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消費税は預り金ではないので免税事業者がピンハネをしているというのは間違い

消費税が預り金かどうかというのは、1990年に東京地裁(3月26日)と大阪地裁(11月26日)の裁判で次のように結審されています。

判決は「消費者は、消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底いえない」「(消費税の)徴収義務者が事業者であるとは解されない。したがって、消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」。

つまり、消費税は物価の一部であり、「預り金」ではないと判決ではっきり謳っています。

自己考察

省略されているレシート

***** 札幌飯店 *****
       領収書
さっぽろ味噌ラーメン  1,000円
ーーーーーーーーーーーーーーーー
小計          1,000円
+消費税           100円
合計          1,100円

省略されていないレシート

***** 札幌飯店 *****
       領収書
さっぽろ味噌ラーメン  1,000円
内訳
店舗固定資産税       10円
事業税           10円
材料費(税抜)        300円
材料費の消費税       30円
人件費            500円
利益             145円
看板猫の餌代(税込)      5円
ーーーーーーーーーーーーーーーー
小計          1,000円
+消費税           100円
合計          1,100円

札幌飯店が納める消費税額は
(販売価格 - 仕入れ価格(材料費(税抜))× 10%
(1,000円 - 300円)× 10% = 70円

つまり、いただいた100円から70円引いた30円は札幌飯店がピンハネしたお金になる・・???

違います!
この30円は
材料を購入したときに
札幌飯店が材料販売店に支払った消費税を
材料販売店が納めることになります。
こうしてつじつまが合うのです。

対価ってなに?

看板猫の餌代も消費税も利益も全部含めて
札幌飯店が頭の中で決めた提供価格
つまり、対価の中身は札幌飯店の頭の中でしか区別できないから
札幌飯店が消費税も含めて考えていれば、それが正解になる。
という、結構いい加減な仕組みなのです。

免税業者の義務

消費税の流れを書くと、次のようになります

仕入れ業者  札幌飯店  消費者
納税額    納税額   支払額
30円   + 70円  = 100円

つまり、札幌飯店が免税業者であれば
納税義務を負う札幌飯店の事情だけ
納税すべきかどうかは決定されることになります。
つまり、免税業者は国が定めた規則によって納税を免除されるのです。



消費税って人件費への税金?

消費税は付加価値税なので、人件費は仕入れに含まれません。
それでも、実質的に付加価値を作っている人件費が多くなれば、その分税金が高くなり、実質的に人件費への税金と言っても間違いではありません。

裏技?

じつは人件費も仕入れにできるのです!
料理人を社員ではなく、業務委託として外注費にすればよいのです。
そうすれば、消費税は70円ではなく
(1,000円 - 300円 - 500円)× 10% = 20円
で済むのです。

仕入れ業者  札幌飯店  業務委託  消費者
納税額    納税額   納税額   支払額
30円  +  20円  + 50円  = 100円

100円もらっていながら納めるのは20円
これも、ズルではなく、立派な節税術です。
ただし、業務委託した外注事業者が50円納めるので、つじつまは合います。

でも・・

そうすると、事業者は正社員で雇うのをやめ、業務委託にしてしまいます。
こうして、望む望まないにかかわらず、不安定で低賃金で働かされ、日本は衰退してゆくのです。

インボイス制度

小規模事業者はこの節税ができなかったり、そもそも本当の利益が少ない事業者もあるので、特例として免税されています。
つまり、預り金ではないので、別に納めなくてもズルではないので・・

でも、インボイス制度になると、この免税事業者から仕入れた材料費は仕入れ費として認められなくなるので、免税事業者から購入するとその分消費税を余計に納めなければならなくなります。

となると、お店はこの免税事業者から仕入れるのをやめ、課税事業者から仕入れるようになります。
そうなると、免税事業者は困ってしまうので、しょうがなく免税事業者の看板を下ろして、課税事業者として登録することになり、本当に零細の事業者は本当の利益が本当に少なくなってしまうのです。

こうして、零細事業者は事業を廃業し、ますます、日本は衰退して貧乏人の国になってしまうのです。。。悲

まとめ

・納税義務者は事業者であって消費者ではない
 → 納税額は消費者との関係で決まらない(免税事業者は事業者の事情)
・納税額は事業者が加えた付加価値で決まるもので商品価格ではない
 → 実質、人件費(会社が負担する雇用保険料などを含む)
・節税のため人件費削減というインセンティブが働く
 → 雇用不安、賃金低下につながる
・生産性が低下する
 → 付加価値が税金で減少させられる


間違いなどありましたら、コメントでお願いします。


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