I'm Shaving。 Garth Brooksの歌うShameless
昨日の記事にも書かせていただいたが、Garth Brooksのベスト盤はおそらく私が初めて買ったカントリーミュージックのCDであった気がする。
地元札幌の札幌の澄川駅の駅前にフードセンターというスーパーマーケットがあるのだが、そこのすぐ横に古本屋があった。私は学校の帰りに飽きもせず毎日その古本屋に立ち寄ってCDや古本をみて、時々購入していた。
特に、CDは新品で購入すると3000円であったから、中古のCDが手に入るのは有り難かった。その2階にはレンタルビデオ屋があって、レンタル落ちのライブビデオなんかも販売していたので、そちらも毎日のように立ち寄っていた。そこではジャンルもバラバラ、アーティスト名も50音順とかで並んでいたわけではなかったので(洋楽と邦楽の区別ぐらいはあったかも)CDを探すことは容易ではなかった。
中古CDの相場は洋楽の名盤は1700円ぐらいだったので、なかなか買えなかったけれど、Jazzとカントリーは相場よりも随分安く、確かGarth Brooksのベスト盤は180円だったか280円だった気がする。ジャケットを見て、中身がどんな音楽かはわからなかったけれど、なんとなくカントリーミュージックであることは察しがついて、購入してみた。
購入した次の日、学校の友人にそのCDを見せたら、「あーガース・ブルックスね」と言われた。どうも、その友人はGarth Brooksを知っているようだった。日本の、北海道の、札幌の中学生にも知られていたGarth Brooksの知名度恐るべし。
CDを聴いてみて、私はすぐに吸い込まれるように聴き込んだ。世の中には、ロックやジャズやクラシックだけでなく、こういう音楽もあるのかと、初めてその時に灯が見えたような気がした。これからは、こういう音楽を積極的に聴いていこうと思った。
特にこのベスト盤の15曲目に入っていた、ビリー・ジョエルのカバーの”Shameless"をよく聴いた。聴き慣れていたロックのサウンドではなく、ペダルスティールギターのイントロから入るその曲は、耳に新鮮でありながらも聴きやすかった。
Garth Brooksの”Shameless"はかなり本国でヒットしたらしく、人によってはオリジナルのBilly Joelバージョンよりもこっちの方を知っているという方も多いらしい。
YouTubeのコメント欄にも、子供の頃ラジオから流れるこの歌を何度も聴いたとか、「I'm Shameless」という歌い出しが聞き取れずに「I'm shaving」だと思っていたという方もいた。
私も、初めて聴いた頃は、この曲のオリジナルバージョンを聴いたことがなかった。GoogleもYouTubeもなかったあの頃は、この曲のオリジナルバージョンがBilly Joelのどのアルバムに収録されているのかすらわからなかった。
このGarth Brooksのベスト盤に吸い込まれてから、私のカントリーミュージック好きは始まった。カントリーの入口がGarth Brooksだというのは、なんだかちょっとミーハーなような気がしてあまり人には言わなかったのだが、Garth Brooksも大御所になった今となっては、それがかえってよかったのかもしれないと思えるようになった。
大人になってからというもの、もう何年もこのベスト盤を聴いていなかったが、今日改めて引っ張り出してきて聴いてみると、当時と変わらないクオリティーでGarth Brooksは新鮮に聞こえて、満足した。友人の少なかった私に夢中になれることを提供してくれた澄川の古本屋には、感謝してもしきれない。
いつか、自分もそういう風に間接的にでも人にインスピレーションを与えることができる存在になってみたい。
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