「性格」と「人格」の違いってなんだ?ーHEXACOとVIAとビックファイブの相違点を調べた研究ー
こんにちは。紀藤です。かねてより「性格の強み(Character Strengths)」についての論文を、ご紹介してまいりました。
性格系の診断は、実にさまざまな種類があります。
MBTI、エニアグラム、ストレングス・ファインダー・・・、個人の思考や行動を探索するツールも数多く出ています。
ちなみに、研究という観点でみると、その中で信頼性が高いものは「ビックファイブ」と「HEXACO」です。多くの研究がなされています。
今日はこの「ビックファイブ」「HEXACO」という有名なパーソナリティ研究と、性格の強みの「VIA」の関連について調べた研究がありました。
ややマニアックではありますが、面白かったので、ご紹介させていただければと思います。それでは、どうぞ!
「性格」と「人格」の違いとは?
人の行動特性を表す単語には、「性格」(Character)と「人格」(Personality)の2つが存在しています。
厳密に切り分けられて定義できるものではないのですが、調べてみると、以下のような意味合いを持つようです。
なんだかややこしいのですが、Personalityとは、ペルソナ(仮面)が語源とのことで、社会的に獲得されていく要素のようなものだそう。
そもそも日本語では、「性格」という言葉に、PersonlityもCharacterの意味も含めて使っていると思われます。なので、ややこしいのですね。
「性格」や「人格」を表す言葉の数々よ
さて、この性格や人格など、説明していてもこんがらがりそうなものですが、これらを表す代表的な言葉は、1930年代から発展してきたパーソナリティ研究から、ある程度の合意が取られてきています。
それが、先述の「ビックファイブ」「HEXACO」「VIA」などにまつわる研究です。たとえば、HEXACOで言えば、以下のように人格(Personlity)の要素を定義しました。
また、VIAでは「性格(Character)」の要素を、以下の24に分けて定義をしています。
それぞれ研究を経て、合意された性格・人格のキーワードです。
そして、幸福度や年収、仕事のパフォーマンスなどにまつわる様々な研究論文が出ているわけです。
ただ、ややこしいのが、「なんとなく似ている」というところです。
ビックファイブとHEXACOとVIAの関連とは
ここで、アメリカの研究者らが、この性格と人格の関連について掘り下げようとしました。内容は「HEXACO」「ビックファイブ」「VIA」の関連について、1000名以上の参加者に調査をした、という研究です。それがこちらです。
この研究では、2つの研究を通じて、VIAモデルの性格の強みと一般的な人格側面の間の重複を調査しました。その結果、以下のようなことがわかりました。
HEXACOモデルと重複を示した8つのVIA尺度
寛容性 (Forgiveness)
HEXACO側面: Emotionality(情緒性)
関連性: 人に対する許容性と情緒的な安定性に関連している。
感謝 (Gratitude)
HEXACO側面: Sentimentality(感情移入性)
関連性: 他者や状況に対する感謝の気持ちと深い感情的結びつき。
創造性 (Creativity)
HEXACO側面: Openness to Experience(経験への開放性)
関連性: 新しいアイデアや視点を生み出す能力と知的好奇心。
リーダーシップ (Leadership)
HEXACO側面: Extraversion(外向性)
関連性: 社会的に主導的な行動とエネルギッシュさ。
希望 (Hope)
HEXACO側面: Optimism(楽観性、HEXACOでは外向性の一部)
関連性: 将来へのポジティブな期待と楽観的な態度。
誠実さ (Honesty)
HEXACO側面: Honesty-Humility(誠実-謙虚性)
関連性: 誠実で倫理的な行動への傾向。
情熱 (Zest)
HEXACO側面: Liveliness(活発さ)
関連性: エネルギッシュで熱意ある態度。
公正さ (Fairness)
HEXACO側面: Honesty-Humility(誠実-謙虚性)
関連性: 正直さと社会的正義を求める傾向。
まとめと感想
HEXACOとかビックファイブとか、VIAとか色々あるなあ・・・。この違いや共通点はどんなところなのかな、と思ってGoogleScholarをポチポチしていると、この論文が見つかりました。
私たちが思う、素朴な疑問の多くは、研究者によって探求されているという事実を改めて感じます。
VIAの研究はまだ新しいですが、ビックファイブは多くの研究がされており、このVIAとビックファイブ、HEXACOの関連が見えることで、過去の知見をVIAにも活かすことができる有益な研究だと感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!