絵本作家の眼差し
子どもの頃から、絵本作家さんが見せてくれる世界が好きでした。
やさしく、ユーモラスに、ときにリズムカルに刻まれることばたち。
一枚の葉っぱや虫たち、そこ登場するものたちに対する、深い洞察。
声を出して読んでいると、そこには人から人へと伝えられてきた、確かなぬくもりを感じるように思えました。
以前、絵本作家のかこさとしさんの展覧会に行けたことがありました。
代表作は『だるまちゃんとてんぐちゃん』。
(トップの絵がだるまちゃんです)
はっきり読んだ覚えはないのだけど、どこかで見たことがある懐かしさを感じる絵でした。
そこで、かこさとしさんの本に出会います。
敗戦のとき、19歳だったかこさん。
「軍人になろう」と決めていたけれど、近視のためになれず、同級生たちは飛行機乗りとなって亡くなっていったそうです。
どうしたら償いができるのか、どうしたら生きていけるのか。
生きるよすがを必死で探した末、子どもたちに生きる希望を見出し、絵本作家となったかこさん。
深い失望を経て、苦難を乗り越えて、やさしい世界を見せてくださる眼差し。
幾多の方々のそうした眼差しに、わたしの子ども時代は支えられていた、と心から思います。
大切に手渡されてきたものが、より進化した形で未来へと手渡されていくように。
来年も、一歩でも成長していきたい。
そう思っています。
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今年も一年間、ありがとうございました。
日々悩み、笑い、泣き、せわしなくめぐってゆくけれど、そこに確かにある光を見失わないように、歩んでいきたいと思います。
良いお年をお迎えください。