Stevie Wonderの”You and I”のピアノの音って、
Stevie Wonderのアルバム”Talking Book”の3曲めに入っている曲「You and I」のピアノの音が好きだ。
この曲はStevie Wonderがボーカル、ピアノ、シンセサイザーを弾いて、独りで録音しているようだ。彼のピアノ弾き語りの曲の中でも特に美しい曲のひとつだと思う。
この曲のピアノの音もとても美しく録れている。どこのスタジオで録音したのかはわからないけれど、彼が中音域から低音域のみを使って静かに歌の伴奏をしている。
特に、イントロのキラキラした感じと、2番に入ってからの低音が美しく、とても印象に残る。シンセサイザーの音色も邪魔せずに、きちんとピアノとしての主張をしている。
特に2番の”We can conquer the world"という歌詞の後に入ってくるピアノ(ミ、レb、レと下がってくる左手)がどっしりとしていて良い。
こういうどっしりとした低音はなかなか家庭用の普通のグランドピアノでは出ないだろう。音の立ち上がりから、音量が一瞬だがゆっくりと上がってくる感じとか、スタジオに置いてあったフルコンサートグランドピアノで録音したのだろうか。
録音の機材やミックスで音色はいじれるからはっきりとはわからないけれど、おそらくNew York Steinwayなのではないだろうか。わからないけれど。乾いた中音域の音色や、低音のどっしりと鳴る感じ、なんとも言えない美しさがある。
このアルバムはあのJeff BeckやDavid Sanbornも参加していて、賑やかで明るい曲調のトラックが多い中、3曲めにこのバラード”You and I”が特に印象に残る。アルバムとしてとても名作だと思う。
アルバムのレコーディングはロンドン、LA、ニューヨークと3箇所で行われているようなのだが、"You and I"がどこのスタジオで録音されているのかはわからなかった。誰かご存知でしたら教えてください。
しかしながら、この”You and I"のピアノトラックは特にピアノの音の録音に気合が入っていて(ピアノ弾き語りだからまあ、当たり前か)、ピアノ音楽全般をあんまり普段聴かない私でも、ピアノとはこうであるべきなのではないかと感じてしまうのだ。
1972年録音だから、もちろん録音はデジタルではないが、今日デジタルのキーボードにはSteinwayのD-274の音源は何種類も入っている。私が先日販売したデジタルキーボードにも1920年代のNew York Steinway、60年代のハンブルク、80年代後半のハンブルク(だったっけか?)の音源が入っていた。どれもサンプリングだと思うので、よくできていたけれど、この"You and I"を弾いたらどんな音がするのだろうか。(確認しなかった)
同じNew York Steinwayでも、調整のしかたで随分と音色の印象は変わるのでおそらく同じ音では鳴らないだろうけれど、あの乾いてどっしりとしていて少し冷たい低音はポピュラー音楽のレコードに入っているピアノの音色の中でも特に印象に残る。
普通にYamahaだったりして。