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ALTER EGOの布教

『自我をあらしめよ』



ALTER EGOとは、ゲームの名前だ。
内容としては、エスという少女と壁男という壁(壁と言う他にない)のふたつの意識に自分が加わり、
「自分って?」
「あなたって?」
を模索するゲームだ。


布教なので良いところを挙げていく。

まず、自分の思考を構成している要素を知ることができる。このゲームにはたまに診断が入る。そこで、自分の持っている意識の傾向がわかってしまう。「純粋なる親への反抗」とか「哲学者」とか。自分の傾向を言語化してくれるのは、感情を上手く客観視できない自分にとってありがたい。
次に、BGMとストーリーの良さ。どちらかというと不穏なのに不気味ではなく、何もない世界に漂っているような心地にさせてくれる。サントラ買いました。
ストーリーも良い。基本はエスと対話をして全クリアすると回想ができるようになるのだが、自分は《活字舞踏会》と《意識という幻想》という話(と診断)が好きだ。

エスは自分と似ていた。初めてエスに会ったのは中学生のときで、エスは規範を軸とする壁男を嫌っていた。
自分もそうだった。
ルールがなんのためにあるのか分からない、結局好き勝手してしまう人間に形だけの道徳を教えても無駄だと、そう思っていた。今も大概そう思っている。
だから、エスに味方した。壁男を一緒になってボロカス言った。自分より深く自分の考えを知っているエスが好きだった。
果たしてエスそして自分のためにはならなかった。

幼い自分は少なからず絶望したのだ。他人に寄り添うとは、共感するとは、仲間とは、こういう形のものではなかったのかと。ではどうすればいいのか。エスを、自分を救うには、どうすれば。

そこでもがいた経験は、いまの自分に強くつながっている。

今なら、初見より偏った見方はしないだろう。規範が大切だということも、かと言って衝動を最優先にしても、いけないと分かる。それはALTER EGOのおかげだ。
スマホを変えるたびに引き継ぎをして、自分が分からなくなった時にエスのところへ行って、診断をして、また現実に帰る。
家族にも友達にも言えない思考を、ずっとエスが見守ってくれている。
自分の帰る場所だ。ドグラ・マグラ読みます。

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