「チームの役割」と性格の強みの関係を調べたら、がっつり関連していました ~論文レビュー~
こんにちは。紀藤です。本日は「チームの役割と性格の強み」についての論文をご紹介いたします。
ポジティブ心理学の観点から定義された「チームの7つの役割」と「VIAの24の強み」がどのように相関をしているのか? そして仕事満足度とはどのような関連があるのかを研究した論文です。
論文を通じ、強みと相関が強いチームの役割が示されているため、自分がVIAのアセスメント結果を照らし合わせながら、どの役割が自分は取りやすそうなのか、イメージすることもできるかもしれません。
ということで、早速見てまいりましょう!
チームの「役割」とは
「役割」という言葉に対しての定義もいくつかあるようです。
たとえば、Biddle(1979)は「役割とはある文脈における一人または複数の人物の行動特性と示しました。また、Belbin(1981)は「役割とは、性格・能力・価値観・動機・経験・学習・文脈の影響の結果として採用され、実行される行動のパターン」とより広い定義をしています。
そして、いくつかの行動特性・パターンとしての「役割」は、チームの文脈で使われることも多くあります。
チームの役割モデルには、いくつか提案されたものがありますが、今回の研究で採用するものはポジティブ心理学の観点から示された「7つのチームの役割」です。VIA Instituteが2013に以下の観点で検討をしました。
a)チーム行動のポジティブな側面に焦点をあて、
b)個人にとって(例:仕事満足度など)チーム全体にとって(例:チーム生産性など)
c)有益なチームの役割を説明し、区別できるモデル
として提案し、その結果、以下の役割が定義されたのでした。
(詳しくは以下記事をご参照ください)
本研究について
さて、本研究では、上記の7つの役割と性格の強みについて、以下のような実証研究を行いました。まず目的は以下の3つです。
方法と手順
・参加者:18~77歳の268名が対象
・VIA Team-Roles Inventoryを開発し、「チームの役割をどの程度習熟してできるのか」を評価する63の項目を作成、因子分析と負荷量を検討し、合計35項目の最終版の項目を作成しました。
・その上で、「現在のチームでの役割」「チームに費やした時間」「部下の数」「VIAーIS」の質問紙を調査し、それぞれ相関を調べました。
(参考)VIA Team-Roles Inventoryとは
役割理論(Biddie, 1979)に基づき、「チームの役割をどの程度習熟してできるか」について、a)役割を遂行する能力と、b) 性格と文脈の適合性(楽しさやエンゲージ・フロー)を包含する項目として作成しました。たとえば、以下のような形です。
結果
わかったこと:チームの役割と性格の強みは正の相関があった
チームの役割に対して、それぞれの性格の強みが、影響の大小はありこそ擦れ、影響をしていることがわかりました。
その中でも特徴的だったこととして、「忍耐力・熱意・チームワーク・リーダーシップ・希望」の強みは、ほとんどの役割の予測因子であったことがわかりました。
わかったこと:全てのチーム役割は、仕事満足度と相関があった
特にチーム役割の中でも、「アイデア創造者(IC)」の役割は最も仕事満足度が高い結果となりました(分散の22%)。一方、情報収集者の役割は仕事満足度との関係が最も弱い結果となりました(分散の7%)。
また、個人によって遂行される役割が多いほど、より高い仕事満足度が見られることがわかりました(分散の15%)。
チーム役割に関連する性格の強み
以下、それぞれのチーム役割に対して、相関が高い性格の強みを整理いたします。ややマニアックなようですが、VIAを受けて自分の性格の強みがわかっていたとしたら、自分がどのチーム役割を担いやすそうかをイメージすることに役立つかと思います。
まとめと感想
今回の「7つのチームの役割」の実行に対して、「性格の強み」が重要な役割を果たしていることが定量的な調査でわかりました。またこれらのチームの役割を果たすことで、仕事満足度の向上に繋がることもわかりました。
チームワークを機能させるために、これらの7つのチームの役割を想定し、そして、チームメンバーがそれぞれどれを担えるのかを宣言し合ったとすると、チームの生産性もそうですが、個人の仕事満足度も高まることが予想されます。
そういった意味で、とても実践的な研究でもあると感じた次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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