人の喜びを喜びとする人
知り合いで、HSPと呼ばれる体質の人がいる。
HSPとは、ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)の略で、視覚や聴覚などの感覚が敏感で、刺激を受けやすいという特性を持っている人のことをいう。
彼は生まれながらに、人の心にとても敏感なのだそうだ。人が持つ悲しみや心の痛みにふれると、鳥肌が立ってしまうほど、深く感じてしまう。
そんな繊細さを持っていたから、治療家になったのだ言う。
体の治療を仕事にしているけれど、その感性と優しさで、心にまで踏み込んでいく。
先日、彼が治療をしている中で、クライアントの感情が解放された。そんな瞬間に立ち会うことができた。
目の前の人の悲しみが解放されたとき、彼は目を赤くして、その目にはみるみる涙があふれた。
自分のことじゃないのに。
彼は「良かったみたいだ」と嬉しそうに言い、目にたくさんの光を含ませて、喜びいっぱいの笑顔を見せてくれた。
その笑顔は、宝石よりもずっと美しいと思った。
人の喜びを喜びにできる人、なんだ。
そんな純粋な優しい心に出会えた日は、一日、胸が温かく、しあわせな気持ちになる。
まるで、世界に灯りがともっていくように。
人はこんなにも温かく、純粋な心を持てる存在なんだと、教えてもらう。
こんな光景が記憶の中で光を放ち続けて、この世界も捨てたものじゃないって思わせてくれる。
人の中に、素晴らしいものがある。
それは本当のことなのだけれど、なかなか出会えないこともある。
だからこそ、人の中のキラリと輝くものに出会えたときは、とびきり嬉しい。
この夏の、嬉しかったこと。