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Fender Deluxe Amp 5E3の深淵なる世界

ソルダーノとかのモダンアンプも含めるとギターアンプの傑作は星の数ほどある。クラシックなアンプの中ではFender、Marshall、Voxが3台巨頭と言えるだろう。

私自身はモダンなアンプの扱い方がいまいちわからないので、普段使っているアンプはどれもクラシックなものである。それも、Fenderのあんまり歪まないアンプが特に好きである。

本当はMarshallやらVoxも使ってみたいのだけれど、なかなか高価で手が出ない。VoxのAC30なんかは特に気になっていて、いつかは使ってみたいのだが、如何せん嵩張ることと(重い)値段が高いことがネックになって未だに所有したことはない。

最近はデジタルのモデリングアンプが主流になってきて、Kemperだとか色々とあるようだけれど、モデリングアンプを使ってまでしてクラシックアンプを味わいたいとは思わない。

やっぱりアンプは音色だけでなく、重さ、外装、真空管があったまる感覚、はたまたボリュームポットのガリまで含めてそのアンプ独特の味わいなのだから。

良い音がするアンプは所有しているだけでなんだか満足してしまう。本当は電解コンデンサーとかがダメになってしまうから定期的に弾き込んでなんぼなんだけれど。

アンプはギターと違って消耗部品が多いから、フルオリジナルで使うというよりは、定期的にメンテナンスしてコンディションを保った方が良い。

数多くある名作アンプの中で特に好きなのはFenderのDeluxe Amp。ツイードのリバーブの付いていないDeluxeである。Deluxe Ampであればどれも好きなのだけれど、世の中的には5E3回路がスタンダードとなっているようで、VictoriaやKendrick、他数多くのメーカーからクローンのアンプが出ている。

私は、オリジナルの57年製も一時期持っていたのだけれど、もったいなくてあまり使わなかったので、お金に困った時に手放してしまった。もったいないことをした。

それで、今は手元にKendrickのクローンがある。それともう1台、自分で組んだものがある。

5E3回路はとてもシンプルで、カソードバイアスということも相まり、比較的作りやすい。作りやすいが、スピーカー、トランスやら抵抗、コンデンサ、可変抵抗、ジャックのパーツの選択で随分と違うキャラクターのアンプに仕上がってしまう。

私の手元にある2台のクローンはそれぞれ全然キャラクターが違う。オリジナルの5E3も部品のヘタリとかがあった為、本当の新品の音がどのような音なのかはわからない。ケンドリックは、やはり作りがいい。音が凛としていて、歪みもグズグズしないでブリッとしている。

もう一台の5E3(私が組んだもの)を試奏用のアンプとして店に持ってきたのだが、店で鳴らした途端に、こりゃうるさくて近所迷惑になるわな、と感じた。

それで、仕方がないのでマスターボリュームを増設した。

5E3にマスターボリュームをつけるなんて、市販のモデルだったらもったいなくてできないのだが、自分で組んだ一台だから諦めのような気持ちでマスターボリュームをつけた。これで、全く別のアンプになってしまった。仕方ない。

マスターボリュームが増設された5E3のクローンは小さな音でピリピリと歪むようになった。まあ、これはこれで良いか。

あの、乱暴で太い音がするオリジナル回路に敵うものはやっぱり無いのだな。

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