最強の就農術? 独立就農VS就職就農 さらには組織規模による違い
昨日、新農業人フェア 農業就職・転職LIVEのセミナーでお話しさせてもらいました。下記なかなか物々しいタイトルです。
「工学部卒自転車トップメーカーから農ある暮らしで得た感動」
~サラリーマン農業3年目の哲学~
↓↓セミナーの様子はこちらから動画でも見られるそうです。↓↓
(※私の出番は1時間~1時間30分あたり)
「非農家、非農学部、非農業系会社からの転職」「サラリーマンで農業をしている」という立場はなかなか珍しいこともあり、こういった機会をいただきました。
また、「初めは独立就農を考えていたが、結局就職就農にした」という経緯もあり、そのあたりの事をお話しさせていただきました。
以前、別の記事で書かせてもらっています。
マイナビ農業さんでも取り上げてもらいました。
セミナー後、聞いていただいた方に声を掛けられ、
「どんなふうに就農に向けてインターンや体験などを活かしていけばよいか?」
と聞かれましたので、他にもそんなふうに疑問に思う方がいると思い、こちらの記事を作成しました。
セミナーでのお話の要点
セミナーでは農業か農業以外か、独立か就農かでどんなふうに働き方が違うのかをお話ししました。以下表にまとめると、こんな感じです。
縦軸がすごくざっくりした業種による分類
農業か農業以外(オフィスワーカー)、人数規模(~5人くらいが少なく、20人~くらいが多い??)
横軸がすごくざっくりした職種による分類
サラリーマンか経営者(自営業者)
私の場合
(1)サラリーマン・農業以外(オフィスワーカー人数多い) から
(2)経営者(自営業)・農業(人数少ない) へ転職しようと思ったけど
(3)サラリーマン・農業(人数少ない) に落ち着いた
という感じです。
(1)スーツを着て、(たまに)電車に乗り、人口が密なオフィスで、分業された頭脳労働を行う働き方から、
(3)作業着を着て、車に乗り、人口が疎な農園や事務所でいろいろな肉体労働と頭脳労働を行う働き方になりました。
今のところ、この働き方が自分の性に合っていると感じています。
組織の規模による違い
「農業で働こうぜ!」という話が出てくると、以前は
農業VS非農業(主にオフィスワーカー) が比べられていたように思います。大企業のオフィスワーカーから個人の独立農業始めよう、という感じです。
段々と農業の働き方が浸透してきて、最近では
独立就農VS就職就農 が比べられることが多くなってきたように思います。いきなり独立は厳しいから、就職農業もあるよ、という感じです。
段々、雇用就農者数は増えてきているみたいです。
新規雇用就農者2010年7.5(千人)→2017年10.5(千人)
https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html
農業をサラリーマンとして仕事としていて思ったのは、農業という仕事の在り方に加え、組織規模による働き方の違いも大きいと思いました。
イメージとしては、大企業とベンチャー企業との働き方の違いです。
農業界は段々と雇用されて働く人が増えていますし、人数規模が大きいところも増えているようですので、今後働き方を考えるとその規模も考えてよいのかと思います。
農業の常雇 2005年13万人くらい →2015年22万人くらい
20人以上常雇がいる経営体数 2005年51くらい→2015年122くらい
引用元:農業・農村構造プロジェクト【センサス分析】研究資料
日本農業・農村構造の展開過程 ―2015年農業センサスの総合分析―
第3章 農業経営体における労働力の変化―農家世帯員による労働力の減少と常雇,役員・構成員等の増加― 松久 勉 (農業・農村領域 上席主任研究官)
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/181228_29bunseki_04.pdf
就農を考える方へのアドバイス
特に現在人数の多い企業に勤めるオフィスワーカーの方にとって、いきなり1人で独立就農を行うのはなかなかハードルが高いので、こんな感じで転職を考えてもいいのかな、なんて思います。
・一度小さい農業以外の組織で働いてみて、小さい農業組織に入る
(小さい組織の働き方が性にあっていて、案外農業じゃなくても良かったと、とどまるパターンもありそう)
・一度ある程度大きい農業組織に転職してから独立を検討する
良い選択を!
就農となると、独立して農家になるというイメージが強いですが、それだけでなく、就職就農という道もあり、組織規模によっても働き方は違ってきます。
というか、さらに言えば農業組織ごとに働き方は違います。
ほかの業界と比べ、インターンや体験などを受け入れている組織が多いと思いますので、そちらをうまく活用し、いくつか見て良い選択をされることを願っております!
最強の就農術?
・・・それと、農業インターンだけでなく、体験農園を行うとより良い選択が出来ると思っています。
理由:
(1)インターンはどうしても年間の一時期しか見れないが、体験農園は年間通した野菜の生育を見られる
(2)体験農園は手軽に始めることができ、さらにその地域の農家さんとのつながりを持っているため、いろいろな情報が手に入る
(3)家庭菜園(自給的農業)と就農との違いとが身をもって理解できる
体験農園を行いながら、いろいろな所に体験やインターンに行くことが最強の就農術ではないでしょうか。。。
書いた人 山田直明
岡山県出身。北海道大学工学部卒業。弓道参段。卒業後自転車メーカーに就職し、マーケティング部に所属。会社に勤めながら週末体験農園コトモファームに通い、野菜作りを学びながらその面白さを知る。また、様々な農家さんと出会う中で農家になる事を決意。会社を辞め、神奈川県藤沢市の有機農家相原農場にて農業研修を受ける。その後、株式会社えと菜園、NPO法人農スクールに所属。現在会社では、野菜の生産、体験農園の運営を行い、農業を使った就労支援プログラムの講師を務める。NPOでは国の事業である「地域の新規就農サポート支援事業」を進める。最近子どもが産まれ1児の父に。