自慢の弟は一番最後 29話
ソ 1-0 西
上位争いを抜け出すためにも大事な一戦
その試合で早速、タイムリーを打った○○
塁上で用具を外し、グローブを変える姿
スタンドから見るその姿は、すごく頼もしく見えた
久しぶりに野球を見て、楽しいという感情が戻ってくる
"周りの声"なんか自分の世界に入ってこない
自分の感情だけが、自分を支配する
和:...かっこいい...
さくら:すごいなぁ....
祐希:すごいね!
さくら:はい...
チャンスに強いっていいなぁ...
祐希:さくちゃんも強いと思うけど
さくら:私は全然...
祐希:自信持っていいんだから、あなたは!
さくら:あ、ありがとうございます...
1回裏 0アウト2塁
ホークスの追加点のチャンス
続くバッターはギータさん
今日のホークス打線
かなり気合入っている
なんせ今シーズン、ずっと苦しめられてきた投手だし
髙橋:フンッ
柳田:オラッ
"ストライクッ"
ギータさんも初球からフルスイング
解説:初球から降ってきますね、ギータ
実況:そうですね!
ノーアウト2塁のチャンスを迎えています、福岡ソフトバンク!
大丈夫...
ギータさんなら...
カキーーン
ほらね...
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!』
ソ 3-0 西
ボールはホームランテラスへと一直線
ギータさんの2ランホームランで追加点
ホークスが3点差とリードを広げる
2塁から返ってくると、次の栗原さんとハイタッチ
そして...
ゆっくりとダイヤモンドを1周してきたギータさんを迎え入れる
○○:ナイバッチ!
柳田:うぇーーい!!
ベンチに戻ると...
試合に出ている出ていないにかかわらず、皆が笑顔で出迎えてくれる
そして...
ギータさんのホームランパフォーマンス
今まではTVやベンチで見ることが多かったパフォーマンス
でも今は、後ろから一緒にできている
その事実がより一層、ホークスで戦えていることを実感させる
祐希:すごいすごいっ!
ホームランなんて初めて見た!
さくら:私もです!
祐希:音、すごかったねぇ~
さくら:はい笑
ちゃんとこっちまで聞こえてきてましたもんね
祐希:ねっ!
あっ!ほら、○○くんと柳田選手ビジョンに抜かれてるよ!
さくら:っ////
祐希:すごい2人だねぇ~
あっ、ビール終わっちゃった...
売り子さん来ないかなぁ~
和:...
久しぶりに来た球場
久しぶりの感覚・感情
なんだろう...
"自分"が元に戻って来たような感覚
和:...たのしい
思わずぽろっと出てきた言葉
自分でもこの言葉がスッと出てきたことに驚く
試合はこのまま動かず、3-0でホークスが勝利
○○は、あの後内野安打
まぁ、超ぼてぼてだったけど...
4打数2安打1打点と活躍した
そして、私が何よりうれしかったのは、試合後...
柳田:○○、今日ヒロインな
○○:えっ!?自分ですか!?
柳田:そりゃそうでしょ
俺じゃない
○○:いやいや...
ギータさん、ホームラン打ってるじゃないですか!
柳田:いいから行けって!笑
そんなこんなで、広報の方に引っ張られ連れてこられたお立ち台
MC:放送席、放送席、そしてPaypayドームにお越しのホークスファンの皆様
ヒーローインタビューです!
今日のヒーローは...
井上○○選手です!おめでとうございます!
○○:ありがとうございますっ!
MC:4打数2安打、そして今日は2番を任されていましたけれどもいかがでしたか?
○○:そうですね...
相手のピッチャーがすごくいいので、過去の映像とかも見まくって
任された打順でやるべきことをちゃんと果たせるようにしようと思っていました
MC:特に初回のツーベース、かなり気持ちがこもっていたように見えましたが...
○○:そうですね...
今日、自分にとってはかなり大事な日で...
あっ、詳しくは言えないんですけど...笑
『えぇーーー!!』
○○:ごめんなさい...笑
でも、今日活躍しなければ野球選手になった意味がないので...
そういった意味でも打ててよかったです
パチパチパチパチ
MC:今年の初めはまだ育成で、支配下となってここまでの活躍
ご自身としては、ご想像されていましたか?
○○:いや、してなかったです笑
それこそ、支配下になれるとも思っていなかったので...
MC:それでもご自身で掴み取ったものです!
○○:それに恥じないように頑張らないとですね
MC:今日の勝ちで2位のロッテとの差が縮まりました
最後にファンの皆様へ、メッセージをお願いします!
○○:いつもたくさんの応援をありがとうございます!
とても力になっています!
まだまだ戦いは続きます
みなさんが喜んでもらえるように僕たちも頑張りますので、応援よろしくお願いします!
パチパチパチパチ
祐希:すごかったね
さくら:はい...
祐希:ん?どうかした?
さくら:い、いや...
祐希:...そう?
さくら:...
ほんとは、もっと○○さんと話をしたいし...
いろんな所に行きたいし...
隣で過ごせたら...
なんて思っていたけど...
でも、それは私の想いであって、
○○さんの中では私はその対象ではない
そう、直感的に感じてしまった
あの強さに私は入ってはいけない
この気持ちは伝えずにいた方が彼も私も幸せだろう...
祐希:さくちゃん、いいの?
さくら:へっ!?あっ...
な、なにがですか?
祐希:伝えなくて
さくら:な、何をですか!?
祐希:...好きなんでしょ?
○○君のこと
さくら:...
祐希:ごめんね、あやめんから聞いて知ってたの
さくら:...そう...なんですね
だめ、ですよね...アイドルなのに...
祐希:...
さくら:...いいんです...忘れてください...
さ、帰りm...
ギュ
祐希:さくら、強いね
さくら:与田さん...グスッ
私...私...グスッ
祐希:うんうん...ヨシヨシ
一人の恋が終わっていった
一方で...
○○:ただいま
和:...おかえり
○○:体調は?どう?
和:うん...大丈夫
○○:そっか...よかった...
和:ねぇ...○○?
○○:ん?
和:...今日、楽しかった
そういって笑った顔は、スッキリしていた
なんか久しぶりに笑った和を見て、心が軽くなる
○○:そっか...
ならよかった
和:やっぱ、野球っていいなって思えたよ
○○:ふふっ
ギュ
和:ちょ...○○...
○○:おかえり
和:グスッ....
ただいま!
To Be continued...
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