【漫画原作・シナリオ】ときめき♡えゔりでぃ ~ゴリラ娘むーちゃん、Drummingが止まらない~ 第2話

登場人物

葛谷先輩(17) 久瀬剛高校二年生
むーちゃん(16) 久瀬剛高校一年生
パンジーちゃん(16) 久瀬剛高校一年生。むーちゃんの友人
天の声・N(ナレーション)
取巻き女A
取巻き女B
飼育員

第二話「お昼ごはん」

○久瀬剛高校・1-G組教室(朝)
   むー、扉を開け、見回す。
   パンジー(16)、手には食べかけのバナナを持って席に座っている。
   パンジーの机の上にバナナの房が置かれている。
   むー、パンジーの席へ走って向かう。
むー「パンジーちゃ~ん、おはよう、同じクラスだね、うれちい」
パンジー「んーんんんん!んっんんんー(訳:むーちゃんだ!おっはよ
 ー)」
   パンジー、口を一杯に頬張り、むーに手を降る。
天の声・N「久瀬剛高校一年生、パンジーちゃん。むーの唯一無二の下…友
 人である。バナナが大好き」
むー「えー?今日も超ウルトラスーパーハイパーかわいいって?もう、当た
 り前のこと言って」
   むー、照れながらパンジーの肩をバシッと手で叩く。
   パンジー、肩が脱臼する。
パンジー「ん~(訳:いった~)」
天の声・N「こんなお友達を持って…お察しします」
むー「ごっめ~ん」
   むー、パンジーの脱臼した肩を治す。
   パンジー、口の中のものを飲み込む。
天の声・N「パンジーちゃん、怒ってもいいんだよ」
パンジー「肩凝っていたからちょうど良かったわ」
天の声・N「肩揉みと同列にしてる」
むー「そんなことより」
天の声・N「この人はこの人で軽く流した」
むー「朝からね、イケメンと会えたわ」
パンジー「そうなの!?登校初日からついてるわね」
むー「そうなのそうなの!!葛谷先輩って言うんだけど、もうひと目見ただけで、心臓がとぅんくしちゃった。先輩もアプローチす~ごくて、今日のお
 昼、誘われちゃった」
むー、目を輝かして、熱弁を振るう。
パンジー「うっそ~、もう脈アリだよ、脈アリ!」
天の声・N「別の意味で、葛谷は今朝、脈をなくしかけたが」
むー「そうだよね、そうだよね。あたしって罪な女」
天の声・N「前科は数え切れない」
むー心の声「うっさい」
   むー、胸の前で両手を合わせて、喜ぶ。
むー「そうだ、先輩とお昼食べるなら、何か手作りなもの持っていかなくち
 ゃ」
   むー、扉へ走って向かい、パンジーに手を降る。
むー「今から家庭科室で、作ってくるね。ば~い」
天の声・N「登校初日から、堂々と授業サボりである、はい」
パンジー「あっ待って」
むー「どっしたの?」
   むー、扉の前で足を止める。
パンジー「告白されそうになったらね、中庭の木の下ね。あそこは、告白さ
 れたら、100パー恋人になれる伝説で有名だから」
むー「おっけー!中庭、木の下ね!」
   むー、扉を開け、教室を出ていく。

○同・2-K組教室(朝)
   取巻女AとB、体の所々に包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られている。
   葛谷、足を机に乗せて、席に座っている。
取巻女A「葛谷、今朝大丈夫だった?」
取巻女B「あの女、私達の葛谷に近づくなんて、覚えておきなよ」
葛谷「心配するな、もう近づくなっとビシッと言っておいたから、来ねえ
 よ、もう」
取巻女A&B「さっすが~」
   むー、教室の扉を力強く開ける。
むー「くっずやせ~んぱ~い」
   クラス中の人がむーに視線が集まる。
葛谷「げっ、本当に来やがった」
   葛谷、苦虫を噛み潰した表情。
取巻女A「また、あんたなの!」
取巻女B「葛谷に近づかないでくれる?」
   むー、葛谷へ走って向かう。パイを乗せた皿を手のひらに乗せてい
   る。
   取巻AとB、むーの前に立ち塞がる。
むー「せんぱ~い、お昼作ってきたんで~す」
   むー、取巻女AとBを片手で跳ね除ける。
   取巻女AとB、窓ガラスを突き破り、外に飛んでいく。
天の声・N「葛谷、地獄のランチタイムの始まりです」
むー心の声「ときめきの間違いだろう、ごらぁ」
葛谷「おっ、おぉ?!」
   葛谷、割れた窓ガラスを呆然と見ている。
   むー、葛谷の席の前に立ち止まり、手のひらに乗せたお皿を葛谷に見  
   せ付ける。
   クラス中の人達がざわついている。
クラスの男A「(小声:おい…なんだあの女、新入生?葛谷の新しい女か?」
クラスの男B「(小声:そんな雰囲気は感じられないが…でもあの女すげえ
 な、新入生なのに登校初日に二年の教室にカチコんできて、葛谷と飯食お
 うとしてるぜ…)」
むー「りんごが沢山余っていたので、アップルパイを作ってきたんです」
葛谷「こ、このアップルパイ、どこにりんごが…?なんかパイの中、ぐちゃ
 ぐちゃで、おれが知ってるアップルパイじゃないんだが…」
むー「あー、食べやすいように、潰しました」
天の声・N「みなさんも察していますが、手でやっています、この女」
むー心の声「出しゃばんな、ごらぁ」
葛谷「はっはっはっ」
むー「うふふふ」
葛谷「はっはっはっ…」
むー「はい、せんぱ~い、どうぞ召し上がって」
葛谷「うまそうだけど、腹減ってねえんだ。早弁しちゃって…はっはっは
 っ…」
   むー、机に乗せた葛谷の足を手で払い除ける。
   葛谷、バランスを崩すも、机にしがみつき、倒れるのを逃れる。
   むー、机の上にバンとお皿を置き、両手で葛谷の顔を掴みかかる。   
   むー、葛谷の顔に近づく。
むー「お・い・し・い・で・す・よ?」
天の声・N「葛谷、閻魔大王に舌を抜かれる前にお食べ…」
むー心の声「かわいくひ弱なあたしがそんなことしねえよ」
葛谷「は…はい…おいしくいただきます…」
   むー、満面の笑顔で掴んだ手を離す。
むー「はい、一杯食べてください」
   葛谷、パイを震えた手で掴み、口に入れようとする。
   むー、葛谷の手首を力強く握る。
葛谷「いててて」
むー「い・た・だ・き・ま・す・は?」
葛谷「あっ…すんません。い…いただきます」
むー「よろしい」
   むー、葛谷の手首を離す。葛谷の手首には真っ赤な手跡が付いてい
   る。
   葛谷、震えた手で掴んだパイを口に入れる。
   X   X   X
   葛谷、口を手で押さえ、顔が青ざめている。
むー「おいしかったですか?」
   葛谷、口を手で押さえながら、顔を縦に振る。
むー「よかったで~す」
   むー、両手の胸の前で合わせて、喜んでいる。
天の声・N「どうしたらアップルパイを不味く作れるのか」
むー心の声「三ツ星シェフも驚く美味しさだ」
   チャイムが教室中を鳴り響く。
むー「あっ、いっけな~い、楽しい時間は一時中断か。では、放課後、迎え
 に来ますね、ばいば~い」
   むー、手を降って教室を去っていく。
   クラス中の人達はむーが去っていくの呆然と見ている。
   葛谷、その場に崩れ落ち、膝を付き、四つん這いになる。
葛谷「えれえー女に絡まれてしまった…」
天の声・N「葛谷、ときめきな学校生活は続くのである」   
<了>

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