「強み」に名前がつくと、「強み」が立ち現れるという話
日々「強み」について考え続けている強み研究者&実践者(自称)ですが、ずっとやりたい・・・!と考えていたことがありました。
それが、「VIAワークショップ」です。
後ほど語りますが、VIAはとても多くの魅力がありました。そして、来週初めてのワークショップを実施するのですが、そのVIAのワークショップのプログラム開発を行う道のりの中で、私自身にも新鮮な発見がありました。今日はそのお話について、お伝えしてみたいと思います。
ストレングス・ファインダーとVIAのそれぞれの魅力
私(紀藤)は、Gallupのストレングス・ファインダーの認定コーチの資格を保有しています。そして普段は、企業向けにストレングス・ファインダー(クリフトンストレングス)を使った強み活用の研修をさせていただく機会も多いです。
ストレングス・ファインダーは「仕事のパフォーマンスに繋がる強み」を特定できるため、職場での活用の相性は非常によく参加者の反応も、職場での強みの活用の影響も上々です。
あえて気になることをいうならば、強みを探求するものとして、「論文をいくら調べても、ストレングス・ファインダーは出てこない」ということです。Gallupが持っているデータベースは”秘伝のタレ”的な扱いなのか、学術的なエビデンスがあまりありません。民間企業なので仕方ないかもしれませんが、信頼性に限りがあるのは、少し物足りなさを感じてはいました。
一方の「VIA」。こちらは強みに関する論文を読み進める中で、「VIA」の魅力がどんどん高まっていきました。VIAは幅広く人の強みを特定するもので、仕事だけでなく、学生の学業成績、家庭での夫婦関係への影響、幸福度(ウェルビーイング)の影響など、多方面での調査が行われています。そして、それが800を超える論文になっています。よって、以下のような魅力がありました。
そんなこんなで、VIAを掘り下げてみたい!という思いがむくむくと育っていきました。ストレングス・ファインダーに負けず劣らず魅力的です。
VIAの強みをまとめるというプロセス
強みの特定・活用のプロセスは、基本的にストレングス・ファインダーもVIAも同じメカニズムです。ですので、VIAのワークショップを考える上でも、基本は同じ流れを適用できました。
では、何が違うかというと、大きくは「ストレングス・ファインダーは34の資質(=強みの元となる才能)で、「VIAは古今東西の文献研究から見つかった24の強み」である、ということ。
よって、各アセスメントで特定される「強みに関連する概念の切り分け方」が異なっているというのが大きな違いです。もちろん、双方に似ている概念もあるのですが、少なくとも全く一緒ではありません。
そして、今回「VIAの24の強み」の概念を、各種文献から自分なりにまとめていきました。そのVIAの強みをまとめる中で新鮮な発見があったのでした。
一言で言えば、「自分自身の”強みの認識”が広がった」のです。
「審美眼」という強みの概念
具体的にどういうことかというと、たとえば「審美眼」という強みです。
審美眼とは、「日常の美しさに気づく強み」のことで、自然に驚嘆したり、人の卓越した技術や能力を称えたり、人の道徳的な善良さに感動できたりする強みで、美意識の高さなどを示します。この強みは、私の認識する限りストレングス・ファインダーには存在していません(類するものはあるのかもしれませんが)。
その強みをまとめる中で、私の妻の強みの1位が「審美眼」であることを知りました(妻にもテストを受けてもらった)。彼女はデザインは得意で、もともとデザイナーです。ゆえに、研修のテキストやスライドのデザインなどを担当していました。しかし、これまでは「審美眼」という概念を手に入れていなかったので、そうしたテキスト作成のセンスなどについて、その価値をぼんやりとしか認識していなかったのです。
しかし、強みの概念が増えたことで「強みとしての審美眼」を明確に認識できるようになりました。そして、妻の強みをこれまで以上に感謝できるようになった、そんな内的な変化を感じたのです。
些細なことかもしれませんが、私にとっては大きな気づきでした、
名前がつくと「強み」が立ち現れる
「強みに名前が与えられる」ことによって、強みが認識できるようになる。
これが、今日一番お伝えしたかったことです。
強みについて、その概念を名前とともに手に入れることで、その存在が立ち現れてくるものです。こうした考え方を「社会構成主義」といいますが、そのような力をまさに強みについて感じたのでした。
強みを見極めるメガネのようなものが強みにアセスメントです。それを理解するためのツールの一つが、ストレングス・ファインダーでありVIAです。そしてそれは、絶対的な答えではなく、強みを認識するための一つのツールでしかありません。
よって、一つのツールに囚われるのではなく、強みの実践者はストレングス・ファインダーも、VIAも、あるいはStrength Profileも含めた、他の強みアセスメントも含めて理解すると、強み捉え方も広げることができ、多くのメリットがあるのだろうな、そんなことを実体験として感じた次第です。
もっともっと、強みのメガネを鍛えることができそうだ、そんなことも感じたプロセスでございました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!