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キモノの分類学 銘仙風の縮緬

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ものすっごい数が作られていた、昭和の普段着が好きです。変なものがいっぱいあって面白いからです。何かが流行ると、みんながわっと飛びついて似た柄のものを作りました。大島風の柄の銘仙、銘仙風の柄の錦紗、お召し風の柄の村山大島、銘仙風の柄のお召し、絞り・絣・八丈・友禅風その他なんでもあるウール。面白いものが山ほど出て来ます。

キモノはまず柄を見て次に触ってこれは何かな?と考えるのですが、この写真の着物は最初銘仙かと思いました。
「おお、かっこよさげ!」と引っ張り出したのですが、触ったらちりめんでした。よく見ると、銘仙風の糸のズレのような模様が、全く糸に沿っていません。絞りのようにも見えなくはありませんが、細部を見るとこれは型押しです。
地味派手の素晴らしい柄です。グレーの地を、真っ黒い太い竹がズドンと上下に貫いていて葉が茂り、その上に唐突に黄色と朱色の菊が咲いています。菊は一時期流行った洋風の水彩画のようなタッチ。これを色を分ける型紙で表現するのは難しいはずです。竹の幹の片側はくっきり、片側がぼかしてあるところがとても洒落ています。色は全体に地味ですが、着ると迫力があり、でも派手ではないので意外と普通に来られる感じです。帯も割となんでも合います。きっと着やすいキモノだったのでしょう。

ひどいシミがあるので着ることはできないけれど解くのも惜しく、古いので洗いに出すことも難しく、縮緬ですから自分で洗うこともできないので、さてどうしたものか、なんとなくコレクション状態になっています。かっこいいから一度誰かに着せて写真くらい撮ろうかしら。

小紋 袷 縮緬 銘仙風型染め 地色:銀灰

月兎耳庵

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