ショートショート140「怪談の不始末にかかる事後面談」
「で、改めて聞くけど、これ……何?」
「耳です」
「だよね、俺、何をお願いしたっけ?」
「芳一を連れてこい、と」
「だよねぇ…」
献上された二つの耳を見て、上様の亡霊は頭を抱えた。目の前の鎧武者の亡霊には、いまひとつ自分の言わんとすることが伝わっているような気がしない。
「どうして俺が芳一を連れてきてほしかったか、わかる?」
「琵琶を演奏してもらうため、ですかね」
姿勢を正した武者の鎧がガシャリと音を立てる
「それをわかっててさ、耳だけ持ってきてどうするのさ?」
「現地