よいカウンセラーの見分け方〜相性判断のコツ | 京都・四条の心理カウンセリング カウンセリングオフィスSHIPS 認知行動療法・ブリーフセラピー
こんにちは。カウンセリングオフィスSHIPS代表です。京都 四条烏丸でカウンセリングルームをしています。オンラインカウンセリングもしていますので、全国からアクセス可能です。
さて前回の続きでもありますが、カウンセラーの相性判断のコツについて、好き勝手に書いてみます。
多少毒気も混じるかもしれませんが、テーマが相性判断なので仕方ありません。
はじめに〜重要なお断り
ただ読み進める前に大事なことをお伝えしておきます。
どんな人にも、その人のことを好きな人がいるように(そう信じています)、どんなカウンセラーでも、そのカウンセラーと相性が良いと感じる人はいると思います。
だからもし、今カウンセリングを受けてらっしゃる方で、今の担当カウンセラーと相性が合っていると感じられ、信頼できて、安心して取り組めている方は、この先の文章は読まないか、自分には関係のないことだと思って読み捨ててください。もし自分のカウンセラーが、ここに書かれているよいカウンセラーの特徴とマッチしなくても、今あなたが自分の担当カウンセラーを信頼しているならそれが全てです。その出会いをどうか大切になさってください。
STEP1 書類選考
情報収集しましょう
まずよいカウンセラーを見分けるにも、いきなり一発で見分けられるなんてことはありません。就職面接で一人採用するのに企業がどれだけの労力をかけているかを考えればわかりますよね。
だから何かあったときの駆け込み寺のような、かかりつけカウンセラーを見つけるのにもそれなりに時間はかかります。就職面接と大体同じだと思ってもらえればよいのではないでしょうか。
というわけで、最初のSTEP1は、書類選考です。
ホームページを見るなどネット上で情報収集しましょう。
学歴、経歴、学会活動歴などあるとよいでしょうね。ないからダメというわけではありませんし、天性の臨床眼で成果を上げてるカウンセラーもいます。ただ自己研鑽への意欲があるかどうかが見えると良いですね。写真があるなら写真見ましょう。
施設の規模と腕はあまり関係ない
規模の大きい、人数が多いカウンセリング機関だと信頼できそうな気がしてきますが、実際のところ規模の大きさと、担当してくれるカウンセラー個人の能力は関係ありません。飲食店でも病院でも一緒ですね、大手だから、チェーン店だから絶対質が高いということではありません。
むしろ逆なことすらありえます。例えば大学病院は教育研究機関でもありますから、独り立ちする前の駆け出しの医者もいますし、大病院はそもそも主治医を選べないこともあります。担当を輪番制にして、申し込み順に振り分けるだけです。
規模が大きいと、そこにいるカウンセラーの数も多いですが、頭数を揃えているだけだったり、ひとりひとりのクオリティにまで目が行き届かなかったりすることもあります。
規模が大きいと教育研修が充実しているのでは?と思われるかもしれませんが、規模の大きいカウンセリング機関といっても精々十数人です。そんな内輪の十数人で事例検討会をしたところで、カウンセラー個々人の知識技能のブラッシュアップ機会としては知れています。
心理業界の個人研鑽の機会は、主に外部研修機会によるものが圧倒的に多いです。学会や、専門研修会、あるいは論文・書籍の購読、スーパーバイズであり、それらは個人戦です。
規模が大きいところは、一度に色々なカウンセラーを見比べられるという点ではよいと思いますが、最終的にはあくまでも、自分を担当してくれるカウンセラー一人を探し出そうということですから、規模の大きさやネームバリューに囚われないようにしてほしいなと思います。
権威かどうかと腕はあまり関係ない
権威かどうか、偉いかどうかも臨床力とはあまり関係ありません。皆さまの職場の上司たちが能力的に秀でているかといえば必ずしもそうでもないのと同じです。出世力と臨床力は違います。
また、大学の先生だから、メディアに出ているから、研修や講演をいっぱいしているから、臨床が上手いということでもありません。むしろ、大学教員はあくまでも研究職ですから、臨床は片手間にされている方も多いです。でも臨床は、現場から離れれば離れるだけ腕が鈍ります。スポーツでも、コーチや監督あるいは解説者が現役選手よりもよいプレーができるわけではないのと同じですね。スポーツも臨床も、上手いのは圧倒的に現役ゴリゴリの選手ですよね。
治療実績の誇張に注意しましょう
それから、たまに治療実績と称して、何千人、何万人の治療経験とか書いてある方がいますが、あれは嘘です。いや断定は良くないですね、大いに怪しいです。
ドクターなら何万人の治療実績とか書いていてもまあわかります。でもカウンセラーって、計算したらわかりますが、年間延べ1000回カウンセリングしてたらまあまあ多いほうです。毎日とにかくカウンセリングしかしてないって人でも1500回程度が精一杯です。で、これは述べ回数ですから、ひとりのクライエントが複数回受けてます。仮にクライエント一人当たり年間平均10回受けているとしたら、年間のクライエント数は100人から150人です。クライエント一人当たりの年間回数が20回なら50人です。
まあまあ臨床を頑張ってるカウンセラーで年間100人のクライエントを担当するとして、クライエントが大体1年で終結するとして、単純計算で10年で1000人、20年で2000人、生涯カウンセリングをやり続けたとして40年で4000人です。絶対、万には届かんですね笑
とりわけ伝統的な心理療法では、そもそもクライエントさん一人のカウンセリング回数も期間も長いですから、一人当たり平均して50回のカウンセリング実施回数だとするなら生涯(40年)担当できるクライエント数は単純計算で800人です。
ちなみに私は、正確にカウントしてるわけではありませんが、病院臨床、産業臨床合わせて、これまで約1500人-2000人程度のクライエントさんと個人カウンセリングをしてきていると思います。ここ10年くらいは年間150人くらいの担当をしてるわけで、学校の先生が年間で40人のクラス担任をしていると思えば、まあまあな数かなと思います。
なので、治療実績と称してやたら多くのクライエント数をアピールしている人は、集団療法やデイケア等でみてきたクライエント(患者)さんもカウントしていたり、研修会や講演会の参加者数もカウントしていたり、あの手この手で水増ししていると思いますので注意しましょう。
それから、短期にドロップアウト(治療中断)してしまうクライエントさんが多いようなカウンセラーなら担当したクライエント数は多くなるかもしれませんね。
STEP2 一次面接(初回面接)
相性判断は直感
一次面接(初回面接:インテーク面接)では、相性判断です。
このカウンセラーで大丈夫かな?ちゃんと正直に話せるかな?よくなるかな?という判断、見極めは、初回カウンセリングでのクライエントさんご自身の直感を大事にしてほしいなと思います。
初回のカウンセリングで、その人との話しやすさ、説明のわかりやすさ、雰囲気、相性なんかは大体わかると思います。接遇の良し悪し、親切さ、リアクションの癖など自分にとって不快じゃないか、話しやすいかどうか、これは大切です。別に無愛想だったりちょっと怖かったりするカウンセラーでも自分が良ければいいんですよ。寿司屋の板前みたいな感じで、愛想はないけど腕は確かだみたいな。でも、カウンセリングって料理が出てくるわけじゃなくて、対話をしにいくわけですから、話しやすさは大事なポイントであるとは思いますね。
主観的な話が多いですが、でもこれから多少なりとも長くお付き合いするかもしれない相手ですから、なんせフィーリングは大切です。もちろん初対面から100%理想的な相手を探しても見つかりません。また会ってみてもいいかなと、60点くらいだなと思えれば合格でしょう。
初対面の印象は当たる
初対面の主観的な印象ってわりと当たるようにできています。社会心理学の分野では「予言の自己成就」「返報性の原理」なんて言われることもありますが、例えば第一印象で、「この人は誠実で信頼できそうな人だな、いい人だな」と思うと、自分も誠実に応対しようとしますよね。そうしたら、当然相手からも誠実な応答が返ってきやすいし、結果として「ああ、やっぱり私の思ったとおり誠実な人だ。私の直感て当たるのよね」みたくなるわけです。逆も然りです。「なんか怪しいなあとか、信用できないなあ」って思うと、その態度は相手にも伝わるし、相手のネガティブなところばかり目につくようになって「ああ、やっぱり私の思ったとおりダメな人だ」ってなりやすいわけです。
そんなこんなで、初対面の印象って案外大事ですし、当たります。
と言っててなんですけど、あんまり品定めするようにジロジロ見てしまうのも、見られるのもその場でのコミュニケーションが不自然になってしまっては本末転倒です。あいつ(私)があんなこと書いてたから肝心の相談事について話したいことが話せなかった、とならないようにほどほどに、さりげなくお願いしますね。
STEP3 二次面接(2-3回目)
何回くらいで判断できるか
初対面の印象に合格したら、二次面接です。専門家としての技量判断をしましょう。このカウンセラーは本当に私の問題をわかってくれるか、わかってくれるだけじゃなくてどうにかする専門知識・技量をもっているかを判断できるとよいと思いますが、まずそもそもどのくらい通えばわかるんでしょうか。
みなさんはカウンセリングといえば、せっかく安くないカウンセリング料を払うわけですから、初回からなんらかの効果がみられると思いますよね、少なくとも期待しますよね。ところが、心理業界では、初回から治療的な面接は行えない・行わないということが常識かのように定説となっています。
初回のカウンセリングのことをインテーク面接というのですが、カウンセラーや流派によってはインテーク面接は主訴そっちのけで、生育歴とか現病歴とかを細かく細かく聴取することに終始して、治療的な面接はインテークが終わってからっていうところもあります。インテーク面接を担当する人と、そのあと継続面接を担当するカウンセラーが違うなんてところもあります。
当オフィスでは、インテークとして基本的な情報ももちろん尋ねていきますが、治療的面接を初回から同時並行でおこないます。今なにに困っているか、それに対してどうしてきたか、今後どうなることを望むかといった、今悩んでいる問題について今起きていること、今クライエントさんが一番話したいことから聴いていきます。それがもっとも効率的だからです。
とはいえ、問題の内容にもよりますが、実際に問題への取り組みが動き出している感じ、変化への期待や実感を得られるまでには、できれば5回、最低でも2-3回はみていただきたいなと思います。初回である程度の見通しをお伝えしますが、実際なんらかの対処を試してみて効果が実感できるか判断するまでの期間です。これでも同業者からみたらかなり少ない数字を提示してると思います。
インテーク面接(問題の聴取・把握)に10回はかかるなんて言うカウンセラーもいるくらいですし、心理業界ではわりとそんな教育がまかり通っています、、おっとこのへんにしておきます。
あとは問題に対して見立てて、対処法について提案して、実際にやってみてどうだったかという振り返りを繰り返していきます。
大丈夫そうだから続けてみようと思えたなら、カウンセラーを信じることも大切です。最後は信頼関係ですからね。
微妙なカウンセラーの見分け方
二次面接で見てほしいカウンセラーの特徴・態度として、まずよくない例を示します。
相談者の話す内容(語り)にただ耳を傾けるだけ。
相槌しかしない。
その問題に対しては、こういうアプローチがあるというような方向性を示してくれない。
といったカウンセラーは正直微妙です。
「どうすればいいですか?」という質問に対して、ふんわりしたカウンセラーがよく言うセリフに「答えはカウンセラーが見つけるんじゃなくて、あなた自身が気づいていくものなんですよ」「カウンセリングは答えやアドバイスをもらう場ではないんですよ」なんてのがありまして、どうすればいいかをボカして示さないんですけど、それじゃ答えになってないですよね。
たしかに問題に取り組むのはクライエントさん自身ですし、カウンセラーが代わりに解決するわけじゃありません。その点では、答えはクライエントが持っているというのも間違いとは言い切れません。
でも、クライエントさんが実際にやるかどうかは別として、少なくとも現時点で考えられること、基本的な対処の方向性、具体的な提案くらいはカウンセラー側に伝える責任があると思っています。
もちろん(今はまだ)なにかを提案されたくないという方もいらっしゃいますから、提案があればよいかというと、単純にそういうわけでもなく、そこも含めて波長があうかどうか、というのが大事です。
逆に方向性は示してくれるし、現状の見立てを説明して指示や課題は出してくれるけど、なんか権威的とか冷たいとか、否定してくるとか、機械的とか、マニュアル通りな感じがするとか、強引、説明がしっくりこないとか、そういうカウンセラーも微妙ですよね。
アドバイスの良し悪し
それから、そもそも「アドバイス」というのは心理業界では否定的な文脈で語られることがあります。「アドバイスをしないのが良いカウンセラーだ」とか「意味のないアドバイスをされて傷ついた」とか「アドバイスは求めてないんですよね」とか。まるでアドバイスということそのものが悪者かのように。
でもアドバイスには不毛な悪いアドバイスと、建設的なよいアドバイスがあります。
悪いアドバイスは、現状否定的、来談者否定的であることが多いです。「ここを変えないといけない」「こうしないといけない」「あなたのここが悪い」「そんな風に感じる必要ないのに」といったように相手の現状や感情、今の努力を否定するようなメッセージは当然傷つきますし、不毛ですよね。当オフィスではそんな不毛なアドバイスは絶対にしません(というか、そういうのはそもそもアドバイスとは呼ばないでほしいです)。
建設的なアドバイスは、もらった側の力が出たり、思考が整理されたり、視界が開けたりと、なんらかの腑に落ち感があるものです。
なので、不毛なアドバイスばかりしてくる場合も、そのカウンセラーさんとはお付き合いしなくてもよいと思います。
それから、聞いてもいないのに個人的な身の上話をしてくるとか、個人的な経験談(困難を乗り越えた経験を含む)を語ってくるとか、責めてくるとか否定してくるとか、やたら不安がらせようとするとか、そういうのは論外です。詳しくは書きませんが、そういうカウンセラーに出会ったら、大人しく愛想笑いしといてさっと帰りましょう。業界的にも困るので。
よいカウンセラーの見分け方
では、逆によいカウンセラーってどんなのかと言えば、上の逆です。
まずい料理、おいしい料理って基準を決め切ることはできないのと同じで、人によって好みにもばらつきがでますし、もちろん人によります。
その上で、列挙するならこんな感じでしょうか。
話を聞いてもらえる感じがする。
感情に寄り添ってもらえてる感じがする。
よい質問をしてくれる(気づかなかった観点で考えさせてくれる)。
質問・疑問には的確に答えてくれる。
専門知識、専門的見解を示しながらも、あくまでも目の前のクライエントさんの置かれた状況に即して話をしてくれる。
マニュアルばかり見てない。具体的で実用的な知識や対処法を示してくれるけど、押しつけがましくない。
来談頻度も専門的に見て推奨する頻度を示してはくれるが、基本的には自分の意向やペースを尊重してくれる。
冷たくない、機械的じゃない。こちらの感情や現状を否定してこない。つまり優しくて話しやすい。
まあ一言で言えば、シンプルに「話せてよかった」と思えるかどうかですね。
こんな感じでしょうか。
私を含めて当オフィスのカウンセラーが上記のようなカウンセラーであるかどうかは、実際にお会いした方の評価・判断に委ねるほかありませんが、少なくともこのようなカウンセリングをしたい、そういう支援をしたいとは考えています。
皆さまが、少しでも安心できて信頼のおけるカウンセラーと出会えますように。
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