我慢の心理学
私が若い頃住んで住んでいたマンションにおける出来事です。
私が入居した当時から1階に3軒の飲食店が軒を連ねて営業をしていました。
そのうちの一軒はジャズバーで、夏になると夜の食事時にはよくパーティーが行われていました。私の住まいは2階ですが、そのお店のちょうど真上に当たります。
パーティーではバンドによる生演奏が行われるため、大音響は2階まで上がって来ます。当時ジャズの分からない私には雑音でしかありません。
窓を閉めてクーラーをかけていても生演奏の音はどうしても私の部屋まで入ってきます。客観的には受忍限度内の音ではあるのですが、長時間続くと気の短い私はどうしてもイライラしてきます。
心理学を学ぶ前にそのようなことを体験すれば、正直言って心の中は怒りで一杯になっていたでしょう。
それでも、心の中では「パーティーだか何だか知らないが、夜にジャズの生演奏なんかして周りに迷惑をかけるべきではない!」とつぶやいていたと思います。
このつぶやきは言うまでもなく、柔軟性のない論理性と現実性に欠けた典型的なイラショナルビリーフ(不合理な思い込み)です。有益な効果は期待できません。
ちょうどその頃学んでいた心理療法REBTを活用して、このつぶやきをラショナル(理性的)なものに修正してみることにしました。
「パーティーで生演奏をするかどうかは私が決めることではなくお店が決めることだ。これはお店の問題だ。私の問題ではない。私が断定的に決め付けるのはおかしい。
常識の範囲で営業のため夜に生演奏を行っている飲食店は他にもたくさんある。彼らにとってそれは仕事であり、生きていくための手段だ。人に迷惑をかけるためにやっている訳ではない。
このような場合、近所の者がやかましいからといって怒りを爆発させてもお互い何のメリットもないだろう。
たとえ争っても受忍の限度内ならば、こちらに勝ち目はないし、人間関係も悪くなるだけだ。そして私の血圧も上がる。
店主は私の息子と同じくらいの若者だ。もし自分の息子が一生懸命営業をしていたら、イライラするどころかきっと応援するに違いない。
彼だって、周りに迷惑をかけるためにやっている訳ではない。商売のためにやっているのだ。生活のために一生懸命働いているのだ。決して遊んでいる訳ではない。足を引っ張るようなことはよそう。」
このように理性的に考え直すことによって、さほど我慢することもなくイライラは解消されました。
そして、ある朝店主から「おはようございます!」と爽やかな挨拶を受けたとき、心のつぶやきを変えて良かったと、つくづく思ったものです。
出来事が感情を作るのではなく、出来事に対する受け取り方が感情を作るのだ、そのようにしみじみ思いました。
イライラするような不健康な感情が心に生じたときは、行動を起こす前に出来事に対する自分の受け取り方が理にかなっているか否か、立ち止まって少し考えてみることが大事ですね。
そして、その受け取り方が理にかなっていなければ、これに反論を加え理性的な受け取り方に見直すことで、気持ちはずいぶん楽になりますよ!
よろしければ、メールカウンセリングで詳しくお伝えします。
→ https://www.ningen-kankei.jp/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回も、お時間のある時に読んでいただけたら幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?