箔便箋・箔封筒 『 大正ロマン図 』
コスモテックの前田です。
今回は Web Shop コスモテックサンプル直売所 待望の新製品についてご紹介させていただきます。製作物は、コスモテックサンプル直売所の中でも特に人気の高いシリーズ、箔便箋と箔封筒の新作です。
製品名は 『 大正ロマン図 』 と名づけました。
◉ 気になるデザインは
新作 『 大正ロマン図 』 の箔押し便箋、箔押し封筒のデザインは、グラフィックデザイナー 日村克美さまによるものです。日村さまのデザインは主に漫画やアニメ関係のものが数多くあり、日村さまの X( 旧Twitter )では数々の素敵なデザインに触れることができます。
日村さまにコスモテックサンプル直売所としてデザインをご依頼したいと思ったきっかけは、今から約2年ほど前に箔押し加工のお手伝いをさせていただいた、小説家 和泉桂さまによる同人誌 「 協奏曲 」 ブックカバーです。
そのデザインに日村さまが携わられており、当時ブックカバーをご依頼くださった 小説家 和泉桂さまとデザイナーの日村さまのお二人がコスモテックの箔押し加工立ち会いに足を運んでくださいました。 すてきなお二人で、本当にすばらしい 「 協奏曲 」 ブックカバーの箔押しだったため、今も私の記憶に印象深く残っています( 下記 note 記事参照 )
◉ 今までにない世界観を求めて
デザイナーの日村さまにご依頼させていただく際 考えたことは、『 今までのコスモテックサンプル直売所で発表してきた製品にはない 新たなテイストの箔押し製品を生み出したい 』 ということでした。
なつかしく、そして優美なデザイン
明治・大正ロマンを彷彿させるようなレトロ感ある図案やモチーフ、文字表現がされている箔便箋、箔封筒を日村さまのデザインで表現していただけたら 「 きっとすてきなものになるに違いない 」 という予感がありました。
そして、日村さまが考えてくださった図案( 便箋と封筒 )は下記のとおりです。どちらの加工もコスモテックの箔押し加工( 便箋はエンボス加工も )技術を結集して仕上げるデザインになっております。
箔便箋は、便箋の縁を一周ぐるりと2色の箔押しによる市松模様で彩られ、薔薇と蝶、そして金魚のインパクトのあるモチーフが大胆に配置されております。これら3つのモチーフは便箋と封筒が連動していることから、箔封筒にも添えられています。
デザイナーの日村さまからはデザインの過程で全体のイメージに関して、詳細な加工の表現やニュアンス、そして図案のバランスなど、たくさんのご提案をいただきました。
「 アール・ヌーヴォー 」 とは 「 花・植物などのモチーフ、自由な曲線の組み合わせからつくられる従来の様式にとらわれない装飾 」 を指します。また、「 シノワズリ 」 とは、ヨーロッパで流行した 「 中国趣味 」 の( 中国の雰囲気をもった )美術様式のことです。
このような日村さまとのやり取りを経て、今までのコスモテックサンプル直売所の製品にはない 新たなテイストの箔押し製品であり、また コスモテックの箔押しブログ がまもなく20周年ということを 「 大正ロマン 」 の 『 新しい時代の兆しを示す意味合い 』( と、言葉の持つ響き )にも乗せて、製品の名前を箔便箋・箔封筒 『 大正ロマン図 』 と命名しました( ※ )
※ 販売はコスモテックサンプル直売所にて箔便箋、箔封筒、それぞれ個別での販売とさせていただきます。現在セット販売の予定はありません。
◉ 便箋で3色箔、封筒で3色箔
箔押し加工は便箋で紙面に全面3色箔押し、そして封筒でも3色箔押しをして仕上げています。ここまでで全6工程( 便箋はさらにエンボス加工 )ですが、1色ずつ手作業で箔押しをし、目視で箔押し位置を念入りに確認し、2色目、3色目とそれぞれの便箋、封筒に版( 箔色 )を丁寧に重ねて押していきます。
製作過程は 『 まるで箔を使用した版画づくりのような印象 』 です。
箔色の組み合わせに関してはデザイナーの日村さまがコスモテックの加工現場で立ち会いを行いながら、『 大正ロマン図 』 のイメージにぴったり合うような優美で華やかな箔色の組み合わせを選んでくださいました。
箔便箋、そして箔封筒も、いざコスモテックの加工現場で箔押し加工してみた時、その大胆な箔押しのレイアウトと同時に繊細な箔押し表現が必要とされる印象を強く感じました。
この感覚は今まで製作し、コスモテックサンプル直売所で販売した箔便箋・箔封筒にはない感覚で、『 大正ロマン図 』 の図案が放つ 特有の華麗且つ緻密なデザインゆえのものであると思えました。
「 どん!どん!どん! 」 と薔薇、蝶、金魚のインパクトのあるモチーフとともに市松模様などの精度を要する箔押しを同時にうまく押し切ること、箔押し加工で表現することが予想以上に難しかった印象です。
大胆なベタ部分( 薔薇などのモチーフ )と繊細さを要する図案( 市松模様など )が混在していると、加圧具合の強弱の 『 ほどほど具合 / ほど良い感じ 』 の調整やバランスをとることの難易度が非常に高くなるのです。
◉ 『 彫刻エンボス版 』 をつくり、立体化する
デザイナーの日村さまによる箔便箋 『 大正ロマン図 』 のエンボス( 浮き出し )加工は通常のエンボス版ではなく、『 彫刻エンボス版 』 を製作し加工に臨ませていただきました。
そのため、通常のエンボス加工とは異なり、細かいエンボス加工を紙面上で表現できております( ※ 箔封筒は箔押しのみの加工 ) 薔薇、蝶、そして金魚を高低差があり繊細且つ大胆な浮き出し加工で立体化させました。
上の写真は 『 彫刻エンボス版 』 の製作過程で製版会社 ツジカワさまがつくってくださった浮き出しのイメージを視覚化した 3Dデータです。この 3Dデータをもとに、繊細な盛り上げのニュアンスや微細な浮き出しの具合を ツジカワさまにお伝えし、実際に加工に使用する『 彫刻エンボス版 』 を製作していただきました。
箔便箋 『 大正ロマン図 』 の4工程目では、上の写真の 『 彫刻エンボス版 』 を使用し、3色箔まで終えた図案にさらに圧を加えて、ぐっと箔押し部分の一部を浮き上がらせます。便箋用紙の紙は薄いので、加圧し過ぎてしまうと圧力で紙に穴があいてしまい、全てが台無しになってしまいます。
エンボス加工によるくっきり盛り上がった雰囲気を感じることができるように、そして便箋用紙に版が貫通しない ギリギリの圧加減を考慮に入れて 最終工程である彫刻エンボス加工に臨みました。
薔薇・蝶・金魚の3種のモチーフ以上に、罫線を囲む円状の細い線のグラフィックを浮き出すためには箔押し部分との さらにドンピシャな位置合わせが必要とされました。また、薄い便箋用紙は ひらひらとしているため、手加工で位置を合わせて彫刻エンボスするのはなかなか至難の業でした。
加工する速度をあえて落として、ゆっくり慎重に、そして正確に押すことに注意を払い、一枚一枚の薄い便箋用紙を手作業で機械に通して加工し仕上げていきました。
◉ 渾身の作 『 大正ロマン図 』
コスモテックサンプル直売所の久しぶりの新製品ということもあり、いつもより緊張感が漂う中、新しいモチーフの製作に挑ませていただきました。
箔便箋は箔便箋の製品ページで、箔封筒は箔封筒のページで、それぞれ個別の販売になります( 現在、セット販売の予定はありません )
コスモテックの箔便箋、箔封筒をお求めくださるお客さまの多くは、大切なシーンで使用する特別なステーショナリーとしてご購入くださる方が多いようです。また、一つのアート作品として額装し 部屋のインテリアの一部として楽しまれる方もいらっしゃるようでうれしい限りです。
渾身の押しで仕上げた逸品、新作 『 大正ロマン図 』 。
ぜひお手に取っていただけるとうれしいです!
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
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