66. 輻湊不全に関連する神経学的メカニズムの根底にあるもの

Underlying neurological mechanisms associated with symptomatic convergence insufficiency

Alvarez TL, Scheiman M, Morales C, Gohel S, Sangoi A, Santos EM, Yaramothu C, d'Antonio-Bertagnolli JV, Li X, Biswal BB. Sci Rep. 2021 Mar 22;11(1):6545. doi: 10.1038/s41598-021-86171-9. PMID: 33753864; PMCID: PMC7985149.

輻湊不全(Convergence insufficiency:CI)は,最も一般的な両眼視機能障害で,かすみ目や複視,頭痛,目の痛みなどを伴い,読書など長時間の近業で悪化する。The Convergence Insufficiency Neuro-mechanism Adult Population Study(NCT03593031)では,両眼正常対照者(binocularly normal controls:BNC)50名とCI対象者50名の機構的神経の違いを,高速融像視差vergence systemと低速融像視差vergence systemを調べることによって調査した。高速融像システムはあらかじめプログラムされており,輻湊のピーク速度で評価される。低速融像システムはvergence努力を最適化するもので,phoria adaptationの大きさと速度を測定することで評価される。高速融像システムでは,輻湊ピーク速度,最終位置の振幅,そして二次視覚野,右楔部(cuneus),小脳虫部のサッケード領域(oculomotor vermis)の機能画像活動において,BNC群とCI群の間に有意差が認められた。低速融像システムについては,phoria adaptationの大きさと速度,内側楔部の機能活動が群間で有意に異なった。また,vergenceのピーク速度と右楔部の機能活動(p = 0.002),Phoria adaptationの速度と内側楔部の機能活動(p = 0.02)に有意な相関があった。これらの結果は,輻湊の脳内活動を解析したものである。今後の治療介入では,この衰弱した障害に対して楔部(cuneus)の活動を高める手順を実施することが検討されるかもしれない。

※コメント(まとめ)
この研究の目的は,ベースライン測定値を評価することにより,BNCとCI間の根本的な神経機構の違いを調査することです。
根底にある神経基質の違いがわかると,CIに対する治療法を評価し,介入が脳の根底にある機能活動をどのように変化させ,最終的に視覚症状を軽減するか理解することができる。
今回の結果から,楔部(cuneus)内の 2 つの異なる領域が高速および低速のvergenceシステムと有意に相関していることを示した。

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