198. 低濃度アトロピン単独療法、もしくは他の光学的手法と併用した近視コントロール:A retrospective cohort study

Myopia control utilizing low-dose atropine as an isolated therapy or in combination with other optical measures: A retrospective cohort study

Erdinest N, London N, Lavy I, Levinger N, Pras E, Morad Y. Taiwan J Ophthalmol. 2022 Aug 1;13(2):231-237. doi: 10.4103/tjo.tjo_31_22. PMID: 37484626; PMCID: PMC10361442.


目的:低濃度アトロピンと近視進行抑制のための光学的手法の併用による相加的効力を評価すること。

材料と方法:このレトロスペクティブ研究は、4年以上診た5~12歳の近視小児104人を対象とし、0.01%アトロピン毎日点眼と遠用単焦点メガネ(A)、0.01%アトロピンと累進加入レンズ(A+PAL)、0.01%アトロピンと周辺ぼけ付加ソフトコンタクトレンズ(A+CL)、(+対照の2群)の5群に分けた。2つの対照群は、bifocal眼鏡または単焦点(single vision:SV)眼鏡を処方された。調節麻痺下等価球面屈折は、治療中止1年後を含め、年に2度測定された。

結果:アトロピン治療2年目と3年目に近視進行の有意な減少が認められた;
A群:-0.55±0.55D、-0.15±0.15、-0.12±0.12D(それぞれ1年目、2年目、3年目)、
A+PAL群:-0.47±0.37D、-0.10±0.25D、-0.11±0.25D(それぞれ1年目、2年目、3年目)、
A+CL群:-0.36±0.43D、-0.13±0.29D、-0.10±0.27D(それぞれ1年目、2年目、3年目)。3年間の近視進行はそれぞれ、bifocal群で-0.82±0.50D、-0.70±0.69D、-0.59±0.66D、SV群で-1.20±1.28D、-0.72±0.62D、-0.65±0.47Dであった。アトロピン治療中止1年後の近視進行度は、A群-0.32±0.31D、A+PAL群-0.23±0.28D、A+CL群-0.18±0.35Dであった。

結論:アトロピン0.01%は近視の進行を遅らせる効果があり、治療2年目と3年目に顕著であった。アトロピン0.01%と光学的治療法の併用は、単剤治療よりも有効性が増す傾向を示した。治療中止1年後のリバウンド効果は、A+CLが最も少なかった。

※コメント
注意点として、調節麻痺下の屈折値はミドリン点眼30分後に測定した値を元にした自覚的屈折の値です。
屈折:-1.25〜9.00D(中央値−4.50D、平均−4.40±2.31D)
平均年齢:10.1±2.1歳(女性52%)

アトロピン+併用療法の方が、単焦点やbifocalレンズよりも、コントロール効果が高いという報告でした。本文中にも書かれていますが、眼軸長の評価がなされていない点はもの寂しいですね。

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