SHIPSの取り組みあれこれ~顧客レビュー(NPS®) | 京都・四条の心理カウンセリング カウンセリングオフィスSHIPS 認知行動療法・ブリーフセラピー
こんにちは。カウンセリングオフィスSHIPS代表です。京都 四条烏丸でカウンセリングルームをしています。オンラインカウンセリングもしていますので、全国からアクセス可能です。
当オフィスは、ブリーフセラピー、認知行動療法を中心にしたアプローチで、プラグマティック(実用主義的な)支援を掲げてカウンセリングをおこなっています。
さて、今回は当オフィスで採用しているNPS®という顧客レビューについて少し書こうかなと思います。
はじめに
例のごとく重要な前置きとして、当たり前ですがこれは当オフィスの取り組みであって決してこれが正解というわけではありませんし、顧客レビューを取り入れていないカウンセリング機関を批判するつもりもありません。
私はそうは思わないけどな、私は顧客レビューなんて信用してないけどな、という方がおられても全然いいと思います。
こういう考え方を広めたいとも広めようとも思っていません。
賛同してくださる方や応援してくださる方がいらっしゃったら、それはもちろんうれしいですが、そうでない方も「ああ、こういう考えの人もいるんだなあ」くらいに思って眺めていただけたらうれしいです。
今や不可欠な顧客レビュー
さて、カウンセリングに限らず新しいお店、新しいクリニックなどに行こうと思うとき、ネット通販などで新しい商品を買おうと思うとき、いまやもうほとんどの方がgoogleや食べログ、インスタなどの口コミを参照しますよね。このお店はちゃんと信頼できるお店だろうか、人気があるだろうか、悪い口コミはないだろうか、って誰でも気になると思います。企業側からも、今なにかサービスを受けると顧客レビューの案内メールが届くことがあると思います。
レビューというものはユーザーにとっても企業側にとっても、今の時代、必要不可欠なものになっているでしょう。
カウンセリングという形のないもの、実際行ってみないとわからないものだったらなおさら、紹介でもなければなにを手掛かりにどのルームを選べばいいのか判断に困ると思います。
だから当オフィスでは、可能な限りユーザー目線に立つためにもNPSという指標を中心にユーザーレビューを取り入れて公開しています。
NPS®とは
NPS®とは「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、顧客ロイヤルティを数値化する指標です。
NPS®は、グローバルスタンダードとなっている顧客ロイヤルティの指標です。Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略で日本語に訳すと「正味推奨者比率」という意味になります。
実際にそのサービスを推奨する人がどれくらいの割合いるのか?を表すもので「あなたは利用したサービスをどのくらい家族や友人にすすめたいと思いますか」というシンプルな質問に0(全くすすめたくない)から10(ぜひすすめたい)までの11段階で評価するものです。「あなたはこのサービスに満足しましたか?」といういわゆる顧客満足度とは少し違います。満足したかどうかというよりも他人に勧めたいと思うかどうかということを尋ねる質問です。
NPS®は2003年にアメリカの大手コンサルティング会社であるBain & CompanyのFrederick F. Reichheld氏がHarvard Business Reviewで発表し、GEやアップル、レゴなど様々な企業がその有効性を証明したことで急速に広がっていきました。このNPS®は事業成長との相関が強いことから欧米で多くの企業に活用されており、日本国内においてもCX向上における先行指標として導入をする企業が増えています。
顧客レビューとカウンセリング業界のあれこれ
今の時代どのようなサービスであれ、ユーザーからの評価というのは必要不可欠なものです。ところが、カウンセリング業界では顧客満足度あるいはNPS®というもの、つまりユーザーたるクライエントからフィードバックを受けることに対してある種の倫理的な抵抗感、あるいは商業主義的なニュアンスに対する嫌悪感みたいなものを感じることがあります(いやまあ、あくまでも個人の感想です)。なんとなーく、顧客レビューっていうと違和感を抱く人も一定いるんじゃないかなあって思っています。
そんな抵抗感をいくつか想像して書いてみますと、こんな感じでしょうか。
臨床心理士や公認心理師には厳しい倫理規定としての守秘義務があり、クライエントからの直接レビューとはいえ個別のケース内容について公開してしまうリスクがあるのではないか。
レビューをお願いすることでセラピスト‐クライエント関係に良くない影響がないだろうか。たとえば、書かないとなにか思われないかなと思って負担になるとか、書いたら書いたでどう思われたのかが気になってしまわないかとか。
カウンセリングの効果ってひとりひとり違うはずなのに、ある人のレビューって参考になるのだろうか。効果・効能を誤認させるリスクはないか。
終結後ならともかく単発でのレビューだとまだ面接プロセスの途中なのに、そういう感想って参考になるのだろうか。
どうせいい評価ばかり載せているんでしょう?
みたいなところでしょうか。
当オフィスでは、今通われている方が嫌な思いをしたり、不利益を被ったりすることは避けなければならないと思っています。
また、新しいことや慣例的にあまりやられていないことに対して不特定の方に一定の違和感を生じさせる可能性も承知しています。
そのあたりも考慮したうえで、それでもこのような尺度評価を公開することには意義があるだろうと総合的に判断して実施しています。
顧客レビューに対する当オフィスの考え
レビューは今後カウンセリングを検討される方への参考情報になること、私たちがより良い支援をしていくための参考情報になることが大きな目的ですが、現在通われている方やレビューを書いてくださる方の負担・不利益になることは避けなくてはならないとは思っています。
そのうえで、さきほどあげた懸念点について当オフィスで配慮・ケアしていること、当オフィスの考え方について示していきます。
①臨床心理士や公認心理師には厳しい倫理規定としての守秘義務があり、クライエントからの直接レビューとはいえ、個別のケース内容について公開してしまうリスクがあるのではないか。
①の守秘義務や倫理規定に抵触しないか問題については、レビューは強制ではないうえ同意をとったうえで掲載しています。また、クライエントさまご本人に書いていただいた文章を加工・編集することなく掲載させるシステムとなっていますので、ご自身で納得して書いていただいたものしか載りません。
さらに、万が一面接内容に関する記述があったり個人情報の記述があったりした際には、その投稿の自由記述部分だけ非表示にする権限・機能もありますから、うっかり個人情報が書き込まれてしまったという場合にも対応できるようになっています。
②レビューをお願いすることで、セラピスト‐クライエント関係に良くない影響がないだろうか。たとえば、書かないとなにか思われないかなと思って負担になるとか、書いたら書いたでどう思われたのかが気になってしまわないか。
②のセラピスト‐クライエント関係への影響という点では、匿名性を担保することでケアできると考えています。ですので、当オフィスの評価アンケートへの回答は完全に任意ですし完全に匿名です。当オフィス側ではどなたが書かれたのか特定することはできないシステムになっています。
アンケートに回答してもしなくても、だれが回答したのか、回答してないのかということを当オフィス側では把握できません。
したがって、アンケートに回答したくない方の意思も尊重していますし、アンケートへの回答の有無や回答内容によって個人が特定されることはなく、実際のカウンセリングへの利益も不利益も生じないようにしています。
③カウンセリングの効果ってひとりひとり違うはずなのに、ある人のレビューって参考になるのだろうか。効果・効能を誤認させるリスクはないか。
③については、まず不当景品類及び不当表示防止法(景表法)という法律があります。これは、企業が商品・サービスを提供にするにあたり「消費者を誤認させるような不当な広告をすること」「消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供をすること」を禁止する法律です。
したがって、たとえ事実であっても健康増進や疾病に効果があったことを強調する表示をしてはいけないことになります。また、医薬品ではないのに治療効果や特定の成分の有効性を強調する広告は薬機法に抵触します。
その点を踏まえて、当オフィスでは効果・効能、治癒を謳うような宣伝とならないように配慮しています。また、当オフィスで掲載しているレビューは当オフィス側で加工・編集していません(そういうことができないシステムになっています)。なので、いわゆる「お客さまの声」のように一旦いただいたレビューのなかで抜粋したり要約したり企業側で加工・編集したりしているものではありません。
また、レビューを参考にするかしないかはレビューを参照する方それぞれの自由意思に委ねられているので、参考にする方も参考にされない方もおられるでしょう。参考にしたい方がされればよいと思います。
とはいえ、新しい専門家を探すというプロセスは非常に負担の大きいものであり、新規にカウンセリングを検討している方は紹介でもなければThはどのような人なのか、他の方はどう感じられているのかを通常知ることができません。新規にカウンセリングを検討している方、勇気を出して申し込もうとされている方にとって少しでも検討材料になるものを提供するのは大切なことだと考えています。
④終結後ならともかく単発でのレビューだと、まだ面接プロセスの途中なのにそういう感想って参考になるのだろうか。
④については、たしかに支援プロセスのなかでは山もあれば谷もあるのでスポット的な評価の意義は限定的であって、総合評価(終結後評価)のほうが大事じゃないかという考えはわかります。
いつもいつでも、耳障りのよいことだけ話していれば良くなっていくということでもないわけです。ときには相談者さまのあまり直面したくない葛藤に一緒に向き合ってシリアスなセッションとなることもあるでしょう。単回のセッションだけをみればモヤモヤが残るセッションとなってしまうこともあるでしょう。こうしたとき、そのセッションの意味や意義を単回のレビューだけで評価することは難しいでしょう。カウンセリングという営み・プロセスを、より大局的な文脈・視点で捉える必要があるからです。その点では単回ごとの顧客レビューに限界があるのも確かです。
とはいえ、毎回毎回の面接でもそのときなりの「きてよかった」という満足を得て帰っていただきたいと思っていますし、スポット的な評価も大切にしたほうがよいだろうと考えています。また、そもそも上記のように深い葛藤に切り込んでいくようなセッションができるくらい関係性ができている方は、そのセッション単体だけをみてカウンセリングへの評価や意義に対する思いが揺らいでしまうことはないのではないかと思っています。
あともう少しだけ突っ込むとするなら、総合評価(終結後評価)というのは、終結ケースを事例論文にするといった具合にわりとなじみのある形ではありますが、これはスポット的な顧客レビューよりも景表法に抵触するリスクがあると思っています。終結後に顧客アンケートをとってレビューをいただくというのは、よくなった後ですから当然効果・効能に関する言及があるでしょう。これをそのまま掲載することのほうが万人に当てはまるわけではない個人レビューから効果・効能の一般性や普遍性を誤認させてしまうリスクがあると思います。
スポット的な顧客レビューのほうは、効果・効能というよりもそのセッションそのものがどうであったのか、接遇がどうであったのか、といった感想が中心になりますので、その点でもむしろ不当表示に配慮した形になっていると当オフィスでは考えています。
⑤どうせいい評価ばかり載せているんでしょう?
いわゆる「お客様の声」のように、企業側が加工・編集できるような形もありますので、そういう疑問が生じるのは無理もないと思います。
しかし、当オフィスの顧客レビューは私たちが加工・編集することはできないようになっています。万が一個人情報等が書き込まれてしまった場合などに自由記述欄を非表示にする機能はついていますが、レビューの点数自体は悪い点数でも消すことはできません。したがって、よいレビューだけ載せているわけではありませんし悪い点数が付く可能性もあります。
自分たちのしていることの成績表をつけてもらうことは、自分たちの活動への適度な緊張感と、よりよい支援を提供するための研鑽に対するモチベーションにつながると考えています。どのような組織(学校・会社)でも成績をつけることの効果は疑いなく、漫然と現状維持するだけになったり独善的な自己満足に陥ったりすることを防いでくれると思っています。
はい。そんなわけで、当オフィスではNPS®を中心としたレビューを公開しています。
当オフィスの顧客レビュー概要
さて、最後に、当オフィスがどのような手続きで、レビューをとっているかを書いておきます。
カウンセリングを終えると、翌日に以下のようなメールが自動配信される仕様となっています(一部メニューを除く)。実際にカウンセリングを受けた方でないと投稿できないということでもあります。Googleの口コミなんかは、実際にその商品・サービスを利用したことがなくても口コミができてしまいますよね。その点は、情報の質という点で、大きく違うところですね。
そのメール内に記載しているリンクに飛んでいただくと、以下のような質問項目があり、それにお答えいただく形になっています。
最後に、点数は5段階評定(5点満点)に自動的に編集されて、公開されています。本来のNPS®では、もう少し異なるNPSスコアの算出方法(点数によって「推奨者」と「批判者」を分け、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値を出します)がありまして、当オフィスでは本来のNPSスコアを確認することができるのですが、皆さまに公開されている点数は、5段階評価のスコアになっています。これは当オフィスが利用するシステムの仕様でそうなっているのですが、おそらくシステムの開発元が、ユーザーの方へのわかりやすさを優先した結果、公開情報は5段階評定での評定となったのではないかと思っています。
この5段階評定と、いただいたレビューは、当オフィスHPの予約画面にいくとみることができます。
また長々と書いてしまいました。
最後までお読みいただいた方、本当にありがとうございました。少しでも当オフィスに興味をもっていただければうれしいです。
たとえ当オフィスではなくても、皆さまが少しでも信頼を寄せられる支援者に巡り合えることを祈っています。
今、一緒に取り組んでいる方、これからも少しずつやっていきましょう。
はじめましてのかた。もし、こころと人間関係の問題で、悩んでいることや、抱えている気持ちを誰にも話せずにいたら、あるいは誰か身近な人に話したけど、どうしていいかわからないなっていうときは、一人で抱えずカウンセリングを行ってみることも検討してみてください。
悩みに大きいも小さいもありません。こんなことで相談していいのかな?と思うようなことだったとしても、気にしなくて大丈夫です。というか、こんなことで相談していいのかな?と感じながら来られる方にかぎって、お話をうかがうと、「こんなこと」どころか「よく今までひとりで抱えてきましたねー」って思う問題であることが多いです。
まずひとりで悩んで、つぎに身近な人と悩んでみて、それでもどうにもならないようなら心の専門家の出番です。では。
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