松方コレクションの意味がようやく分った

8月25日(日)、久々に国立西洋美術館に行った。

特別展は松方コレクション。見てみると常設展にあるやつばっかりじゃんか。と思ったらそもそも国立西洋美術館は、松方幸次郎氏が個人で収集した絵画を展示するために作られたということ。なるほど、常設展入ってすぐのところにそういう説明書があったような気がするが素通りしていた。「日本人に本物の西洋絵画を見せてやりたいんや」という思いで、後に国立美術館レベルの量、質の画を個人で集めてしまったというのだから、お金を思うと途方も無い。情熱ですなあ。

肝心の画ですが、マネモネセザンヌゴーギャンルノワールなど、ぱっと見綺麗で受け入れやすい画が多い。私もずっと目が楽しく、ここに布団敷いて寝たら目覚め幸せだろうなと思った。「西洋絵画」というハイカラなイメージを裏切らない画たち。伝統ある国立西洋美術館常設展にふさわしいぜ。

そう、私たちのイメージする「西洋絵画」は、松方コレクションの影響によるものが非常に大きいのではないか。やはり日本唯一の国立の西洋美術館で、研究、出版、教育活動を担い、年間150万人以上が来場している。睡蓮や帽子をかぶった女とか美術の教科書に載っている作品もいくつもある。我々は、松方氏の審美眼や規範、思想を通して選ばれ、日本にやってきた絵画を「正統な西洋絵画」として学んだ。そういう土台があるのではないかとふと考えた。ここで松方氏が挑発的な画ばっかり選んでいたらそれはそれで面白いことになったのかもしれないが、今の所日本人はすっかり印象派大好きになっている気がする。私もルノワール先生大好き。

ともかく、たった一人の個人的な好みで集めて出来た美術館が、「日本は西洋美術をこのようなものだと解釈しています」と発信する国立の美術館になったというのは色々すごいことだと思う。松方氏が絵画的に常識的で、更に日本人の好みから逸脱していない人だから成り立ったような気がする。そうでなかったら国立にならなかったかもね。

それにしても三つ子の魂百までというが、中学生の時好きだったシスレーは相変わらず素敵だ。芸術に触れると美的快感が最高善だと確信する。


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