ローズ指板のTLスタイルってどうなんだろう?
私は今までに、8台Fenderのテレキャスターを所有したけれど、そのうちの7台がメイプルワンピースネックのものであった。
一台だけ、ローズ指板(ラウンドボード)のものも持っていたけれど、楽器を購入する資金が必要になった時に売ってしまった。オールブラックの美しいギターであった。
ローズ指板のものを避けてきたわけではないのだけれど、ローズ指板のテレキャスターで気に入るものがなかったためかもしれない。私は太めのグリップのネックがずっと好みであったので、フェンダーの現行品も含めローズ指板のモデルはどれもネックが薄くイマイチ馴染まなかったためである。
ネックはちょっと太めの方が握っていて疲れないし(プレイスタイルにも寄るけれど)、音がパリッとなる感じがして好きだ。テレキャスターも音が硬すぎると使いづらいのだけれど、あまり柔かなサウンドが出るようだと、わざわざテレキャスターを使わなくても良いのではないかと感じてしまい、結局太めのメイプルネックのものばかり使ってきたのだと思う。
うちの店のスタッフが組んだTLスタイルのギターがあり、なんとなく弾いてみた。これが案外悪くなかったのである。
ネックが少し細めなのは好みとは違ったのだけれど、音が柔らかすぎず、しっかり芯があってよかった。
指板材だけで音がどうこうというのはちょっと早合点すぎるのだなあと反省した。
何よりも、ローズ指板のギターは弾いている感覚がメイプル指板のものと異なる。初めてローズ指板のストラトを手にした時に、なんだかそれまで使っていたギターよりも高級な楽器を手にしているような気分になったものだ。ローズ指板のTLスタイルのギターも同じようにメイプル指板のギターよりも「高級な」ギターを弾いているような気分になる。
今まで、店のオリジナルで作るギターはメイプルワンピースか、貼りメイプルにしようと心に誓ってきたのだけれど、案外ローズ指板のものも悪くはないのだなあと感じた次第である。
オリジナルで作るのだから、ローズ指板で太めのグリップでも作ることはできる。果たしてそれがサウンド的にどのようになるのかはわからないけれど、近年のフェンダーのネックはどうも細すぎるものが多い(カスタムショップなんかは太いのもあるのだろうけれど)気がしていたので、試してみる価値はある。
一度に色々とやってしまうと、良いものができなくなるので、まずはメイプル指板のギターで良いものがコンスタントに作れることを目指していこうとは思っているが、ローズ指板もなかなか良いというふうに、最近は感じている。