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いじめの事実確認よりも大事なこと

いじめ疑いの訴えがあった時、学校が真っ先にすることは、アンケートやヒアリングを行って事実関係の確認!

……と考えている教職員がほとんどでは無いでしょうか。
保護者の方も、多くの方は「まずは、いじめを認めて欲しい」と思いますよね。

そこで事実関係が確認されれば、
加害児童に指導して、被害児童の対応をして、報告書書いて……という流れが多いです。

一方、事実関係が確認されなければ、
そんなことはなかったですよ?
家庭の問題じゃないですか?
で、特に学校側は何もせずに終了。

私はこれ、優先順位が間違っていると思っています。

いじめの訴えがあった時に、学校が真っ先にやるべきなのは、該当の子どもへの「寄り添い」です。
「今、事実関係を確認しているのでお待ちください」じゃないんです。
子どもは現在進行形で困っているんですよ。
一分一秒、つらい時間を過ごしてるんですよ。

仮にいじめがなかったとしても、目の前に苦しんでいる子供がいるなら、まずその子の目線でその子の話を聞きませんか。

それから、どうすればその子が安心して学校に通えるかを考えましょうよ。子どもは精一杯の力を振り絞ってSOSをだしてるんですから。

いじめがあろうがなかろうが(よく学校側が言いがちな、狂言とか家庭の問題とかであったとしても)、その子はなにかしらの困り事を抱えてるんです。
その困り事に対処することが、1番大事なはず。

大人が本気で、その子を守る気になって向き合うことができれば、自然と事実は零れ落ちてきます。
おそらく、その子本人の言葉の中に、事実確認につながるヒント、対応につながるヒントが全部隠されているはずです。

こどもは良くも悪くも嘘をつきます。
本人には嘘をついているつもりがないこともあります。
人を傷つけないように、自分が傷つかないように、誰かを悲しませないように、無意識で嘘をつくことがあります。

だからこそ、表に出てきた言葉ではなくて、その言葉の裏にある感情や出来事に注目しなくては、事実も解決策も見つかりません。

いじめ調査委員会が子どもを問い詰めても、なにもわからないのはこのためです。小学校高学年、中学、高校生になれば、子どもは敏感に大人が何を求めているのかを感じ取ります。答えた結果、誰かが追い詰められる可能性も感じ取ります。
結果、真実を語ることは、子どもにとって、とてもハードルが高くなってしまうのです。

事実を語るためには、安心できる環境と信頼できる相手が必要です。
そのためにも、まずは子どもを安全・安心できる状態に守ってあげることが大事ではないでしょうか。

これって、未就学児の子育て支援の現場や、特別支援の現場では、当たり前の事として優先順位が高いんですが、なぜか学校は事実確認・認定にめちゃくちゃこだわります。
おそらく、マニュアルがそうなっているからでしょうか。
先生によっては、事実確認ができるまで被害児童を放置するなんてことも「あるある」です。

子どもが安心して学校に戻れるようになったら、事実がどうだろうと、それほど本人の人生には影響しないんです。
多くの子どもは、「どうしたい?」と聞くと「前みたいに戻りたい」「楽しく友達と遊びたい」と答えます。
「いじめっ子を懲らしめて欲しい!」というのが子どもの口から出ることはまれで、多くは保護者からの要望のことが多いんです。

事実確認をしたいのは、まわりの大人の処罰感情と責任逃れのため。
子ども本人に大切なのは、元のように安心して笑える環境なんです。

時間が経てば経つほど、子どもの心の傷は深くなり元に戻らなくなります。
子供を放置したまま、ちんたらと事実関係の確認に何ヶ月も掛けてる場合じゃないんですよ。(そんなに事実関係が大事なら、すべての教室に監視カメラつければいいんじゃないですか?)

だから、原因が加害児童であれ、学校であれ、家庭であれ、本人であったとしても、問題がどこかにあることは間違いないのだから、まずはそこから子どもを救い出すことが最優先です。

学校側が忙しいことは百も承知ですが、「子どもが困っていることに気が付いた一人の大人」として、まずは寄り添って助け出してあげて欲しいんです。教員が見逃せば、その子を救い出せる人は誰もいなくなってしまうかもしれない。その子にとって唯一の希望かもしれないのですから。

そして問題が、本当に家庭や本人にあるのなら、必要なサポートや、適切な支援に繋げてあげなくてはなりません。

いじめがあるかないか、事実確認はその後でいいんです。
余裕があるならもちろん同時並行でもいいです。但し、絶対に優先順位は子供への寄り添い・保護が上です。

……学校の現場は、とかく大人の保身やメンツのために、子どもが犠牲になりがちです。
そもそもが、レールから外れると出世できなくなる教員の評価システムに問題がある気もするんですよね。
だいたいレールから外れる人の方が、子どものことを大切に考えてくれることが多いんですよね。個人的にはそういう先生大好きですけども。

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