インドで受けた医療③最強のファミリードクター
インドに住んでいた頃は、ちょっとしたことで体調を崩すことがあり、5年間の在住中、病院にはよくお世話になりました。
おかげで嬉しくも悲しくも、病院関連の話のネタは、結構ストックがあります。
安心な海外生活を送るために
元々健康体な私は、日本で病院にかかるのは、花粉症の季節くらい。医療保険なんて一生無縁なのでは…と、いきっていました(笑)
デリーは、大気汚染もひどいし、水もひどく、はっきり言って都市部でも衛生面はまだまだ課題が多い。
赴任したばかりの頃は、シャワー中に絶対に口に水が入らないよう、恐る恐る浴びていたものでした。
そんなインド生活でしたが、色々と制限が多かったわりには、慣れてしまえば今よりもストレスは少なく、毎年恒例の花粉症もなく、今思えば私はけっこう幸せに暮らせていました。
海外で安心して暮らせるかどうかの一つに、
ちょっと具合が悪くなったときに診てもらえる医者、ファミリードクターが近くにいること。これは、やはり大きいと思います。
最初の2年くらいは、ちょっとした風邪でも総合病院に行き、1時間以上並び診察してもらい、行くだけで体力が消耗される状態でした。
ミステリアスなドクターとの出会い
近所にすぐ診てくれるいいドクターがいるらしい…という情報をキャッチし、ちょうど喉に違和感があり、早速行ってみることにしました。
そのドクターというのが、
昼間は私も通った総合病院に勤務する傍ら、
夕方や休日は、ドクターの自宅に行けば診てくれる、という、超ありがたい存在。
もちろん気まぐれでご不在なこともあります。
ツタが這う雰囲気のあるマンションの一室。
ピンポーンと推して、マンションの一室に入っていくと、これまた雰囲気のある使用人のおじいさんが無言で招き入れてくれます。
「どうぞ、こちらでしばしお待ちを…」
着いていくと、通されたのは薄暗い応接間でした。
洒落たアンティーク調の家具、
ダークな色合いの絵画、
古びたカーテンから微かに差し込む光。
壁一面に飾られた絵画は、
理解に苦しむ抽象画だったり、
男女が絡み合っている絵だったり、
謎の黒い動物の絵だったりと、
「いやし」とは程遠い雰囲気。
なんとも言えないあやしい雰囲気の中で、
ドクターを待ちます。
しばらくすると、ミステリアスなドクターが現れます。
ダーク系の色合いのサリー
落ち着いたグレーヘアー
スラっと背が高く細身の体型。
経験をたくさん積んでいそうな深い皺。
彫りが深いお顔
おぉ〜、魔女のようだ。
あやしげな雰囲気のお宅の理由も、このドクターの趣味か…と思えば、納得いきました。
ドクターといい、案内してくれたおじいさんといい、魔女の館に迷い込んだような感覚でした。
不思議なのが、ドクターが処方してくれる薬は毎回けっこう効き、だいたい3日間飲んだらあら不思議。
風邪気味の症状が治るのです。
薬にも合う合わないがありますが、
彼女はいつもぴったり当ててくれるので、
その感覚はさすがだと思いました。魔女の館。
私の心強い味方となりました。
別のある日、総合病院へ行った際、
たまたま院内の廊下で、彼女とすれ違ったことがありました。
シックなサリーの上から白衣を身にまとい、
取り巻きを何人か連れ、
院内を颯爽と歩いていくお姿。
いつもの魔女な雰囲気はなく、ベテラン医の風格。
とてもかっこよかったです。
インドで医療を受けて感じたこと
今、私は日本にいますが、最近ちょっと体調を崩してしまい、医師と接する機会が増えました。
ドクターにも色んな個性があり、
正直、こんな人にはもう診てもらいたくない…と思わせる、明らかにコミュニケーション能力に欠けた医者も時々います。
幸いにも、インド在住中お世話になった医者にそう感じたことは一度もなく、
おかげさまで、快適に暮らせました。
本当に、感謝しかないです。