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バンプオブチキン短歌
ツイッターに画像で載せてたが画像欄を消してしまったので、ここに転載。去年かおととしあたりから作り始めた。最後の十一首は九月末に大阪のライブに行った直後につくった。
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「隣」って言葉を撒いて光らせて届かなくした人間の空
叱られているのではなく揺るぎない瞳を覗けないのでもなく
幸せになっても忘れないでいる燃え続くしかできない星を
ひとりでは生きてゆけないほどひとり 悪いけどもう出会っちゃったね
ここからは渡れないから甘い嘘よりも痛みを掲げて見せて
傷つける指の動きがその傷をいつくしむようにも見えたこと
見るならば見られる覚悟せよ人よ対岸に火はあかあかと燃え
誰かより先に死ぬしかないぼくの、刻々と生き残る言葉の
探しものかは知らないが、ありました。落とさぬように。それではこれで。
この抽象はあの抽象とは異なります それでも同じ時間を目覚め
叫んでも喉が枯れない 帰りたくなかった夜もカレーはおいしい
接続詞まみれの愛で悪いかよ こういう獣として生き延びた
背表紙をあなたをまねてなぞるときかなしい知恵がわかる気がした
質問があるなら挙手を、そうしたら大きく振って きみが解くんだ
人生は のあとに何か入れてみて忘れて そんとき聴こえてた音
つなごうとしたとき爪がぶつかって鳴った警告音みたいなの
いまここにぼくの手はある名前から逃れられない涙のために
何もかもいつか忘れて火にふれてやけどするまで待っててくれよ
ほかごとを考えてても家に着くように知ってた花のいくつか
何層にもなってるケーキちょっとずつ食べてフォークをかたく握って
苦しみは消えないけれど水を飲む もっかい寝たら朝になってる
もう誰も死ぬなとおもう渋谷駅 おれと関係ない渋谷駅
腹へるのってうけるね貝を拾っては投げた右手で襟を直して
どのへんでとぎれた約束だったっけシャンプーボトルおもむろに満ち
ここは家ではない/ここは家だった 蔦は真新しい葉ばかりで
別れから学ばなかった。立ち直るとかは体が勝手にやった。
遠くから近づいてくる人がいて息をたくさん吸った 呼ぼうと
こんなにも捨てて生まれてどうしたらいなくなること覚えてられる?
この歌になんで付箋を貼ったっけなんで呼吸が止まるんだっけ
一文字で体と書けば立ち上がるこんなたやすい命いちまい
朝靄の針の無数のひとしさにひとは星座をせめて歌った
鬼のまま手の鳴るほうへ行けきみの人間だったころの手の鳴る
持ち主をなくした傘の思い出を代わりに思い出す水たまり
何にでも謝らないで。侵食は守るつもりの線の蠢き
うつろなら石をわたすよ教えてよそこにしかない暗闇の音
潔白に憧れるのを終えた朝ねえひどいこといってごめんね
ここにいる 言葉も言葉以外にもできないことをしに会いにきて
あやまたず終わりへ向かうものの手が描き続けるこの円と球
声がしたから生きてきた結末を星々にふるふたたびの春
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