仕事よりプライベートのほうが「強み」は発揮しやすい?! ~強み適用の研究からわかったこと~
こんにちは。紀藤です。本記事にお越しいただき、ありがとうございます!
さて、本日は先日の記事の続きをご紹介したいと思います。テーマは「強みには発揮されやすいものと、発揮されづらいものがある?!」というお話です。
言われてみたら分かる気がするのですが、「勇敢さ」のようなものはいつ何時も発揮できるものとは限りません(現実はドラマのようにいつもピンチばかりではない)。でも「誠実さ」みたいなものは、比較的日常生活で活用しやすい感じがします。
じゃあ、実際のところ、どうなの? このことについて実査に調査をしてみました!という研究です。
うん、気になりますね。ということで、早速まいりましょう!
30秒でわかる本記事のポイント
性格的強みの中には「『トニック』は”持続的なもの”」『フェイジック』は、”相動的なもの(たまに現れる)」があるとVIA開発者のセリグマン&ピーターソンは述べた。
このことについて、1,111名の対象者への調査から分析したところ、24の強みの中で現れやすいものとそうではないものがあることがわかった。
また、研究者らは「職場の方がフォーマルな環境であるため、プライベートより、個人の強みの発揮が制限されるのでは?」と仮説を立てた。
その結果を、同様に検証したところ、職場に比べて、プライベートのほうがより強みを発揮しやすいことがわかった。
という内容です。では具体的にどのようなことが書かれているのか、詳しく見てみましょう!
「トニックな強み」と「フェイジックな強み」
強みアセスメントのゴールド・スタンダードVIAを開発したセリグマン&ピーターソンは、このように言いました。
なるほど、VIAで定義されている、24種類の強み単体を見比べても、現れやすい強みと、そうではないものがあるようです。
ゆえに、「どの強みを使っていますか?」という質問に対しても、トニックかフェイジックかによって平均スコアが変わってくることが予測されそうです。
仕事よりもプライベートのほうが強みを発揮しやすい?
上記に加えて、論文の著者らは、こんなことも考えました。
それが「職場での”性格的強みの適用可能性”は、私生活よりも小さい」という仮説です。人は置かれた環境の中で行動を変えます。家庭内と職場内、まるで全く同じ行動をする、という人は少ないはず。それは役割や求められていることが違うからです。
その中で、よりフォーマルな状況である「職場」においては、インフォーマルな状況である「私生活」よりも、役割や機能が制限されると想定されます。つまり、職場ではその文脈での”望ましい行動”がありますから、多くの人が”大人として行動すること”が予測されます。
これが見方によっては「強みの発揮を制限している」ことになるのでは、と考え、このことを検証しようとしたのでした。
研究の結果
では、実際にどのような結果になったのでしょうか。以下内容をみてまいりましょう。
わかったこと1:職場と私生活における「強みの適用の内部一致度」は低かった
1111名を対象に、強みがどれくらい使えているのか?を測定する尺度である「性格的強みの適用可能性評価尺度(ACS-RS)」を活用して、調査を行いました。
その結果、興味深かったのが、参加者の「職場と私生活における強みの内部一致度が低かった」ことでした。つまり、ある人が「職場ではリーダーシップつかってるけど、プライベートでは全く使っていない」と答えたり、「家庭では愛情を使っているけど、仕事では使ってない」と答えていた、ということです。
人は様々な役割を持ちますが、仕事で求められる強みと、家庭内で求められる強みが違っている感覚を持っているは多いようです。特に、多くの人は何かしらの組織などで働いていると思われるので、そうすると職場に求められる振る舞いをすることも想定されます。
(ちなみに、今回の対象者1111名は、医師、販売員、エンジニア、機械工、事務職などで、一番多い職業は「教師」でした)
わかったこと2:性格的な強みは仕事よりもプライベートで使われていた
次に、24の強みについて分析をしたところ、「性格的な強みの適用可能性評価」のスコアは、全体として仕事よりもプライベートのほうが高いという結果になりました。仕事でより使われている強みと、プライベートでより使われている強みを整理すると、以下のようになりました。
ちなみに、公正さとチームワークの強みについては、仕事とプライベートで適用可能性に差はありませんでした。
以下、詳細の分析結果となります。(左が「強み」、真ん中が「仕事」、右が「プライベート」のスコアです)
わかったこと3:強みには現れやすいものとそうではないものがある
また、24の強みそれぞれの性格的強みの適用可能性をみたところ、「勇敢さ」「宗教性」が最も適用する頻度が少なく、「誠実さ」「社会的知性」が最も頻繁に適用できる、という結果になりました。
まとめと個人的感想
VIAとは違う強み診断ツールですが、ストレングス・ファインダーを用いて研修をやっていても、参加者の方から「仕事とプライベートですが、仕事モードで受けたのでそういう結果だなあって感じます」とおっしゃられる方に、しばしば出会います。
今回のVIAのテストでも、仕事とプライベートの強みの適用の調査で内部一致度が低かったという結果から考えても、人は多面的な存在であるのだなあ、と感じさせられます。
一方、「強みとはアイデンティティに紐づくもの」という話もありますので、個人的には両者で発揮される強みを違うものとするよりも、統合させつつ合させていくプロセスも大事なようにも感じたのでした。
自分のことしか引き合いに出せませんが、「向学心」「好奇心」など、自分の中核的な強み(特徴的な強み=Signature Strength)はやはり、仕事でもプライベートでも、どちらでも主エンジンとして働いていると感じます。そしてそれを使っているときのほうが、幸せなのです。
そして年を経るごとに(特に独立してから)「仕事もプライベートも垣根がなくなっていて、強みの発揮はどちらも同じものを使っている」という感覚と、自己一致感が高まっている(ような気もする)のでした。
このあたりはまだ整理ができていないので、引き続き探求して参りたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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