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E-MUのVintage Keysを今更愛でる。
E-MUのVintage KeysというMIDI音源モジュールを持っている。メモリー電池がダメになっていて使えなくなっていたのを比較的安価に手に入れて、メモリー電池を入れ替えて使っている。
そもそも、MIDI音源モジュールという機械を触ったことがない方も多いだろう。かくいう私もこのVintage Keysを買うまではまともな音源モジュールを触ったことはなかった。Amazonで五千円ぐらいで買ったやつは持っていたのだけれど。
E-MUのVintage KeysはMIDIのコントローラーに接続して使う音源なのだけれど(当たり前か)、今はこういうことはパソコンやらスマホでできるみたいで、わざわざこういう機械を持っている必要はないのだそうな。それでは、なぜこの機械をわざわざ購入したかというと、これはこれでなかなか懐かしい音色が色々入っているからなのだが。
そもそも、この頃の音源モジュールのメモリーというのが8メガバイトとかそういう容量なのだそうで、そのメモリーの中にサンプリング音源を無理やり入れている。当然、全部録音の音が鳴らせるわけではないので、ちょっと録音して、それをオクターブ下げたり上げたりしたのに色々お化粧を施して鳴らしている。なので、例えばRhodesのサウンドといっても決してあのRhodesの音を期待してはいけない。
先にも書いた通り、昨今のステージキーボードには物凄い、本物に迫る音源が入っている。RhodesにとどまらずウーリッツァーやらCP70、ハモンドB3などの音源が入っているモデルが多いのだけれど、どれもなかなかリアルなサウンドでその音源だけで音としては本物の代用にはなる。
それに対し、このE-MUのVintage Keysのサウンドは、本物のサウンドとは似て非なるもので、この機械独特のものがある。そこが良い。今となっては、そういうところが楽しめる。
例えば、私はこのVintage KeysをCP-70Mに繋いで使っているのだが、Vintage KeysのCPのサウンドと本物のCPの音色が違いすぎて、一体本当にサンプリングした音源だったかしらと疑ってしまうのだ。ハモンドのような元々シンセサイザーのような楽器の音はなかなかよく再現しているのだけれど、CPやらRhodesやらWurlitzerのような元々がアナログな発音方法(まあ、B3もアナログなのだけれど)の楽器の音色はサンプリングではどうともできないものがあるのだろう。
CP-70Mに繋いで使っているというところも皮肉なもので、CP−70って元々持ち歩けるピアノを無理やり作ったようなものなのに、それにMIDIなんてつけちゃったら弦を張っている意味がないのではないか、と思えてしまう。けれど、E-MUを使ってみて分かったのだけれど、CP-70M時代のMIDI音源というのがどうもこういう怪しいものだったためもあってか、CP-70の弦で鳴らしているエレピの音も必要なのである。
YAMAHAはMIDIがある時代にCP−70をまだ作っていたのだから、エレピというものにある程度こだわりがあったのだな。それでなければあれは必要ないわけだから。
それはそうと、E-MUである。いわゆるデジタルのシンセなので面白みが深い類のものではないのだけれど、CP-70を鳴らす際にレイヤーとしてシンセも鳴らしたいという欲求には応えてくれる。一気に「それっぽい」音が出てくる。
まあ、そういう音が出せたところで私自身鍵盤楽器が演奏できるというわけではないのだけれど。
あー、練習しよう。