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「性格」と「人格」の違いってなんだ?ーHEXACOとVIAとビックファイブの相違点を調べた研究ー

こんにちは。紀藤です。かねてより「性格の強み(Character Strengths)」についての論文を、ご紹介してまいりました。

性格系の診断は、実にさまざまな種類があります。
MBTI、エニアグラム、ストレングス・ファインダー・・・、個人の思考や行動を探索するツールも数多く出ています。

ちなみに、研究という観点でみると、その中で信頼性が高いものは「ビックファイブ」と「HEXACO」です。多くの研究がなされています。

今日はこの「ビックファイブ」「HEXACO」という有名なパーソナリティ研究と、性格の強みの「VIA」の関連について調べた研究がありました。

ややマニアックではありますが、面白かったので、ご紹介させていただければと思います。それでは、どうぞ!


「性格」と「人格」の違いとは?

人の行動特性を表す単語には、「性格」(Character)と「人格」(Personality)の2つが存在しています。

厳密に切り分けられて定義できるものではないのですが、調べてみると、以下のような意味合いを持つようです。

●性格(Character)とは
・性格は生得的に形作られた行動様式を指し、英語では「キャラクター(character)」と呼ばれる。
・どちらかというと先天的で、安定している。”気質”のようなもの。
・例:VIAの「性格の強み」(Character Strengths)

●人格(Personality)とは
・人格はその人が持つ独自の特性や行動様式を包括する概念であり、時間とともに変化する可能性がある。
・どちらかというと後天的で、生育環境で作られる。可変的なもの。
・例:ビックファイブ、HEXACOの項目

なんだかややこしいのですが、Personalityとは、ペルソナ(仮面)が語源とのことで、社会的に獲得されていく要素のようなものだそう。

そもそも日本語では、「性格」という言葉に、PersonlityもCharacterの意味も含めて使っていると思われます。なので、ややこしいのですね。

参考:https://fujinkoron.jp/articles/-/7680?page=2#goog_rewarded

「性格」や「人格」を表す言葉の数々よ

さて、この性格や人格など、説明していてもこんがらがりそうなものですが、これらを表す代表的な言葉は、1930年代から発展してきたパーソナリティ研究から、ある程度の合意が取られてきています。

それが、先述の「ビックファイブ」「HEXACO」「VIA」などにまつわる研究です。たとえば、HEXACOで言えば、以下のように人格(Personlity)の要素を定義しました。

<HEXACOの6つのパーソナリティ次元(Personlity)と下位項目>
1.正直さ・謙虚 (誠実さ、公平さ、貪欲回避、謙虚さ)
2.情緒性 (恐怖心、不安、依存性、センチメンタル)
3.外向性 (社会的自尊心、社会的大胆さ、社交性、活力)
4.協調性 (寛容、優しさ、柔軟性、忍耐)
5.誠実性 (組織、勤勉性、完璧主義、慎重さ)
6.開放性 (審美眼、探究心、創造性、型破りさ)

また、VIAでは「性格(Character)」の要素を、以下の24に分けて定義をしています。

<VIAの性格の強み(Character Strengths)の定義>
1.知恵の美徳(創造性、好奇心、知的柔軟性・批判的思考力、向学心、大局観)
2.勇気の美徳(勇敢さ、忍耐力、誠実さ、熱意)
3.人間性の美徳(愛情、親切心、社会的知性)
4.正義の美徳(チームワーク、公平さ、リーダーシップ)
5.節制の美徳(寛容さ、慎み深さ・謙虚さ、思慮深さ・慎重さ、自律心)
6.超越性の美徳(審美眼、感謝、希望、ユーモア、スピリチュアリティ)

それぞれ研究を経て、合意された性格・人格のキーワードです。
そして、幸福度や年収、仕事のパフォーマンスなどにまつわる様々な研究論文が出ているわけです。

ただ、ややこしいのが、「なんとなく似ている」というところです。

ビックファイブとHEXACOとVIAの関連とは

ここで、アメリカの研究者らが、この性格と人格の関連について掘り下げようとしました。内容は「HEXACO」「ビックファイブ」「VIA」の関連について、1000名以上の参加者に調査をした、という研究です。それがこちらです。

論文タイトル:『 Are Measures of Character and Personality Distinct? Evidence From Observed-Score and True-Score Analyses』(性格と人格の測定は異なるか?観測スコアおよび真スコア分析からの証拠)
著者:Robert E. McGrath、Lewis R. Goldberg
ジャーナル:Journal: Assessment, 2020年

この研究では、2つの研究を通じて、VIAモデルの性格の強みと一般的な人格側面の間の重複を調査しました。その結果、以下のようなことがわかりました。

HEXACOモデルと重複を示した8つのVIA尺度

  1. 寛容性 (Forgiveness)

    • HEXACO側面: Emotionality(情緒性)

    • 関連性: 人に対する許容性と情緒的な安定性に関連している。

  2. 感謝 (Gratitude)

    • HEXACO側面: Sentimentality(感情移入性)

    • 関連性: 他者や状況に対する感謝の気持ちと深い感情的結びつき。

  3. 創造性 (Creativity)

    • HEXACO側面: Openness to Experience(経験への開放性)

    • 関連性: 新しいアイデアや視点を生み出す能力と知的好奇心。

  4. リーダーシップ (Leadership)

    • HEXACO側面: Extraversion(外向性)

    • 関連性: 社会的に主導的な行動とエネルギッシュさ。

  5. 希望 (Hope)

    • HEXACO側面: Optimism(楽観性、HEXACOでは外向性の一部)

    • 関連性: 将来へのポジティブな期待と楽観的な態度。

  6. 誠実さ (Honesty)

    • HEXACO側面: Honesty-Humility(誠実-謙虚性)

    • 関連性: 誠実で倫理的な行動への傾向。

  7. 情熱 (Zest)

    • HEXACO側面: Liveliness(活発さ)

    • 関連性: エネルギッシュで熱意ある態度。

  8. 公正さ (Fairness)

    • HEXACO側面: Honesty-Humility(誠実-謙虚性)

    • 関連性: 正直さと社会的正義を求める傾向。

VIAとビックファイブ、HEXACOの相関

まとめと感想

HEXACOとかビックファイブとか、VIAとか色々あるなあ・・・。この違いや共通点はどんなところなのかな、と思ってGoogleScholarをポチポチしていると、この論文が見つかりました。

私たちが思う、素朴な疑問の多くは、研究者によって探求されているという事実を改めて感じます。

VIAの研究はまだ新しいですが、ビックファイブは多くの研究がされており、このVIAとビックファイブ、HEXACOの関連が見えることで、過去の知見をVIAにも活かすことができる有益な研究だと感じた次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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