上手に自慢話をする方法 ー「デュアルプロモーション」という伝え方ー
こんにちは。紀藤です。今月号のハーバード・ビジネス・レビューの雑誌に『上手に自慢話をする方法』というタイトルの記事がありました。
ある論文の研究を元にした記事なのですが、「あなたも活躍したし、私も活躍した」という「デュアル・プロモーション(二者宣伝)」を行うと、有能さと温かさのどちらも伝えられるというもので、興味深いものでした。
元論文にあたってみたところ、未発表で査読中の論文でしたが、原本が見つかったので、本日はその論文内容を、ご紹介させていただきます。
それでは、まいりましょう!
今回の論文
1分でわかる本論文の概要
本研究では、自己プロモーションと他者プロモーションを組み合わせた『デュアルプロモーション(ニ者宣伝)』という新しいアプローチが、温かみと有能さの両方の印象を同時に高め、観察者に好印象を与えることを実証した。具体的な研究として、研究者らは1500人以上が参加する複数の実験を行った。
1つ目の実験では、採用決定に携わる米国のマネジャーに、同僚と遂行したプロジェクトについて従業員の評価を読んでもらった。半数はデュアルプロモーションの文章(両者の貢献を強調する文章:「アレックスの仕事には感銘を受けました。私たちはそれぞれ自分の得意分野を担当しました」)を読み、残りの半数は自己プロモーションの文章(「私は自分の得意分野を担当しました)を読んだ。そして全員に、有能さ・温かみ・総合的な印象を評価してもらった。
その結果、デュアルプロモーションのほうが温かみがあるとみなされ、良い印象を与えた。
2つ目の実験でも、デュアルプロモーションがその人のイメージを向上させることが示された。また、3つ目の実験では、デュアルプロモーションを行った政治家を、有権者は有能かつ温かみがあると判断した。
(2024年11月_ハーバード・ビジネス・レビュー P4より引用)
という内容です。
自分のことをアピールしたいとしても、「他者をほめる&自分のことも伝える」というがよいということですね、なんだか実用的なテーマです。
研究の内容
デュアルプロモーションとは
何度も出てくるキーワードのデュアルプロモーションですが、たとえば、以下のようなイメージとなります。
参加者
総数1,510名(性別・年齢層の内訳については不明)
米国の大学生、一般参加者、およびプロの管理者・雇用担当者
温かみ:参加者の温かみを測定するための7段階評価で4項目の質問票
有能さ:有能さを測定する、7段階評価の4項目質問票
総合的な印象:全体の印象を評価する1項目の評価指標
行動意図:参加者が観察者として、相手への投票意図や支援意欲など、積極的な行動をとる可能性が評価されました
分析方法
相関分析:デュアルプロモーションと自己プロモーションの条件で温かみ、有能さ、総合印象の相関関係を調査し、各条件の影響の比較を行いました。
分散分析(ANOVA):自己プロモーションとデュアルプロモーションが印象に与える効果の有意差を検証するために、分散分析が用いられました。
結果
わかったこと1:「デュアルプロモーション」は、より好意的な印象を与える
デュアルプロモーション(自己プロモーションと他者プロモーションを組み合わせた方法)は、自己プロモーションのみと比べ、観察者に対して温かみと好感度を高める効果が見られました。
特に「温かみ」の評価が大幅に向上し、これが全体的な好印象につながる要因となりました。
わかったこと2:デュアルプロモーションは「行動意図」を引き出す
デュアルプロモーションを使用した場合、観察者は対象者に対して協力的な行動や支援意欲(例:投票意図など)を持つ可能性が高まりました。
この結果から、デュアルプロモーションは他者の協力や支援を引き出す有効な戦略であると考えられます。
まとめと感想
非常にシンプルな話ですが「上手に自慢話をする方法」として、「○○さんの仕事は素晴らしかった! そして私はこんなふうに貢献しました」と伝えることは、職場でもそれ以外でも、周りに良い印象を与える、大変実用的な言い回しだと思いました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!