観能日記#2

2024年6月16日に観世能楽堂で実施された第2回清門別会が、本日『NHK古典芸能への招待』で放送されていたので、録画して見た。
目的は『三輪_誓納』。
観世の家元にしか伝わらない秘曲であり、そのため滅多に上演されることがない。
今年も演目が決まった時、「第2回清門別会、三輪誓納!!」とそれだけ刷られた号外チラシが能楽堂で配られていた。そのくらい特別な曲なのでしょう。
私は実際に観に行かなかったので、テレビで放送されてとてもありがたい。

最初の家元へのインタビューのメモ
・ 誓納とは、神楽の中の特殊な動き。
・ 翁と似ており、国土安穏と天下泰平を祈っている。
・ 誓納ということが一体なんなのかどういう意味なのか、伝書には書いていない。「ただひたすら誓納と唱えよ」と書いているのみで、各自考えなさいということ。

観た感想
・ 面がとても良かった。前シテは友閑の「布可飛」。通常だと深井戸。後シテは作者不明の増。人間の顔なのに人間らしさがない、神々しい秘めた力を宿している不思議さ。生きている人間に感じない美。不思議な気持ちのまま心を掴んで離さない。
・ 天岩戸の物語の再現、とても劇的で面白かった。誓納の型が入ることで緩急がより際立ち、乗ってくる所がとても楽しい雰囲気になっていた。本当に天岩戸の物語が目の前であっているような臨場感。こう言っちゃなんだが、小書があった方がないものより内容が理解しやすいし面白い。
・ 玄賓僧都の「いや罪科は人間にあり」って羽衣の白龍さんと真逆ですね。。

結論
・ 三輪はそもそもよく分かりにくい曲だが、小書きが入ることで後半がより一層盛り上がり、よくわからないけれど楽しく充実した演目なっていたと感じた。日本の古代信仰のおおらかな空気感、人と神が交わるというあり得ないこともたまに起きてしまうゆるさ、神々しくも厳格ではない雰囲気が良いと感じた。

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