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プライムパーティの行方
20代の頃、カード集めで仲間が出来るとは思っていなかった。友達とコミケやイベントに行くことはあっても、カードを一緒に集めることはなかった。この趣味は一人で黙々と進めてきたもので、mixiも掲示板もやっていない。時間があれば集めたカードの原作漫画やアニメを見ていた。20代前半は仕事もハードな飲食業で、勤務中はひたすら喋りまくり。仕事以外の時間は極力一人でいたかったのも影響していたと思う。
外に出ればゲーセンにいて、家にいればカードをいじるか作品を見るかだった。仕事で帰れない日は漫画喫茶に泊まっていたし、たまに連休があれば「Vガンダム一気に見るぜー」とかそんな暮らしぶりである。
そんなコミュニケーションのコの字もなかった時間が、今になって交友に役立っているのだから不思議だ。Twitterに身を置く今、ありがたいことに多方面から話しかけられる。そして原作を見続けてきたため、楽しくネタを交わすことが可能なのである。
ただ、何度も見返した個人的レジェンド作品を除けば、あくまで1ファンとしての知識しかない。大半の作品についてはオンリーコレクターのディープな話にはついていけない。
1作品を極めた人は、いつだって尊敬の対象だ。多ジャンルコレクターの自分では到底辿り着けない領域にいる。だから、超限定カードや直筆サインカードのような代物は、できれば自分が持つべきではない。生粋の1ジャンルコレクターに譲るのが流儀だと思っている。そして多分、そう考えて手放した物のうち、最も価値の高い物がプライムパーティだろう。
プライムパーティとは、SDガンダム外伝をモチーフにした同人カードである。そのうちの1枚に、SDガンダムの生みの親であり育て親、横井画伯が参加したカードが100枚限定で存在する。
これはつまり、ドラゴンボールの同人カードに鳥山明先生が、セーラームーンの同人カードに竹内直子先生が寄稿するのに近い。SDガンダム好きでなくてもヤバさが伝わるのではないか。
この限定カードは、2009年の夏コミで同人誌と共に頒布された。自分は前年熱中症になったため、事前にサークルをチェックしていなかった(知れば欲しくて無理をするから)いつも通り、SDガンダム系のブースに行ってとりあえず端から1つずつ見ていけば良いと思っていた。そして初めに並んだのがたまたまこのサークルだったのである。
新刊を買い、おまけにカードをもらう。ブースを離れる時、背中から横井画伯の名と限定数が聞こえた。正直冗談だと思った。同人カードに本家が来るなんてある筈がないと。しかしもう一度もらったカードに目を落とすと、どう見ても画伯なのである。
前述の通り、この頃の自分は他のコレクターと接点を持っておらず、譲ろうにも当てがない。自分が持っていて良いのか。2日ほど悩んだあげくヤフオクに出した。
金額は伏せるが、5・6年前の相場の、さらに1/10くらいの値段で終了したと思う。販売直後だったから情報が出回る前で、検索者も少なかったんだろう。ちなみに近年は出回ってさえおらず、今ヤフオクに投入されたら幾らになるのか見当もつかない。
売ったことに後悔はないが、惜しいのは誰に渡ったのかが分からないことだ。あのプライムパーティは一体誰のもとに辿り着いたのか。無くしてはいないか。傷つけてはいないか。この世に現存する数が少ないが故にどうしても心配になる。
もしあの時から自分にコレクター仲間がいたら、安心して譲ることが出来ただろう。けれど仲間探しをしていたら、作品に触れる時間が減っていたのも確かだ。難しいなと思う。困ったことに社会人になって以来、平均年休80日程度で推移してしまっている。家族も、仲間も、作品も愛していくにはこのままではいけない。週休3日で50万円稼げる世の中になれば良いのに。
こんな状況だから、自分が多くの人と接点をもつきっかけになった「ショーケース」は、結果的に自分に合う趣味となった。そんなに時間もかからず、金銭の不足を解消しつつ、趣味におけるコミュニケーションの増加も行える可能性を秘めている。お金を通した交友は、ちょっと申し訳ない気もするけど、特にガンダムは相場よりだいぶ安く出来た気がするし、winwinに出来ると良いなぁ。
そしてプライムパーティがもし手元に残っていて、ショーケースに置けたなら、目立っていただろうなぁ。くっそー、やはり後悔しているぜー(´・∀・`)