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男性から思う「男性育休」への違和感

1)「男性育休」という言葉への違和感

日本では「男性産休」や「男性育休」など制度ができ、いよいよこれからという雰囲気がありますが、どこか当事者が不在、本質的な議論になっていない違和感があります。
そもそも制度から物ごとが変わるというのは、あまり私自身が好きではありませんからかもしれません。なぜなら、課題に対して表層的な取り組みしかせず、本質的な議論にならず、誰もが窮屈に感じる可能性があるからです。

男性の中には、妻が出産し、我が子の誕生、そして我が子との初めての生活を楽しみたいと考えている人、また妻が出産により体力を消耗し、動けないので、自分がなんとかしなければならないと思う人もいます。これは純粋に家族として、動物であるヒトとして素直な気持ちだと思います。このような気持ちを持ちながら、所属する組織に制度があるから、制度がないからという議論はすごく違和感を感じます。社会に出るといつしかすべてのことを社会性の中、仕組みで考えることを自然に受け入れていますが、出産、育児、そして家族のことで多少、自分の思いのまま行動しても良いと思います。それを拒否される理由は本来ないことだと思うし、それを当事者が強く発信しても良いと考えています。

2)2017年国際女性デーにおけるスピーチから

2017 年国際女性デーのスピーチで、アン・ハサウェイさんがこの問題について明快に述べられており、そのスピーチを聞いて私の中のモヤモヤがスッキリしました。このスピーチでは、米国の産休制度の課題と出産、育児の課題について発信しています。米国では産休は女性に対して産後12週間と定められていますが、男性には認められていないことをも指摘されており、本質的な課題へアプローチするような内容になっていました。

2017年国際女性デー アン・ハサウェイさん基調演説https://www.youtube.com/watch?v=RNgtPmhBwbc

米国の産休制度の実情は、制度があるからと言って、12週間をフルで取得する人は少なく、多くの人たちは途中で職場に戻っているようです。なぜならば、出産のために仕事を休んでいることは、仕事にやる気がないと思われるのではないかと不安であり、そうでないということをアピールするためのようです。しかしながら、実際、職場に復帰した女性の多くは体力が十分に回復しておらず、かなり辛い状況にあるようです。また、制度があるからと言って、フルで休暇を取得できない理由は、経済的にギリギリの家庭も多く、無給の期間が長引くと家計に影響が出てしまうため、仕事に復帰して、収入をえなければ、生活できないという事情もあるようです。また、米国は男性に産休、育休という制度がないため、産後の育児の立ち上げは女性の役割になっているようで、この女性だけにその役割が偏り、負担を強いてしまっていることも大きな課題であると述べられていました。

このような問題の背景には、1960年代後半から始まったウーマン・リブ運動により、女性も家庭の外に出て仕事をする時代となりましたが、それにより「生きていく」、または「次の世代へつなぐ」というところに窮屈さが顕在化しているのだと思います。この課題を考えるためには、女性の完全なる平等と権利を再度考える必要があり、合わせて男性の家庭内でのケア労働者としての再定義が必要です。

3)「男性育休」の重要性を女性が発信するのではなく、男性から発信する時代へ

出産、育児に関する課題の多くは、女性から発信されています。
私は、これを変えたいと思って活動しています。もっと男性から発信があっても良いと思っています。
いつまでも「やらされている」立場では、何も変わりません。
自らが率先して「やりたい」という気持ちになり、その気持ちを社会も受け入れなければ、社会が変わったとは言えません。

前述のスピーチでは、「男性の家庭内でのケア労働者としての役割を再定義すべき」と述べられた後、「父親としての役割が過小評価されている」と指摘されていました。

子育てにおいて、父親の役割についてあまり議論されることはありませんが、乳幼児期のお世話をするために必要なリソースという意味ではなく、子どもの成長という観点から「父親」の役割を研究したレポートがあり、そこには就学後の子どもと父親との係わり方によって、子どもの知能の発達に差が出ると言われています。子育ては社会へ子どもを送り出し、次の世代へつなぐための一大事業であると考えると、乳幼児期から男性も育児に係わり、就学後も父親として子どもと係ることで、その存在、その意義は非常に重要であることがわかると思います。このあたりから再度男性自信が認識し、行動していく必要があると思います。

4)これからの子育てについて

今の子育て世代の男性を見ていると、家事も育児も自ら進んでやろうとしている人が多いと思います。しかしながら、まだ周りの組織や社会がその思いを理解し、男性が出産、育児に変わることができる環境が整備されていません。その1つが、「男性育休」、「男性産休」の制度ではありますが、全ての男性が同じ考えではないため、その制度を利用するにあたって、具体的に何をする必要があるのかを伝える必要があります。
ただ、現状これからパパになるプレパパを対象として、学びの場がありません。制度だけ先行しても本質的には変わらないと冒頭で指摘しましたが、制度を活用し、本来の目的を達成するための仕掛けがまず必要ということを強く訴えたいのです。

その1つの取り組みとして、私たちは「「パパ」の戦力化計画」という活動を、これからパパになるプレパパを対象に、オンラインでワークショップを開催しています。また、産後、パパはどんなことをやらなければならないかを文章に起こしてnoteで読んで頂けるように準備しています。

「パパ」の戦力化計画(note)
https://note.com/cosolab/n/n8907558b325a

社会が男性の育児参画に対して関心を持つようになり、フォローの風が吹いてきたので、時間をかけてでも、大きな変化が起こり、全ての人がキャリアも子育ても安心して楽しめる社会になればと思っています。
そのためには、気づいた人たちが協力し、必要な仕掛け、仕組みを作って行く必要があります。この仕掛けについては、今企画中なので、またご紹介させて頂きます。

ちょっとモヤモヤしていたことを文章にしてみました。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます

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