289. 間欠性外斜視児における視力とコントラスト感度の両眼加重

Binocular summation of visual acuity and contrast sensitivity in children with intermittent exotropia

Liao J, Li Y, Zhang W. BMC Ophthalmol. 2023 Jun 1;23(1):245. doi: 10.1186/s12886-023-02961-x. PMID: 37264304; PMCID: PMC10233972.


目的:間欠性外斜視(intermittent exotropia:IXT)患児の手術前後の視力(visual acuity:VA)とコントラスト感度(contrast sensitivity:CS)の両眼加重(binocular summation:BiS)を調査し、2つのBiS現象と対応する影響因子との関係を探ること。

方法:この前向き研究では、2022年1月から4月までに天津眼科病院で斜視手術を受けた21名のIXT児(男性11名、女性10名、6~13歳)を対象とした。視機能は術前と術後2.95±0.14か月に評価し、100%コントラストと2.5%コントラストでの単眼/両眼視力(monocular/ binocular visual acuity:MVA/BVA)だけでなく、単眼/両眼コントラスト感度(monocular/binocular contrast sensitivity:MCS/BCS)、偏位量、近見/遠見立体視、融像などを評価した。

結果:全例で術後偏位量は0~-4⊿であった。2.5%コントラストでのBVAは術前、術後ともにMVAより優れていた。2.5%コントラストの術後BiSは、2.5%コントラストの術前BiSおよび100%コントラストの術後BiSより有意に優れていた(P < 0.05)。3c/dを除き、6c/d、12c/d、18c/dの空間周波数におけるMCSとBCSはすべて術後に顕著に改善した。CSの両眼加重比(binocular summation ratio:BSR)は術後最も高く、CSの眼間差比(interocular difference ratio:IOR)は4つの空間周波数のうち6c/dで最も低かった。偏位量、遠見・近見立体視、融像はいずれも術後に顕著に改善したが(p = 0.001; p = 0.041; p = 0.000)、いずれも2.5%コントラストでのBVA、BiS、BSC、BSRとは無関係であった。中・高周波数(6c/ds、12c/ds、18c/ds)におけるBCSは、2.5%コントラストにおけるBVAと有意に負の相関があり、BSRは異なる空間周波数にわたって対応するIORとは無関係であった。

結論:低コントラストでのBVAとBCSの検査は、立体視や融像の状態とは等価ではなく、実環境での両眼視機能の評価に貢献し、様々な側面で評価された。2.5%コントラストにおけるBVAは、中・高空間周波数(特に18c/d)におけるBCSと関連するが、6c/dにおけるBCSは、コントラスト感度の両眼加重をより多く示す。MCS、BCS、BSRは術後3c/dで抑制が持続する。IXTの両眼機能評価ではBCSの方がBSRより優れている。これら2つの方法は、両眼加重と抑制の障害と回復に対して異なる感度を示した。

※コメント
introduction-抜粋
両眼加重(binocular summation:BiS)とは、視力やコントラスト感度(CS)などの視覚課題において、両眼視が単眼視よりも優れていることを指し、視覚野のVI層での相互作用が関与し、低コントラストで提示されやすい。低コントラストにおける単眼性コントラスト感度(MCS)の閾値は、健常者では両眼性コントラスト感度(BCS)の1.5倍である。BiSは、年齢、視力の眼間差、眼位などの複数の要因によって引き起こされる可能性がある。斜視手術の成功は、斜視患者のBiSを改善することができ、これは眼位制御と立体視に関連している可能性がある。斜視患者の両眼性コントラスト感度は、特に6cpdの空間周波数において、単眼コントラスト感度よりも有意に低かったが、これは斜視の程度、性別、年齢、屈折異常、立体視、IXTの期間とは相関がなかった。IXT患者におけるBiS現象と関連メカニズムは、まだ解明されていない。また、VAのBiSとCSのBiSの相関関係もよくわかっていない。

結論-
両眼視力とコントラス感度は、異なる視覚経路と異なる側面における両眼加重の詳細を反映しており、立体視や融像機能とは無関係であり、代替することはできない。2.5%コントラストでの両眼加重は6/12 /18 c/dでの両眼コントラスト感度と関連しているが、これらは互いに代替できない。将来的には、多次元の両眼視能力にもっと注意を払うべきである。

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