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育児は本能ではできない、学びが必要!

このことを意外と知らないために、「ぶっつけ本番」で育児をスタートし、多くの人たちが大変な状況に陥っています。

育児を学ばなければならない必然性

実際に「ぶっつけ本番」で育児がスタートしている人はどれくらい存在するのかを、調査したレポートがあります。少し前のデータになりますが、子どもとの接触経験や育児経験に関して調査したレポートで、原田正文先生が異なる時期に同じ内容で調査を行なったものです。一般的には、「大阪レポート」(1980 年)と「兵庫レポート」(2003年)と呼ばれているものです。

育児経験(小さい子どもに食事を食べさせたり、おむつを交換した経験)がない人の割合
1980年  40.7%
2003年  54.5%

子どもとの接触経験(子どもを抱いたり、遊ばせた経験)がない人の割合
1980年  15.0%
2003年  26.9%

明らかに、小さな子どものお世話をした経験がない人の割合が増え、我が子が育児の初体験という人が増えています。また同様の調査をしたら、さらに増えていることが予測されます。その背景は、核家族と少子化により、兄弟姉妹が少ない家庭で育ち、小さい子どもとの接触機会がないままに、成人し、出産し、子育てを開始する人が増えているからです。

では、育児を学ぶにはどうしたら良いか

学び方は人それぞれ違うと思います。本を読んで学ぶことが得意な人、映像の方が良い人、人から教えてもらった方が理解しやすい人など。ただ単に知識だけを得ても、実際の赤ちゃんは生きているので、育児は赤ちゃんを死なすわけにはいかないという重圧があるため、その重圧を吹き飛ばすことができるように、学ぶためのプロセスの話します。(実際の学び方についてはいろんななコンテンツがあるので、それは各人で探して頂ければと思います)

まずは一般的な学習のためのプロセスを紹介します。

Step1: Input=Knowledge
Step2: Training=Skill
Step3: Practice=Performance

この学習のためのプロセスを知り、すごく腹落ちしたのは、30代後半で英語を学び直すときでした。シンプルに、英語でコミュニケーションができるようになりたいというゴールに対して、どのように学ぶと効率的かつ効果的かを考えたとき、学生時代の英語の勉強方法ではゴールに達しなかったので、ゴールからシンプルに逆算して考えるこの学習のプロセスがシンプルでわかりやすく、実際に実践したことで、英語でのコミュニケーションができるようになった経験があります。

育児について学ぶためのプロセス

この英語での経験を踏まえて、「育児」についてもこの学習プロセスで考えてみることにします。

Step1: 両親学級=知識の習得
Step2: 授乳指導=スキルの習得
Step3: 本番(実践)=自分たちで育児開始

Step1は、本を読んだり、子育て経験者から話を聞いたり、両親学級などに参加することで、知識を得ることになります。

育児の場合、Step2のTrainingは出産をした医療機関で行われるのですが、数日という短い期間で行われます。女性だけがTrainingをし、このときパートナはトレーニングをしていない状況です。

その後、自宅で育児がスタートし、実践。
英語の学習で例えると、英会話スクールにいき、外国人の先生と会話した後、いきなり海外へ行って生活できることは、不可能とみんなわかっています。そんな状況になったらどうするかというと、英語が話せる人に一緒にサポートしてもらいますよね。

同様に、育児がいきなりうまくいくことは不可能であり、試行錯誤は当たり前だということがわかります。育児も英語と同様に、周りの人に相談したり、助けてもらうことが必要なのです。

今が不自然、思いこみをぶっ壊せ!

なぜか育児を助けてもらうことに抵抗がある人が多く、自分たちだけでやらなければならないと思い込んでいる人が多いように思います。この思い込みをぶち壊し、外部の人たちに頼り、使えるものは全部使うくらいの感じで育児をすると、気分が楽になるのではないでしょうか。

育児を家庭の中だけでしようと試みて、まだ4-50年。
人類の歴史数万年からすると今の方が不自然です。
なぜなら、育児は社会で行い、多くの人が関わって行ってきた歴史があるからです。

その不自然な環境で、育児をしている人たちが大変なのは不思議なことではありません。
だから大変なときは、周りに助けを求めて、助けてもらいましょう!


出典:「子育ての変貌と次世代育児支援」原田正文著 名古屋大学出版会

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