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発達障害を正しく知るための記事。

こんにちは。
臨床心理士・公認心理師の塩むすびです。

「 発達障害 」

こちらも、
なんとなくは知っているけど、はっきりとはわからない
という方が多いワードかと思います。

今日は詳しくお話させていただきますので、
理解を深めてもらえると嬉しいです。

発達障害とは、そもそも何の障害でしょうか?


この名前、「不安症」などとはちがって、
名前から内容を想像するのが難しいんですよね。

もっと分かりやすくしてくれればいいのに・・・。笑


おそらく名前の由来は、
脳(中枢神経系)の機能発達
なんらかの障害があること からきています。

・・・ちょっと難しいですね。



発達障害って原因については
まだ分からないことだらけなんですが、

脳からの指令がうまく手足に伝わらないと
手足に障害が出るように、

発達障害の人も、
脳のどこかの神経系に障害があるために、
「うまくいかないこと」が生じてしまうのです。


この「うまくいかないこと」の中身はいろいろです。

・言葉がうまく出てこない
・計算がうまくいかない
・人の気持ちを読むのが苦手
・気持ちの切り替えが苦手
・じっとするのが苦手

・・・など、色んなタイプがあるので後でくわしく説明しますね。

発達障害の特徴として、こうした「うまくいかないこと」は大人になってから起こるのではなく、幼少期から起こる。ということがあげられます。

(発症はしていたけど、大人になって初めて病院へ行って診断される方もいらっしゃいます)



また発達障害を育て方の問題、本人の努力の問題だと誤解されている方もまだいらっしゃるようですが、これは誤解です


もちろんひどく劣悪な環境で育てば発達に影響がでる恐れはありますが、親の育て方のせいではなく、
生まれつきの障害である場合がほとんどです。


知的障害や身体障害と同じく神経系の問題なので、
本人の努力の問題でももちろんありません。

うまれつき手が動かない方に
「努力の問題」だとは言いませんよね・・・。

ただ発達障害は身体障害や知的障害以上に周りの方の理解を得にくく、「もっと努力しろ」と言われてしまいやすいのが現状なのです、、



・・・神経で考えるとやっぱり難しい気もするので、
ちょっと別の角度からも説明をさせていただきます!


昔、発達障害の方が通う施設のスタッフさんから教えてもらった考え方がすごく分かりやすかったので、そちらをお借りして・・・!


改めましてみなさん、
学校の得意科目はなんでしたか?
苦手科目はなんでしたか?


私は国語と算数が得意で、理科と社会が苦手でした。
考えるのは好きなんですが、記憶が本当にだめなのです。

そんな私の脳を想像してみます・・・。

まず、
脳は場所(部位)によって、それぞれその場所がもつ役割があります。

脳の前のほうは計算係、横の方は言葉を理解する係、後ろの方は目でみたものを理解する係・・・といった感じですね。

実際にはすごく細かくたくさんの役割があるようで、
まだ全部はわかっていません。

人はしゃべるし、聞くし、動くし、考えるし、覚えるし・・・たくさんのことをします。

その動作1つ1つを行うために、脳の部位ごとに役割があるんですね。


そして、得意な能力は、その能力をになう脳の場所がより発達していて、

苦手な能力は、その役割をになう脳の場所があまり発達していないんだそうです。


私の場合であれば、
おそらく記憶係(苦手)をしている脳の部位が小さめ
考える係(得意)をしている脳の部位が大きめ
といった感じですね。


また福祉士さんによると、
誰でも脳の部位の大きさに差はあって、
まったく同じ大きさの人はいない
といいます。


だから人によって得意なことと苦手なことが違うんだそうです。


そして発達障害の人は、
この部位ごとの大きさの差がすごくある
んだそうです。

つまり、
得意なことと苦手なことの差が人よりも大きい
のです。


よく「グレーゾーン」という言葉を聞きますが、
この得意と苦手の差、どれだけ大きいと発達障害と言っていいのかは、すごく判断がむずかしいんです。

先ほども申し上げたように、誰でも少しは差があります。それは個性です。

ただ、どれだけ差があると個性が障害に変わるのか・・・。たしかに難しいですね。


脳の部位の大きさを目でみることはできませんし、正確に数値化することもできません。
脳波でもまだ正確に測ることができないのです。


できることとすれば、心理検査を通して、
得意と苦手の差がどれくらいありそうか調べるくらいです。


そのため、明らかに能力間の差が大きくて、
日常生活でとても困っていたら発達障害、
はっきりと言えない場合は「グレーゾーン」といわれることが多いんです。


こちらの例は私も聞いた話なので、
理解の1つくらいで思っていただけると幸いです。



まとめると、
・発達障害は脳の神経系の不具合によって起こっている
・発達障害の人は得意な能力と苦手な能力の差が大きい
ということですね。



発達障害の種類


さて、それでは発達障害のタイプを1つずつ紹介していきますね。

世の中でいわゆる発達障害は、正確には「広汎性発達障害」のことだと思うので、その中からメジャーなものをピックアップします。


①自閉症


こちらは、他の人とコミュニケーションをとることが苦手、というタイプです。

言葉を話す係や、相手の気持ちを想像する係、気持ちを切りかえる係などが障害されていることが多いです。


3才以前から人との感情交流が極端に少ないことが特徴で、ごっこ遊びも苦手だったりします。


自分の世界に閉じこもり、
外の人にあまり関心を持たない
傾向があることから、
「自閉」という名前がついているのですね。


自閉症の方は、こだわりが強く、
自分の興味を持ったことだけをひたすらし続けたり、
いつも同じやり方でないといやだったり、
人に話しかけられても聞こえていないようなふるまいが見受けられるのが特徴です。


ただ同じ自閉症でも、
症状の重さは人によって全然違います。

私は重度の方と接する機会はあまりないのですが、
症状が重いほど、コミュニケーションはとりにくく、
自分の世界にこもりがちになります。


症状の重い方はまったくコミュニケーションがとれないというわけではなく、適切なサポートを受ければ慣れた人とある程度コミュニケーションがとれるようになったり、決められた作業をこなせるようになるんだそうです。


また、自閉症の方は、こだわりを持った分野についてはめちゃくちゃ長けていたりもします。

虫の種類を図鑑レベルで知っていたり、時刻表や路線図を完璧に覚えていたり・・・。

興味の範囲がせまい分、興味をもったものにはすごく強いんですね。


また自閉症に関連して、
最近はアスペルガー症候群という言葉も広まりました。

こちらも、特定のものに関心やこだわりがあって、
人との感情のやりとりが苦手であるという、
自閉症と似た特徴があります。

自閉症との違いは、言葉や知能に遅れがないという点です。

学校の勉強はできるけどコミュニケーションが極端に苦手、という方をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。


自閉症やアスペルガー症候群は、あわせて「自閉症スペクトラム障害」と呼ばれます。

コミュニケーションが苦手だと社会生活で困ってしまうことが多いため、「療育」という専門の訓練を受けて、コミュニケーションの仕方を学んでいきます。



②注意欠陥・多動性障害(ADHD)

こちらは、
不注意で忘れ物や落とし物が多かったり、
ミスやケガが非常に多かったり、
かしこまった場面でもじっとしていられない、
といったタイプです。

幼少期から特徴があらわれるのですが、
大人になるにつれて落ち着いていく方もいます。

反対に、小さいころは多少落ち着きがなくてもそんなに目立たなかったけど、大人になって困ることが増えて受診されるという方もいます。

日常生活で大きく困るようであれば薬物療法を行ったり、大人であれば、ミスや忘れ物を予防するためのチェックリストを作ったり、周囲の理解を得て、ダブルチェックなどのフォローをお願いしたりすることで問題の改善を図ります。


③学習障害

こちらは、「読み・書き・計算」のいずれか、もしくは複数が苦手なタイプです。知能全体に問題はないけれど、なぜかこれはできない、という方があてはまります。

それぞれ説明をすると・・・、

・読みが苦手
→文章を読むことが非常に苦手という症状です。
文が頭に入ってこない、音読ができない、読み間違いがとても多い、といったことが起こります。

有名な方では、トム・クルーズさんが失読症を公表しています。台本を読んで覚えることができないため、セリフはすべて録音して耳で聞いて覚えているんだそうです。


一般には、説明書を読んで理解できない、契約書を説明されてもわからない、といった困り感が出てきます。


・書きが苦手
→ 文字や文章を書くことが非常に苦手という症状です。正しく漢字を書けない、文章を書けない、書き間違いが非常に多い、鏡文字を書いてしまうといったことが起こります。


・計算が苦手
→ 数字の理解や計算が非常に苦手という症状です。
数字や符号の意味を理解できなかったり、暗算がほとんどできなかったり、繰り上がりがわからなかったりといったことが起こります。


学習障害があると、授業を理解できなかったり
教科書やプリントを読んだり、ノートを書くのに非常に時間がかかるなど、学校の授業についていけず苦しい思いをしてしまうことが多いです。


ただ、トム・クルーズさんのように得意な能力で補ったり、周囲の人の理解をえて別のツール(今は色んな技術があります)を使ったりすることで、過ごしにくさが和らぐ可能性があります。



二次障害を防ぎたい


発達障害の方のサポートを考えるにあたってとても大切なことに、「二次障害の予防」があります。


二次障害とは、発達障害による何かしらの苦手さによって「自分はできない」、「だめだ」と落ち込んでしまったり、人が怖くなってしまうことを指します。



人間関係がうまくいかなかったり、
ミスが多くて責められてしまったり、
読み書きが苦手で授業についていけなかったり・・・、


発達障害の方は、他の人よりも「できない」と感じる場面に出会いやすく、劣等感を抱いてしまうことが非常に多いです。


そうするとますますコミュニケーションを避けるようになったり、うつ病などの病気を発症してしまう恐れもあります。


こうした事態を避けるためにも、発達障害は本人の努力の問題ではないことや、適切なサポートが必要であることが広まってほしいなと思っています。


コミュニケーションが苦手でも、マニュアル通りに決められた作業をするのは得意かもしれません。

じっとしているのが苦手でも、時々立つ時間や動く時間があれば、仕事をこなせるかもしれません。

専門家にも頼りながら、お互いがすごしやすくなるやり方をみつけていただけると嬉しく思います。



長文お読みいただき、ありがとうございました。
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