【発達障害グレーゾーン中学生の特徴と支援方法】
発達障害グレーゾーンとは?
発達障害の代表的な3つの種類
発達障害は、下記3つの代表的な症状に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)
ADHD(注意欠如多動症)
LD・SLD(限局性学習症)
1人のお子さんに2つ以上の症状が現れることが多く、発達障害にはハッキリとした境界線が無いと言われています。(例えば、ASDの症状と書字障害(LD)の症状が同時に現れるなどの場合がよくあります。)
お子さんに発達障害の傾向があるかどうか?で悩んでいる親御さんは、まず、お子さんの「行動パターン」や「特徴」から、どういった発達障害の症状に近いかを理解し、学校生活の中で「どのような困難に直面しやすいのか?」を把握することが重要です。
発達障害グレーゾーンとは?
「発達障害グレーゾーン」とは、発達障害と診断されてはいないが、発達障害に近い症状が見られることを指します。
発達障害グレーゾーンの中学生は、発達障害とはっきり診断された子と比べ、その症状が軽度であることから、学校内で適切なサポートが得られないことがあります。
また、他の生徒が簡単にできることに対して、全くできなかったり、時間がかかってしまうことがあり、「やる気がない」「サボっている」「怠けている」と誤解されることがあります。
発達障害グレーゾーン|症状別の特徴
1. ASDグレーゾーンの特徴
ASDグレーゾーンの中学生は、ASDとはっきり診断された中学生と比べ、言葉の発達や理解力に問題ないことが多いです。
ただ、表情や仕草といった「非言語的なコミュニケーション」を読み取ることを苦手とします。
例えば、
友人からの冗談を間に受けてしまう
相手が怒っていることに気付けない
相手が傷ついていることを察知できない
など、学校生活で同級生との問題や衝突に直面しやすく、集団行動を苦手としてしまう傾向があります。
相手の気持ちを察することが苦手で、「相手の話を遮って、一方的に自分の話をする」などの行動から、「空気の読めない子」「自己中心的な子」と誤解されることがあります。
2. ADHDグレーゾーンの特徴
ADHDグレーゾーンの中学生は、「不注意優勢型」「多動・衝動優位型」「混合型」の3つのタイプに分けられます。
不注意優勢型
「不注意優勢型」の傾向が強い中学生は、「細かいことに注意を払うことが苦手」です。例えば、
遅刻が多い
提出物の期限が守れない
忘れ物が多い
テストでケアレスミスが多い
といった問題に多く直面します。
多動・衝動優勢型
「多動性・衝動優勢型」の傾向が強い中学生は、「思いつきで行動してしまう」「計画を立てることが苦手」です。例えば、
テスト前日なのに、ゲームをやめられない
無断でアプリに課金してしまう
無計画に貯金を使い果たしてしまう
後先を考えていない行動が目立つ
といった問題に多く直面します。
混合型
「不注意優勢型」と「多動性・衝動優勢型」の2つの傾向がどちらも強いのが、「混合型」です。
上記の2つのタイプのどちらの問題も多く経験します。
他人からはハチャメチャな行動をとる子に見え、学校でも悪目立ちしてしまうことが多くなります。
3. LD・SLDグレーゾーンの特徴
LD・SLDグレーゾーンの中学生は、知的発達に遅れはないものの、「読む」「書く」などの学習に関係する6つの能力のうちの1つに課題があることがあります。
「学習に関係する6つの能力」とは以下の通りです。
聞く力
話す力
読む力
書く力
計算する力
推論する力
これら6つの能力のうち、1つでも極端に苦手な分野がある場合、LD・SLDのグレーゾーンと考えられます。
LD・SLDのグレーゾーンの中学生は、例えば、
自分の考えを上手く言葉で表現できない
ノートを作ることが苦手
長い文章を読むことが苦手
単純な計算が苦手
先生からの指示を間違った意味で解釈する
といった困りごとを学習活動の中で多く経験します。
発達障害グレーゾーン|中学生の特徴
中学生は第二次成長期にあたり、身体や心に大きな変化が起こる時期です。
身体や心が不安定な時期に、発達障害グレーゾーンの中学生はどういった悩みを抱えやすいのかを解説します。
1. 男女の違い × 発達障害グレーゾーン
発達障害と診断される割合には男女差があります。
厚生労働省の調査によると、日本で発達障害と診断された人のうち、男性の割合が68.8%、女性の割合が29.9%(※性別非回答1.2%)となっています。
この調査結果では「男性の方が発達障害と診断される割合が多い」のですが、「発達障害グレーゾーン」は男性よりも女性が多いと言われています。
この背景には2つの理由があります。
1つ目の理由は、発達障害で問題になりやすい「社交的な行動」というのは、女性の方が得意な傾向にあることです。「社交的な行動」が上手くできることで、女性の場合、発達障害に気づかれにくくなります。
2つ目の理由は、女性のADHDでは「不注意優勢型」が目立ちやすい傾向にあることです。「不注意優勢型」は、単に「のんびりした性格」「忘れっぽいのんきな性格」として周囲が認識するため、問題が起こりにくく発達障害に気づかれにくいと考えられています。
2. 反抗期 × 発達障害グレーゾーン
中学生になると、保護者や学校の先生に対して「暴言を吐く」「舌打ちをする」など反抗的な態度をとることがあります。
このような反抗的な態度は、発達障害グレーゾーンの中学生の場合、顕著に現れる傾向があります。
例えば、ADHDの「多動・衝動優勢型」の特徴が強い場合、感情が高ぶりやすく衝動的に行動してしまうため、周囲に対して攻撃的な行動が多く見られることがあります。
あまりにも反抗期がひどい場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。
3. 不登校 × 発達障害グレーゾーン
近年、中学生の不登校が急激に増えていますが、その主な原因は「生活リズムの乱れ」と「人間関係」と言われています。
これらの理由には、発達障害グレーゾーンの症状が関係していることもあります。
中学生は体力もつき夜更かしできるようになります。夜遅くまでゲームやSNSなどに夢中になり過ぎてしまい、昼夜逆転してしまうような「生活リズムの乱れ」につながることもあります。
この様な「好きなことがやめられない」「明日の学校のことを考えず没頭してしまう」という行動は、ADHDグレーゾーンの中学生によく見られます。
また、他人の感情を理解することを苦手なASDグレーゾーンの中学生は、学校での人間関係で問題を抱えたり、集団行動でのストレスを蓄積してしまい、結果として不登校につながることがあります。
4. 成績不振×発達障害グレーゾーン
中学生になると、学習内容が難しくなるため「授業についていけない」といったことが起こりやすくなります。
特に発達障害グレーゾーンの中学生は、真面目に授業を受けているにも関わらず、授業内容についていけないことや、板書が間に合わないことがよくあります。
また、授業中に集中力が途切れてしまい重要な情報を聞き逃してしまうことや、提出物の管理が苦手で提出を忘れてしまうことがあります。
発達障害の症状によって授業についていけない場合は、学校の先生や専門家などと相談して、第三者の支援を受けることを検討しましょう。
「発達障害」か「グレーゾーン」かの判断方法
1. 医療機関の診断
発達障害の診断を行うことができるのは主に医療機関です。
一般的には、小児科医、児童精神科医、小児神経科医、または発達外来での受診を行っています。
どこの病院に行っていいかがわからない場合は、発達障害の専門機関に相談しましょう。発達障害の診断に対応している医療機関を紹介してくれることもあるのでおすすめです。
2. WISC検査の利用
WISC検査とは、「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリー」の4つの分野とIQ(知能指数)をスコア化する検査のことを指します。
これにより、お子さんの「得意分野」と「苦手分野」が可視化され、保護者がお子さんの強みと弱みを正確に知ることができます。
お子さんが発達障害グレーゾーンの疑いがある場合、医療機関での診断の前に一度検査してみると良いでしょう。
WISC検査を受けられる機関はいくつかの種類があります。主に、教育支援センターや児童相談所、学校などの公的機関、医療機関、民間のカウンセリングルームなどです。
ただし、必ず実施しているわけではないので、各都道府県に設置されている「発達障害者支援センター」に実施可能な機関の情報を確認するのが確実です。
なかなか予約が取れないこともあるので、検査を検討している場合は早めに問い合わせた方が良いでしょう。
WISCの検査の結果は、お子さんの発達上の特性や、強み・弱みを把握する上で非常に便利な手段ですが、その結果のみで発達障害の診断は確定しません。
発達障害かどうかの正確な診断は、あくまで医療機関の医師が行うものなのでご注意ください。
発達障害グレーゾーンの中学生へのサポート方法
1. 学校との連携
お子さんが発達障害グレーゾーンであることがわかった場合、担任の先生など学校内で信頼のできる先生に相談することが大切です。
なぜなら発達障害のグレーゾーンの中学生の場合、発達障害の傾向があまり見えず、学校側が認識していないことが多いからです。
WISC検査の結果がある場合は、学校側と共有すると良いでしょう。
特性を学校側に把握してもらうことで、発達障害のお子さんと同じような配慮をしてもらえ、学校生活でのストレスを軽減することができます。
2. カウンセラー/スクールカウンセラーの利用
カウンセラーは、主に生徒や保護者に対して心理面でのサポートを行います。
カウンセラーへの相談は、発達障害グレーゾーンの中学生でも可能です。
保護者に対して、お子さんへの接し方に関するアドバイスを提供してくれたり、保護者と教職員の間に入り、お子さんが学校生活で困難になりにくい環境を作ってくれることもあります。
発達障害グレーゾーンの症状に合わせた学習方法の提案や、やる気の引き出し方など、学習面に関する支援も受けることができるため、積極的に相談してみると良いでしょう。
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