Rhodes Pianoならぬ、Rhodes Guitar
私の店のオリジナルモデルに搭載しているピックアップを作っているピックアップ工房の方に無理を言ってRhodes Mark IIのピックアップの部材を使ってテレキャスターのピックアップを制作していただいた。
見た目はいかついのだけれど、音を出してみるとダンカンの50’sリイシューのピックアップにちょっと艶を出したような優等生なサウンドがした。私の手元にある72年と79年のFenderのテレキャスターのようなギラっとした感じはあまり無く、もっとすっきりとした感じであった。
パーツを取った元のRhodes Mark IIは1980年製。Fender冬の時代に作られた隠れた名機である。
元のRhodesのサウンドが、低音がボヨーンとなって、中音域がポワーン、高音がピチャピチャしたサウンドなので(わかりづらいか)、そのピックアップのポールピースとマグネットでギターピックアップを作るとどうなるのか、とても気にはなっていたのだが、思いのほかニュートラルで優等生なピックアップが出来上がってきたのは驚いた。
Rhodesのタインの振幅はギターの弦に比べて、低音は幅広く震え、高音域は少ししか震えない。いわばRhodesの方が振幅が極端なのだ。それがRhodesという楽器のサウンドを作り上げているのだと思う。
それに比べ、ギターの弦は高音も幅広く振る。Rhodesの中音域ぐらいの振れ幅ぐらいか。
Rhodesはタインの振動がシンプルで、かつ共鳴用の音叉のようなパーツ(トーンバー)がついているので、ああいうふんわりとした中音域が出るのだろう。対して、ギターは弦振動なので波形が複雑である。それがおそらく、エレキギターの倍音成分を生み出しているのだけれど、Rhodesのピックアップはギターのピックアップよりも出力が断然小さいので、一体どういうサウンドになるのかが気になっていた。
Rhodesのヘッドとマグネットを使ったギターピックアップがスッキリとした音(曇りの少ない音)が出たので、意外であった。案外使い勝手の良いぽイックアップに仕上がった。もっと、使えない感じの音になるのではないかと、恐れと、ちょっとだけの期待があったのだが、なんだか少し安心した。
しかし、今回取り付けたギターは元からおとなしい音がする個体であったので、これから制作するギターにつけたときにどうバケるのか。今から楽しみである。