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実は誤解されがちな「課題の分離」

SNSでよく見かける「自分の課題だけに集中しよう」「他人の課題には口を出さない」というフレーズ、誤解されやすいですね。

誤解
ただの自己中心主義 面倒な人の課題や人付き合いは基本スルー

本質
「個人主義ではなく、他者を信頼し合いながら貢献する共同体感覚を育む」こと

まずは自分の課題をしっかり認識し線引をしたうえで、
必要に応じて周りと協力し、共同の課題を解決する
社会的調和(共同体感覚)が重要です。

そもそも「課題の分離」がアドラー発ではないんです。

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1. えっ、アドラーが言い出したんじゃないの?

そもそも「課題の分離」は後世の発展だった

「課題の分離」とは、自分の課題と他人の課題を明確に切り分ける考え方。でも実は、アルフレッド・アドラー本人が直接打ち出したものではないんです。これはアドラーの弟子であるルドルフ・ドライカースが提唱した教育メソッドをベースに、日本では野田俊作氏によってまとめられたもの。

アドラー心理学の原点は「個人の責任」と「他者との関係」をハッキリさせよう、というものでした。それを日本の文化に合わせてわかりやすくしたのが野田氏の「課題の分離」。つまり、アドラーの思想が土台になってはいるけれど、「課題の分離」という名前自体は後付けだという点がポイントです。


2. ドライカース&野田俊作氏って何者?

ルドルフ・ドライカースの教育メソッド

ルドルフ・ドライカースは、アドラー心理学を教育に応用した先駆者。次のような特徴があります。

  • 自然な結果と論理的な結果
    罰や報酬よりも、行動の結果を自分で体験させることで学ぶ方法。たとえば「宿題をしないとテレビ禁止!」ではなく、「宿題をしない → 次の日、授業でわからない → 自分が困る」という流れを本人が実感するイメージです。

  • 民主的な教育
    親や教師が子どもと“対等”に話し合い、責任感を育むやり方。指示命令よりも「あなたはどう思う?」と聞く姿勢が大切です。

  • 共同体感覚の育成
    社会の一員として、お互いが助け合える喜びを子どもに体験させること。単に「自分のことだけやればいい」ではなく、みんなで手を取り合いながら成長する感覚です。

改めて思うんですが、教育論ってマネージメントや人材育成にそのまま活用出来ますよね。

野田俊作氏の貢献

一方、日本では野田俊作氏がアドラー心理学を広め、ドライカースのメソッドを「課題の分離」という形で紹介しました。

  • アドラー理論の普及
    もともと難しく思われがちなアドラー心理学をわかりやすく解説。多くの著書や講演で知名度を高めました。

  • 「課題の分離」を発展させた
    日本の文化や教育現場に合わせて「課題の分離」を具体化。「相手を尊重しつつ、自分も自立する」ための実践的な技法としてまとめています。

  • 「共同の課題」へのつなぎ
    「課題の分離」だけで完結させず、最終的には「みんなで解決すべき課題」に取り組むのが大事だと強調。「共同の課題」に進むことで社会的調和を目指します。

ゲーム開発のプロジェクトチームも同じなんですが、サッカーチームのようなもので、一つのゴール(共同の課題)に向かって個々が自立して役割を担いながら達成に向かって尽力するものなので、イメージがしやすいですね。


3. 「課題の分離」だけじゃ足りない! その先にある「共同の課題」

「課題の分離」は手段であってゴールではない

「課題の分離」は、自分が責任を持つべきことと他人が責任を持つべきことをきっぱり分ける技法。たとえば、人のプライベートな決断に余計な口出しをしないなど、自分の領域を意識することでストレスを減らし、対人関係をよりよくします。

ただし、ここで重要なのは「それだけで終わらない」こと。アドラー心理学では、最終的に「共同の課題」に取り組むプロセスが不可欠だとされています。

「共同の課題」で本当の協力を生み出す

「課題の分離」をすると、まずは個人の責任が明確になります。でも、世の中には一人で解決できない問題もたくさん。そこで必要なのが「共同の課題」です。他者と協力しながら解決へと進むことで、社会全体の調和を目指します。

野田氏によれば、「課題の分離」は「共同の課題」をみつけるための“準備運動”。うまく境界を引いてからこそ、本当に協力し合う部分が明確になり、効率的に連携できるようになります。


4. 自己決定性と社会的調和は両立できる?

アドラー心理学は「過去や環境に支配されずに自分の生き方を決める」ことを重視します。一方で、人と協力する「共同体感覚」も大切にする。

一見、「自己決定性」と「他者との協力」は矛盾するように見えるかもしれません。でも「課題の分離」を実践すると、自分の領域は自分で決め、他者の領域には踏み込みすぎない。その上で必要な場面では協力し合う、というメリハリのある人間関係が築けるようになります。

  • 自己決定性:自分の課題は自分で決める

  • 社会的調和(共同体感覚):必要なときは他者と力を合わせる

このバランスこそが、アドラー心理学の真髄。個人主義になりすぎず、かといって過剰に干渉し合うのでもなく、協力すべきときに協力できる健全な人間関係を生むのです。


5. 「課題の分離」=冷たい人? よくある誤解に注意!

SNSでもよく見かけるのが、「課題の分離?つまり『相手のことは全部スルー』ってことでしょ?」という誤解。たしかに、表面的な理解だとそう思いがちですが、アドラー心理学が目指すのは「相手を突き放す」ことではありません。

野田氏は、「課題の分離」をしても最終的には「共同の課題」に立ち向かう必要性を説いています。つまり、相手の選択には土足で踏み込まないけれど、助けを必要としていたり、みんなで協力したほうがよい課題には積極的に関わるというスタンスです。


ちょっとした例:こんなとき、あなたならどうする?

  • ケース1:「友人がダイエットを始めたけど、毎日お菓子を食べてる」

    • ダメな対応例:「いい加減にしなよ! 私が毎日お菓子を隠すから!」

      • → 相手の課題に干渉しすぎ。反発を生むかも。

    • OKな対応例:「ダイエットはあなたの意思でやることだから応援するね。もしアドバイスが必要なら遠慮なく聞いて!」

      • → ダイエットは友人の課題であり、自分はサポート役。必要なら一緒に考える、というスタンス。

  • ケース2:「職場の同僚が新しいプロジェクトで困っている」

    • ダメな対応例:「それはあなたの課題でしょ? 一切口出ししないよ」

      • → 「課題の分離」を履き違えると、ただの冷たい態度に。

    • OKな対応例:「必要なら一緒にブレストしようか? やれるところは手伝うから声かけて!」

      • → 同僚の本来の役割は尊重するが、共同で取り組む“共同の課題”部分には積極的に協力。


6. まとめ:自立と協力が生み出す最高の人間関係

「課題の分離」は、他者と自分の境界をはっきりさせ、ストレスを減らして健全な関係を築くための手法です。しかし、それだけで完結すると「ただの自己中心主義じゃないの?」と思われることも。そこで大切なのは、「共同の課題」に取り組むというステップ。

  • まずは自分の課題をしっかり認識する

  • 必要に応じて周りと協力し、共同の課題を解決する

最終的には、「自立している人同士が助け合う」という理想的な社会がゴールなんです。アドラー心理学の本質は、「個人主義ではなく、他者を信頼し合いながら貢献する共同体感覚を育む」こと。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この記事が、もしも何かの役に立てたり考えるきっかけになれたら、スキなどリアクションを気軽にいただけると嬉しいです!

あなたの心にも余裕がもっと生まれれば、
更により多くの共同の課題を解決出来るはず!

ストレスを減らして健全な関係を築くための手法としてまとめているので
よかったら以下もぜひ!


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