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コッツウォルズの4週間(8-7)
8.第三週週末
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いよいよ滞在中最後の週末となる。土曜日は以前から勧められていたRousham gardenに、ユウコと行く。Cheitenham駅に集合し、Heyford駅まで
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列車で行く。線路は時に運河に沿って走っており、運河を走るカラフルなナロウボートが見える。初夏の快晴のもと、緑の芝生、緑の木々に赤い船が映える。駅から歩いてRousham gardenに向かう。気持ちの良い空気、途中ライラックの花があちこちに咲いている。大きなガーデンに向かう。英国内で
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は、大きな領主館とそのガーデンはほとんどがナショナルトラスト運営になっているが、ここRousham gardennは数少ないRousham家自らが運営しているガーデンだ。イギリスでは 美しい領主館やその庭園の多くが、重い相続税のために売りに出され、土地がばらばらに売られたり、建物が壊されるなどの状態が次つぎに起こり、ナショナル・トラストは領主館を後世に残すため「領主館保存計画」を立てたそうだ。そのおかげで領主館やその土地がナショナル・トラストに寄附されたときは、非課税扱いになり今でも一般に開放されている。高額な入場料、カフェ運営、グッズ販売でなりたっているそうだ。
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そんなわけでトラストに管理されていない私たちが訪れたここでは入場料はわずか五ポンド。カフェなどない代わりに飲食物の持ち込み可能、お昼寝も可能。田園風景の道を進んで行くと、まずは牧場があらわれる。日本では見たことのない模様の牛たちが多数いる。二頭並んだ子牛が見える。首からぶら下げた名札の名前「ネロ」と呼ぶと、こちらを向いてくれて嬉しい。門から長いアプローチがあり、歩いて五分はかかる。ようやく建物がある所に到着、入場料を払って入場。五月晴れのこの日、
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ここまで来るにも、緑の中を歩いてきて気持ちが良い。色とりどりの花では
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なく、緑の多い庭園と聞いてきたのだが、驚くことがたくさんあった。何百年も続いているRousham家だが、まずは垣根、長い歴史の中でとても分厚くなっており、厚みが一メートルもある。トンネル状の通路をもぐって通過するのだ 当然ながら日の当たるところにしか葉は茂っておらず、中は入り組んだ枝があるのみ。こんな分厚い垣根は初めて見た。入り口付近に鶏が数羽いた。初めて見る柄の種類でとてもきれいな色合い、フリルをつけているかのように羽が多い。
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つぎに鳩小屋、遠い昔、連絡は伝書バトだった 。大きな煉瓦作りの円柱形のがっしりした建物。二百五十年は経つという。 遠い昔から世代を更新しながら何百羽の鳩が住んでいたのだろう。内部の地面を覆う糞の厚みもものすごい。この鳩小屋から伝書鳩に手紙を持たせ、飛ばした時代があり、その鳩の子孫が今も飼われているとはすばらしい。私達はのんびりと一つ一つの庭を見て歩く。所々にベンチもある。
次
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は菜園ガーデンだ。ここはこの家の台所にもなっており、各種野菜や果物が育っている。圧巻は壁を伝うリンゴの木。何十年もかかって、壁を這うように仕立てられたリンゴの木は壁を這い、リンゴの木の絵のように形良く壁沿
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いに枝を伸ばしている。リンゴが実る季節にはさらに素晴らしい風景を見せてくれるのだろう。アンゼリカは、日本でもフキに似たセイヨウトウキを蜜煮にして乾燥させ、昔ケーキの上を良く飾っていたが、ここにある野菜のルバーブでジャムができるとは初めて知った。見た目はツワに似ている。日本名はショクヨウダイオウ、イギリスでは人気のジャムらしい。
次は花のガーデン。イングリッシュガーデンそのものの、いろんな草花が風に揺れている。つるバラを這わせたような大きな鳥かごのような建物の内部にはベンチがあり、散歩の途中で花を見ながら気持ちよく休めそう。私達は手入れの行き届いた庭をゆっくりと進んで行く。
とても広い芝生広場に出た 遠くは広大な畑や木々 借景利用でただでさえ広いのに、さらに広く見える 広い斜面は芝生が見事に刈り込まれ、芝刈り機が往復し緑の色合いが交互になっている 斜面はまるで小さな山ほどもある 数人がマットを敷きピクニックをしている お昼寝する人もいる ここは素晴らしい所。
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さらに広い庭を歩いていくと、映画に出てきそうな、おしゃれなデザインの休憩所のようなものが小高い丘の上にある。その昔ここの領主の家族は散策しながら、この休憩所で休みながら散歩を続けていったのだろうと想像する。さらに行くと川を利用した池のある広場 小川には石橋がかかっていて、その石橋にも石の装飾が施されている。とても贅沢な庭だ。こんなガーデンが住んでいる近くにあれば、ただの散歩もさぞ楽しいだろうと思いながらガーデンを後にした。
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帰りは駅の近くのカフェで休憩 ボールにたっぷりの具だくさんのスープにパンとコーヒー、イギリスのカフェにはオーガニックのメニューが多い。運河沿いにあるので岸にある芝生に並べられたテーブルで景色を楽しみながらいただいた。
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翌日は人生初体験のミュージックフェスティバルに行ってみた。市内にある競馬場で開催されていた。 日本では参加したことがなかったが、広い競馬場の横にはテントを張ってキャンプするスペースになっている 二日間の通し券はキャンプしながら二日間参加する。いろんなジャンルの音楽が数か所のステージで行われている メインのステージは青空の下、また大きなテン
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ト内のもあれば、簡単なプレハブ造りのステージもあり。たくさんのアーチストが出ており、どのシンガーやバンドがいいのかわからない。軽食を買い、外の並んでテーブルに、混んでいるので相席させてもらう。プログラムを見せてお隣の人におすすめのバンドを聞いてみる。私はロックファンなのでそのステージを楽しんだ。どのバンドが有名か人気があるかわからないので、ただ自分の好みの曲を聴いて回る。
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食べ物はいろんな国の料理がテントや、ケータリングカーで提供されている。広場の周囲に並んだ店々は見応えがあり、どれを選ぼうかと楽しくなる。ハンバーガーやピラフは勿論のこと、チュロスやケーキ、スムージー、日本の焼きそばの店もある。味はまずまずだったが、テントの上の幟は焼きそばの文字がさかさまだ。
広い会場を歩いていると 妖精の衣装を着ている少女がいる。オーガンジーの透けた優しい色合いのふんわりしたドレスに、ワイヤーを共布でくるんだ羽まで背中に着けている。いろんな店があるが、妖精の衣装を着せてくれるお店まであるのだ。音楽だけでなく、何もかもが初体験の楽しい一日となった。帰りはゆっくり歩いてあちこち寄り道しながら帰る。大きな水量豊かな
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川に大きな白鳥のつがいがおり、灰色をした子白鳥が二羽一緒に水に浮かんでいた。大きな木立の緑に囲まれ、水量豊かな川に浮かぶ白鳥一家はまるで絵本の世界だ。こうして第三週末も無事に終わった。
(この文章は2013.5~6月のCotswalds滞在記です)